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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
恋住劇場の敵役として

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最上級学年として

 春休みも終わり、某銀行のシステムトラブルがめでたく炸裂し現在も混乱中だが、私達は新学年となり最上級生となったわけで。

 気分一新で学校に行くと色々なイベントが待っていた。


「入学生の諸君。

 初等部入学おめでとうございます。

 我々帝都学習館初等部生徒会は皆様を歓迎いたします」


 栄一くんの挨拶を横で聞くが、相変わらずカリスマにあふれている。

 今回の生徒会は近年稀に見る史上最強の生徒会らしい。

 誰のせいだか知らないが。


「入学生の皆様。

 初等部入学おめでとうございます。

 副会長の桂華院瑠奈と申します。

 ここからはこの後の順番をお話しします。

 まずは……」


 栄一くんがカリスマ性で魅せるならば、私は圧倒的な調整能力が売りだ。

 裕次郎くんがネゴシエーションに優れており、光也くんは政策立案とアイデアの具現化に一日の長がある。

 この生徒会になって何が変わったかと言うと、高等部及び中等部の下請けだった初等部生徒会の独立が挙げられよう。

 もちろん上の事は敬い従いはするのだが、初等部各委員会において初等部生徒会の意見が通りやすくなっていた。

 そりゃ、上に話を持っていってたらい回しにされるぐらいならば、即決できるこっちに話を持ってくるわな。

 かくして、初等部新入生歓迎会は無事に大成功を収め、その功績を刻むこととなった。


「部長ですか?

 私が?」


「ええ。

 桂華院さんしか居ないと思って」


 女子剣道部は部員が少ない部だったのだが、私がやりだしてから部員が増えて予算獲得や練習場の都合などで困ることになってしまっていた。

 そのためにも、生徒会や委員会に強いコネがある部長をというのは分からないではない。


「いやぁ。

 私はその器にないと思うわ」


「……桂華院さんがその器じゃなかったら誰がなっても無理だと思うな」


 隣で練習をしていた男子剣道部に居た裕次郎くんのツッコミを私は黙殺する。

 武道館は柔道部なども使うので、そのあたりの奪い合いにも力のある部長は必要な訳だ。


「お願い!

 正直言って、こんなに新入部員が入ってくるなんて思わなかったのよ!!

 このままだと指導に手が回らなくて部活すらできなくなっちゃう!!!」


 同級生の剣道部員が手を合わせて拝み倒せば、私もため息をついて引き受けざるを得ない。

 そもそも、こんなに部員が増えたのは、何処かの誰かが都の大会で優勝したからである。

 私のことなんだが。


「おーけー。

 引き受けてあげる。

 指導の方も、私が師事していた人を紹介してあげるから」


「だからそれシステマ……」


 裕次郎くんのツッコミを私は黙殺した。




「ん?

 桂華院その書類は何だ?」


「中検と大検のカリキュラム。

 ちょっと知り合いの大学教授に受けてみないかって言われてね」


 その大学教授とは神戸教授である。

 彼には私が天才でいられる時間が今だと伝えたので、


「ならば、ただの人になった時、君には考える時間が必要だよ」


と勧めてくれたのである。

 中検と大検を取って飛び級可能の大学を受ける事で高校半ばまでに大卒を狙うという野心的な提案に、私はありだなと思ってこうして書類をお願いした訳で。

 万一乙女ゲーム通りになったら、大学は通えないだろうし。


「外国に留学するのか?」

「また何でそう思ったの?」

「俺も似たようなことを考えてな。

 飛び級で受けられる大学は海外にしか無いのは知っている」


 なるほど。

 私は一旦書類から目を離して光也くんの方を向いた。


「実はね。

 国内でもある大学が飛び級の学部を作ろうと頑張っているんだって」


 もちろん神戸教授の居る大学で、私という広告塔を捕まえられるならと大学理事会が前向きに考えているらしい。

 私が大検を取ったらという条件で、飛び級学部の新設に踏み切るとか。

 その時には、こちらも寄付をたっぷりと支払うつもりではあるのだが。


「そうか。

 そこだったらお前も外国に行かなくて済むな」


「そうね。

 私はなんだかんだで好きよ。

 この国」


 何度か米国に足を運んだからか、その思いは一層強くなった。

 色々理不尽な目にあったり、現在進行中であいつつあるけど、それでも私はこの国が好きだった。


「ちなみに、好きな理由を聞いていいか?」

「ご飯と味噌汁と四季とライトノベル」


 即答した私に光也くんは苦笑する。

 嫌いなものも多いが、好きなものを先に提示すると、その好きなものがどれほど大きいか思い知らされる。


「たしかにそれは外国では無いな」

「でしょう?

 新刊が手に入りにくい場所で待つなんて私我慢できないから」

「たしか、『ここで終わるの!?』とアヴァンティーで叫んで帝亜たちを心配させたろ」

「で、みんな読んで、私と同じ悲鳴を上げたんだから同罪よ」


 人とは知っていても繰り返すものである。

 こんな引きで思いっきり苦しんだ過去があったのだが、ついつい手にとって、タイトルで『あっ……』となっても読んでしまうのが名作というものなのだ。


「そういえば、飛び級を考えたって言ったけど、光也くんはしないの?」

「中検大検を受けてもその先の大学受験が問題でな」


 私の質問に、光也くんはあっさりとできない理由を言った。

 ある意味納得の理由を。


「日本の官僚の中枢を占める連中、飛び級のない東京大学法学部卒業なんだよ」

中検と大検

 正式名称は『就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験』と『大学入学資格検定』。

 大検の方は『高等学校卒業程度認定試験』に名前が変わっている。

 色々穴があるかもしれないが、現実には無い飛び級クリアのためなのでご容赦を。


今読んでいるラノベ

 『マリア様がみてる レイニーブルー』。

 『レイニー止め』という言葉まで生み出した伝説の一冊。


東京大学法学部卒業

 外国人と話して「へー」となった話だが、外国ではこのような誰にでも分かる出世の登竜門が知られている事がない国の方が多いらしい。

 もちろん実際に行けるかどうかは別として、国民の大多数が知っているエリートへの道というのがあるのは社会の安定に寄与するメリットなのだとか。

 なお、そういうのが無いと壮絶なコネ社会になり、貧困からの脱却が凄く難しくなるらしい。

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― 新着の感想 ―
光也君なら、在学中に国一合格して中退入省、と言う方が似つかわしいと思います。外務省や財務省のエリートに結構中退入省居ますね。
2025/04/06 12:56 にゃんこ先生
[一言] 現実ではこの年代だと既に千葉大学が飛び級は実施していたような
[一言] 大学っていくつ卒業してもかまわないんですよね 米国だと複数の大学院出なんてごろごろいるし 知り合いだとわりと多いのが 工学部+教養学部(放送大学) 放送大学は現役時もっと勉強しておけばよかっ…
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