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俺(私)のことが大嫌いな幼馴染と一緒に暮らすことになった件 〜実は二人は両想いです〜  作者: 木嶋隆太


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第五話 私はタオル一枚で幼馴染と対面する



 浴室には鍵がついている。

 けど私はかけなかった。

 ……ちょ、ちょっとほら、覗かれるとかそういうの、期待して。


 洗濯機に衣服をすべて放りいれ、洗濯機を操作する。

 そういえば、洗濯機を使っていいと湊は言っていた。


 ……い、一緒に洗濯したくないとかそういうものだろうか? 私も父と一緒に洗われるのは嫌だった。なんか汚そうだったから。

 も、もしかして……同じようなことを考えているのかもしれない。そ、そこまで私のことが嫌いなのだろうか……。


 軽く絶望しながら、私は風呂へと入った。

 鏡を見ながら思うのは……これから私すっぴんを見せるんだってこと。


 ……ナチュラルメイク、程度ではあるけど私は化粧をしていた。

 昔は、化粧とか全然気にしていなかったけど、いつしか気になるようになっていた。

 ……やっぱり、少しでもよく見られたいから。

 それでも私と彼との間の溝はどんどん深くなっていってしまったけど。


 メイクを落としてから、体を洗い、それから湯船につかった。

 湯船につかると一気に全身の疲れが抜け落ちたような気がした。

 ……やっぱり、今日一日で結構疲れていた。

 けど、好きな人のことを考えて疲れるのは、悪い気はしなかった。


 それに、今までよりは私のことを意識してくれるかもしれないし。

 私なんて前の数十倍は意識してしまっている。だから、きっと向こうだってそのうち色々と考えてくれるはず。

 ……わ、私意外と体つきは良いって言われているし。


 そんなことをのんきに考えながら、体を洗いタオルで体を拭いていた。洗濯機はまだ終わっていない。

 ……ちょっと待って。


 私ははっとなって周囲を見渡す。

 ……やってしまった。

 裸のまま、私は頭を抱えた。


「着替え……全部……カバンに入れっぱなしです……」


 ……私のバカ!

 マミー、ヘルプミー! 海外から着替え一式持ってきて! 呼んでも来てくれるはずがない。


 ……普段シャワーを浴びるときも、よく下着の準備を忘れる私だが、そういうときはいつも母が用意してくれた。

 カバンはまだリビングに置きっぱなし。おそらくは、湊がいる……。


 湊に頼むのだけは、絶対に無理……っ!

 男だからではない。だって、父に頼むまではまだ許せる。……最悪の手段だけど。なんなら死にたくなるけど。死んじゃうかもだけど。

 けど、まだどうにか許せる。切腹する気分で頼む。


 ――けど、けど……! さすがに大好きな人に下着含む着替えセットを持ってこさせるわけにはいかない!


 それに相手は私のことを嫌っている! これでさらに嫌われるかもしれない!

 私はしばらくシャワーを頭からかぶり、考える。

 気分は滝行。


 けど、いくら当てても良い考えは思いつかない。

 候補自体はいくつかある。

 

 一つ目は湊に持ってきてもらう。これが一番手っ取り早い手段だ。

 二つ目は湊に家から出て行ってもらう。こんなこと頼んだら余計に嫌われるだろう。理由は話せないんだし。

 三つ目は湊を気絶させる。呼びつけ、気を抜いた瞬間に意識を奪うんだ。いや、ダメでしょう私。記憶を消すほどの一撃を叩きこまないと下手したら私の裸まで見られてしまう。


 ……滝行の結果がこれしか思いつかないなんて、私の頭はポンコツなのかもしれない。いや違う、滝行が悪いんだ。

 散々頭を抱えた私だが――恥をしのんで頼むしかないのではないかと思った。

 いずれは、下着なんて干したときにでも見られるものだ。


 そもそも、たかが下着ではないか。

 体の大事な部分を守る程度の衣服だ。可愛らしい刺繍がされていたり、おしゃれなものだったり、それこそ勝負下着だったり――。


 ……絶対無理ぃぃぃ。

 な、何かあっても良いようにってちょっとだけ大人っぽい下着を用意していたのだ。

 何かって何よ……。嫌われている相手に何を期待しているの……。

 無駄に能天気でお花畑の過去の自分を痛めつけた後、私は大きく息を吸った。


 ちょうどそのタイミングで、天啓が舞い降りた。

 私はバスタオルを身に着け、周囲の音に耳を傾けた。

 ……よ、よし。周囲に音はない。敵はまだリビングにいるようだ……!


 私は足音を立てずに素早く廊下を移動する。

 ……作戦は簡単だ。


 二階にあがり、「風呂出たから入っていいですよ」と伝え、湊を風呂場に誘導する。

 それから、リビングに戻り、着替えを回収する。……見事な作戦でしょう?

 だから私は足音をたてずに二階へつながる階段まで移動しようとしたのだが。


「は?」

「ふひ……っ!?」


 ちょうどトイレから出てきた彼とばったりと出くわしてしまった。

 


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