始まりのプレコグニション
何買えるものがあればと思い書いてみています。もし空いている時間があれば見て、評価していただけたら嬉しいです。
~超能力とは~
常人では到底不可能なことを可能にしてしまう、理屈や常識を捻じ曲げる、科学で解明できない力のこと。
爽やかな風を感じて目を開けると、広大な草原に寝そべっていた。
空はなんだかぼんやりして見えない。自分はすぐに理解した、これは夢だと。
何故分かるのか? 何度も経験があるからだ。
どこからか見ている誰かへ、初めまして。
自分、不可思議 出葉はいわゆる超能力者だ。
ひとえに超能力者といっても色々いるものだが、自分は様々な力を持っている。
例えば手を触れずに物を動かす“サイコキネシス”
相手の心の声を聞きとり、他者の脳内に情報を送る“テレパシー”
遠く離れた場所に一瞬で移動する“テレポート”
そして、今自分が見ている夢は“予知夢”だ。
厄介なことに、予知夢の的中率は100%。つまり今から自分が体験する事はいつか必ず起きる事で、いかなる力を使いどれだけ足掻こうとも絶対に回避できないのだ。
だから自分は予知夢を見るとき、何とも言い表せない絶望感や虚無感に浸っている。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
五体を投げ出した姿勢のまま絶望&虚無に浸っていると、一人の少女が俺の顔を覗き込んでいた。明るい茶髪に青い瞳から察するに日本人ではなさそう、顔は日本人っぽい気がしないでもないが。
大きな木の棒に白いローブという妙な格好をした少女の心の声が頭の中に流れ込んでくる。
(うわぁ……今かなり盛大に転んだけど大丈夫かな? イズハさんでも転ぶ時は転ぶんだなぁ)
なるほど、今の自分は寝そべっていたわけではなかったのか。しかしこんな大の字で情けなく転ぶ滅多に無いが、いったい何があったのか。
おっと、それは自分が超能力者だから言える話だ。他人にこの力のことを公言していない以上、転んで当然という体でいなくては。
「当たり前だ。自分だって生き物だ、転ぶ時は転ぶ」
「そ、そうですよね! でもてっきりイズハさんなら転ぶ瞬間にサイコキネシス~とかするかなぁーって……」
おや? どうやらこの少女は自分の超能力について知っているようだ。
一体何故だろうか、まさかうっかり口を滑らせたりしたのか? もしそうなら早急に彼女を口封じしなくてはいけないんだが……まぁいい、いずれ分かる事だ。
段々と視界に白い靄が掛かったように薄れてきた、もうすぐ予知夢が終わる合図だ。
まだ見ぬ少女との出会いに思いを馳せて、静かに目を閉じた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
よろしければアドバイスなどください。