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俺(私)のことが大嫌いな幼馴染と一緒に暮らすことになった件 〜実は二人は両想いです〜  作者: 木嶋隆太


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第九話 俺は役割分担を提示する



 午前九時。

 その時間にアラームをつけていた俺は、スマホを見てすぐに体を起こした。

 今は春休みで、本来なら昼まで寝ているのだが、さすがに夏希が隣の部屋にいる中でそんな自堕落な生活は送れない。

 部屋の鏡を見ると、寝ぐせがたっていたので、とりあえずドライヤーを当てて誤魔化す。


 衣服は……まあそこまでしっかりとしていなくとも大丈夫だろう。

 それらを身に着けたあと、俺は夏希が起きてくるより前に一階へと向かう。

 もちろん、掃除機をかけるためだ。


 その前にトイレに行ったり、顔を洗ったりと朝やるべきことを済ませてから、掃除機を取り出す。

 ……さすがに、家事全般を夏希に頼るわけにはいかない。

 夏希にすべて頼りきっていれば、夏希の好感度がどうこうなんて言っていられなくなる。

 

 自分でできることはできる限りで自分でやる。

 ……できないことは、仕方ない。夏希に頼るしかない。けど、極力それは減らしていかないと。


 夏希と仲良くなるのが一つの目標ではあるが、できる限り一人暮らしができるようにすること。

 それも、俺の密かな目標であった。


 掃除機を準備していると、階段を下りてくる音がした。

 夏希、だな。これで見知らぬ男でもおりてきたらたまげる。

 朝の、夏希……寝起きの夏希……一体どれほど可愛いのだろうか。


 本人を見る前に、必死に妄想しておいた。

 ちょうど、彼女が階段をおりてこちらを向いた。


「おはようございます」

「おはよう」


 ……朝一番の夏希に、俺の心臓は口から飛び出そうになった。

 ……カワイイ。簡素な部屋着に身を包んでいる彼女は、見とれてしまうほどだった。

 ただ、気づかなかったがすでに夏希は不機嫌そうだった。頬のあたりが引きつっているように見えた。


 なぜ? と思いながら俺は視線をそらした。いつまでもそちらを気にしていたら、気持ち悪がられる。

 俺はすぐに掃除機へと視線を戻すと、夏希が近づいてきた。


「これから掃除ですか?」


 そういいながら、夏希が首を傾げた。

 ……動きの一つ一つが可愛いのだから、本当にずるい奴だ。

 俺はドキリとした心を落ち着かせながら、頷いた。


「ああ」

「掃除はしますよ。そういった面倒を見るよう頼まれていますから」


 俺は掃除くらいはできるが、俺の両親が心配してすべて彼女に任せようとしていたのは知っている。

 ……とはいえ、さすがに全部やらせるのもな。


 とりあえず、一緒に暮らす。……すべてやらせていたら、余計に夏希に嫌われそうだ。

 このくらいは、俺がやるべきだろう。


 ……ただ、それでも俺がどうしてもできないことが一つある。

 ……それは、料理だ。

 家の掃除とか、風呂の掃除は前からやっていた。けど、料理だけはどうしてもできない。

 だから、俺は――その部分だけはお願いするしかないと思っていた。


「掃除は俺がやる。……料理はできないから、頼んでもいいか?」


 ……そう伝えた。夏希の表情はどこか険しい。

 いくら、面倒を見てくれと頼んだのは俺の両親だ。

 だが、俺から直接言われるのは嫌なようで、夏希の表情は険しい。


 あるいは、俺の掃除への不安意識があるのかもしれない。俺の両親が、本当に何にもできないとか言っていた可能性もあるしな。

 しばらくすると、夏希が小さく頷いた。


「……そう、ですね。わかりました。その分担でかまいません」


 ……良かった。多少不機嫌そうにしているが、それでもなんとか乗り切った。


「それじゃあ、料理のときは頼む」

「はい」


 俺はすぐに掃除を開始し、夏希は二階へと戻っていった。

 ……今日の掃除はいつもの数倍は力を入れよう。

 少しでもゴミが残っていたら、あとで絶対指摘される。いや、何も言われずに評価を落とす可能性のほうが高い。


 こんなところでさらに嫌われるわけにはいかない。

 俺はとにかく、ひたすらに頑張った。 

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