アカデミー賞助演女優賞ノミネート取材 世界編
もちろんこれらのインタビューは日本語以外で行われた。
これらのやり取りですでに化けの皮がはがれているのに瑠奈本人は気づいてないのがまた……
「公爵令嬢。
アカデミー賞助演女優賞ノミネートおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「失礼ですが、欧米では貴方はロマノフ家の血を引く皇位継承者の一人として見られています。
それについて一言お願いします」
「と言われましても、私は桂華院瑠奈という名前の日本人ですとしかお答えできませんが」
「未だロシアに影響力がある上に、ロシアの経済危機を救った公爵令嬢にはロシアに待望論があるという事はご存知でしょうか?」
「初めて知りましたわ。
先程の話と繰り返しになりますが、私は日本人で故郷も日本です」
「ロシアの経済危機を救ったムーンライトファンドはロマノフ家の隠し財産であるという噂があるのですが、それについて一言お願いします」
「たしかに、ムーンライトファンドの口座の一つがスイスのプライベート・バンクにあるのは否定しませんが、それがロマノフ家の隠し財産であるという事は否定させていただきます」
「現在の欧州はEUの拡大に合わせて青い血の需要が増しています。
先の未来になりますが、貴方に流れる青い血について注目を集めていることについて一言お願いします」
「さすがに仮定のお話についてはノーコメントでおねがいします」
「米国大統領と関係が深いそうですね。
フロリダの接戦に絡んだだけでなく、同時多発テロにおいて重要な役割を果たしたと聞きましたがどうなのでしょうか?」
「ただの日本の小学生が国政、それも米国の国政を左右できるなんて映画でも無理ですよ」
「その映画で、派手なアクションを自らやられたそうですが、それはそういう事が起こりうるという事を想定していたという事でしょうか?」
「はい。
最低限の身を護れる程度の術を身に付けているのは事実です」
「対テロ戦争に日本国は米国の同盟国として協力をしていますが、その政策に公爵令嬢はどの程度関与しているのでしょうか?」
「繰り返しになりますが、ただの子供に国政に関与できる影響力は無いですよ」
「ですが、アフガン戦やワシントンD.C.の話題になっているイラクでは貴方が持つ赤松商事が物流拠点を構築し、多大な利益を計上しているはずですが?」
「日本は資源小国であり、総合商社は資源を日本に運ぶために作られました。
そういう意味では、中央アジアの資源や中東の資源は加工貿易国日本にとって必要であり、物流拠点の構築は必然であると言わせていただきます」
「桂華グループは貴方が支配しているという噂を聞きましたが本当なのでしょうか?」
「桂華院公爵が桂華院家の当主であり、桂華グループは桂華院家の財産です」
「財閥当主として不良債権処理を主導し、フィクサーとして数代の首相に影響力を行使したなんて話がありますが本当なのでしょうか?」
「首相まで務める大の大人が、子供の戯言をまともに聞くなんて事がありますか?」
「不良債権処理とイラク関与で、恋住政権と確執があると聞きますが?」
「桂華グループが政商なんて陰口を叩かれているのは聞いています。
ですが、そのあたりは桂華グループの広報にお尋ねになった方がいいと思いますよ」
「映画の背景にある旧北日本政府国民の貧困問題について何か一言」
「現在の日本政府は不良債権処理の終了に向けて動いており、その過程で多くの失業者を出している現状を憂慮しています。
縁がある北海道経済の為にも、この問題の解決を桂華グループとして政府に働きかけていけたらと思っています」
「公爵令嬢は日本有数のコロラトゥーラ・ソプラノの一人ですが、将来はその道を進むのでしょうか?
それとも、この映画を起点としてハリウッド・セレブとしてデビューするのでしょうか?」
「あはは。
繰り返しになりますが、私は日本人である事を幸せに思っています。
今の所は、日本から離れるつもりはありません」
「記者会見はここまででお願いします」
(お付きの者が記者たちを離して、取材は終わる)
EU拡大と青い血
EU議会と官僚の中核を担っているのが彼ら青い血の連中であり、そういうインナーサークルでの影響力が無視できない。
この時、EUは東方に拡大しつつあり、それに神経質になっていたロシアと摩擦が発生していた。
彼女の血と立場は、そういう意味からでもEUとロシアの注目を集めていた。




