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俺(私)のことが大嫌いな幼馴染と一緒に暮らすことになった件 〜実は二人は両想いです〜  作者: 木嶋隆太


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第十二話 私は一緒に買い物へ行く



 昼食をとり終わったあと、私はふと思い出した。

 ……そういえば、冷蔵庫の残りがあまりなかった。

 今日は大丈夫でも、明日、明後日あたりで食料はつきるだろう。


 なら、どうせ外に出た今日のうちに買い物に行ったほうがいいはず。


「ちょっとスーパーによって食材を買いに行ってきます」


 そう提案して、私はスーパーに向かうために別れようと思った。けど湊が、こちらへ一歩近づいてきた。


「荷物持ちが必要だろ? 手伝うぞ」


 優しい! 好き! 

 ……じゃないわ、私。

 自分を落ち着かせるように何度か深呼吸をする。

  

 これは別に私に向けての優しさではない。

 一緒に暮らすという上での最低限の礼儀のようなものだ。

 勘違いしてはいけないの私。


 必死に緩む顔を抑えつけた私は、小さく頷いた。


「……それじゃあお願いします」


 湊はこくりと頷き、スーパーに向かって歩き出した。私もその隣に並ぶ。

 ……湊の横顔はきりっとしていて、どこか仏頂面だった。

 見上げるようにじっと見ていると、あっという間にスーパーについた。


 カートとカゴを用意しながら、私は入り口に張り出されていた広告を見ていた。


「何か食べたいものとかはありますか?」

「さっき結構食っちまったから、今日はいい。そっちの食べたいものを買っていいぞ」


 そ、そういえば……湊なんだかたくさん食べていたかも。

 ……お腹が減っていたのもあるのかもしれないが、あれはもしかしたら私の手料理を食べたくないからなのかもしれない。


 そんなに食べたくないのかしら……。軽く落ちこみながら、私は頷くしかなかった。

 それから野菜を選んで、手に取っていく。

 これでも、それなりに買い物はするほうなので、食材の良しあしは分かるほうだ。


 この地域のスーパーの値段はおおよそ把握しているので、脳内で値段を比較しながら購入していく。

 ……まあ、私はそれなりにお金を用意してもらっているので、そこまで気にしなくてもいいのかもしれないけど、節約できるところはしたい。

 そんな気持ちだった。


 鮮魚コーナーを歩いている時だった。前を歩いていた大学生くらいのカップルが目に入った。

 ……仲よさそうに腕を組んで、食材を選んでいる。

 たぶん、付き合っているんだろう。今日の晩飯のメニューでも考えているのかもしれない。


 見せつけるんじゃない、と思っていたのだけど……あれ? もしかして私たちも周りからみたらそんな風に思われているのかしら?

 ど、どうしよう……変な誤解されたら……。

 

 それが不安で、またもしかしたら湊も私と同じように考えているんじゃないかって思ってちらと見る。

 湊は何やら別のほうを見ていた。

 お菓子コーナーである。……そ、そりゃそうよね! 私がまったく意識されてないのは理解しているし!

 ……なのに、期待しちゃう。もうほんと、人間の心ってポンコツだ。


「ちょっとお菓子を見たいんだ。夏希はどうだ?」


 お菓子、か。

 私はお菓子が大好物であるが、そこまでたくさんは食べないようにしている。

 お菓子というのはバカにならないカロリーなのだ。ちょっと裏面を見てみればわかる。


 普通に一つ食べたら五百カロリーとかあるものだ。菓子パンとかもそう。

 ……今年から高校二年生の私の一日あたりのカロリーの目安は2000にいかない程度なのだ。

 体育系の部活に所属していればまた違うけど、私は湊と同じ文芸部に所属している。運動とは皆無だ。


「そうですね。いくつか食べたいものがありますので、一緒に行きましょうか」


 ただ、お菓子は食べたい。だから私は彼の提案に乗った。

 お菓子コーナーを見ていると、よだれが垂れてきそうになる。

 け、けどダメ。あればあるだけ食べてしまう。……基本的に男性は太っている人より痩せている人のほうが好きなはずだ。


 だから、太るわけにいかない。

 私は自分の悪魔を押さえつけながら、湊を見る。湊は何やら一つのお菓子を見ていた。


 ……それはキャラクターの顔を形どったチョコレートだ。

 私はこれが大好きで、湊も好きだったはずだ。懐かしいなぁと思う反面、恥ずかしい過去を思い出してしまった。

 

 確か、幼稚園のときだったかしら。私が湊の家に遊びに行くと、いつものようにこのお菓子が用意してあった。

 ……ただ、そのときは確か湊が二つ食べようとしてしまったのだ。一口食べられた私は怒って、湊のにも一口かぶりついてしまった。


『これでおあいこねっ』

『あっ、夏希のほうがたくさん食べた!』

『それなら、今度はこっち食べる?』


 そんなこんなで二人で食べさせあったのだ……。湊はまったく気にしていなかったけど、私はそのとき少しどきどきしていた。

 ……うー、恥ずかしい。


「食べたいお菓子あるのか?」


 軽くトリップしていた私の耳に、湊の声が響いた。

 驚きながら私は近くのスナック菓子を掴んでカゴに入れた。


「……そうですね。これでいいです」


 ……チョコレート味のスナック菓子だ。カゴに入れた後カロリーを見て、軽く眩暈がした。

 ……い、一食分はあるようなカロリーね。


 湊は太らない体質なのか、適当にポテトチップスをぶちこんでいく。

 う、羨ましい……。


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