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後日談 涼子

ようやく最終話を投稿できました。

遅くなって申し訳ありません。

 今日の世界



 作戦本部に設置された数々のモニターから刻々と変化する戦況が映りだされていた。

 だがそれも。


「Cポイント陥落、β部隊壊滅!」

「同じくDポイント陥落、α部隊音信不通です!」

「Bポイントで交戦中!あ、いえ交戦終了!依然『J』は侵攻を止めず、進み続けています!」

 圧倒的に不利な情報が映し出される状況にオペレーター達の悲鳴が上がる。


「こ、このままでは絶対防衛ラインまで突破されるのでは?!」

「そ、そんな!に、日本はどうなっちまうんだ!?」

「落ち付きなさい」

「「「!!!」」」

 騒然とした作戦本部に凛とした声が響き渡る。

「β部隊α部隊は残存戦力を合流させ、至急Aポイントに集結、その後に絶対防衛ラインまで後退をさせなさい」

「き、局長!」

「復唱!」

「は、はい!β部隊α部隊は残存戦力を合流させ、Aポイントに集結!その後、絶対防衛ラインまで後退」

 命令を受けたオペレーターは慌しく機器を操作し次々と連絡を徹底させてゆく。


「『蝶』の様子は?」

「現在『巫女』が覚醒の祈祷を行っている最中ですが、覚醒にはまだしばらくの猶予が必要かと」

 別のモニターには巨大な繭を前にトランス状態で舞を舞っている少女の姿が映っている。

 繭の内側から異様な脈動を感じるが、羽化には今暫く時間がかかるだろう。


「魔法少女部隊の方は?」

 問いと共にモニターは別の場所を映し出す。

 画面の向こうには可憐な衣装を纏った女性達がずらりと勢揃いしていた。

 およそ、戦場へ向かとは思えない姿だが、誰もその姿に異論を唱えない。

 彼女達の強さは今までの戦歴が十二分に語っている。

 その中の一人、一際可憐な衣装に身を包んだ真っ直ぐな眼をした女性が敬礼をする。

「魔法少女部隊隊長、高瀬真理!現場に到着しました!」

「高瀬隊長、作戦は分かっていますね?」

「はい、絶対防衛ラインの死守、『J』は一歩たりとも陸には上げません!」

「もうすぐ、Ω部隊も到着します、それまで何としてでも持ちこたえて下さい」

「はい!行くぞお前ら!逃げる奴は『J』だ、逃げない奴はよく訓練された『J』だ!」

「「「「「「「ガンホー!ガンホー!!ガンホー!!!」」」」」

 戦場特有の熱狂が画面越しに伝わって来る。

 それは彼女達一人一人が歴戦の戦士である事の裏付けでもある。

「魔法少女部隊出動!戦場は本当に地獄だぜファハハハーーーー!!」

「「「「「「イエス!マム!!」」」」」」

 可憐な衣装を翻し手に馴染んだ得物を掲げ雄々しく出撃して行く彼女達。


 なお。

「相変わらず凄まじいな、この部隊は……」

「ああ………注意しろよ、彼女達の前では年齢の話は禁句だ」

「分かってるさ、俺だって自殺するような真似はしない」

「なら良いが、お前は口が軽いのが欠点だからな」

「ははは、気を付けるさ、こんな所で死ぬわけにはいかないからな、だって俺この戦いが終わったら、彼女に結婚を申し込むんだ」

「おい馬鹿やめろ」

 こんな会話が彼女達が出撃した後、交わされたとか無かったとか。


 彼女達の雄姿に作戦本部内がにわかに湧き立つが彼女は冷静に状況を分析し指示を飛ばす。

「Ω部隊の様子は?」

「あと、五分で戦闘区域に到着します」

「遅いわ、三分にしなさい」

「り、了解」


「……『彼』の調子はどう?」

「何時でも行けるぜ!」

 別のモニターの向こうから精悍な男性の声が答えた。

「装備の調子はどうですか?」

「問題無い!」

 モニターの向こうには奇妙な紋様が浮き出た機械を身に纏った青年の姿がある。

 それは最先端の科学技術に魔術や魔法等の学問を混ぜ、異世界からもたらされたミスリルやオリハルコンなどで作られたパワードスーツ。

 本来常人では使用不可能なほど強力なそれは十二神流格闘技を習得した使用者によって、その性能が十二分以上に発揮されたその力は、恐ろしいほどの性能をもたらした。

 だからこそ、彼はこういった事態の時、常に最前線へと向かう。

 それは彼が選んだ道だから。

 止めする術も。

 止める気も無い。

 だから。

「…………………気を付けて下さい竜太さん」

 ただ、モニター越しに万感の思いを込めて、この言葉を送るだけが精一杯で。

「ああ!任せときな!!」

 でも、だからこそ、それを知る彼にとって、それは万の言葉よりも貴いものであった。



 GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!



 スピーカー越しとはいえ『J』の本能的恐怖を呼び起こす雄叫びが響き渡る。

「うわ!」

「ひぃっ」

 作戦本部内に居る殆どの人間が怯える中、彼女は。

「来なさい『J』」

 怯える事無く迫りくる『J』を射抜くように見つめる。


 遥か古代。

 まだ幼年期だったころの地球に隕石と共に落下して来た、とある原始生命体。

 海の奥深くに眠っていたそれを、南緯47度9分 生計126度43分付近で行われた違法な核実験が叩き起こす事となった。

 実験の結果、海の底で眠っているモノが纏う神気と核物質が混ざり合い海流と共に『J』が眠る海域に大量に流れ込んだ。

 その結果、突然変異を起こし巨大化、それと共に全ての生物を憎むかのように凶暴化した哀れな怪物。

「例え彼方を生み出したのが人間の愚かさだとしても」

 例え、あの時、非合法な核実験を止める事が出来なかったとしても。

「私達は貴様を止めてみせる!!」

 それが特殊災害対策局局長、日比野涼子の役目なのだから。

 そう改めて決意を固めた瞬間。

 チュドーン

 いきなり作戦本部が爆発した。


「うわー!なんだなんだ?!」

「敵襲!敵襲!」

 騒然とする中。

「ふはははは!『正当魔法少女を守る会』参上!!」

 色々ブチ壊しな笑い声が辺りに響いた。

「馬鹿だ!馬鹿が来たぞー!!

「てめえ、この一大事に何してやがる!!」

「やかましい!お前たちの様な、なんちゃって魔法少女(笑)など我々が駆逐してやぶぎゅう!!」

 とりあえず目の前の馬鹿に渾身の右ストレートをぶち込む。



「作戦本部!何があった!」

 無事だった通信機の幾つかからこちらの応答を求める声が聞こえる。

 手近な職員が応答にあたり。

「こちら作戦本部、問題無い、馬鹿が少し遊びに来ただけだ、今局長が魔法少女状態で対応している」

「なるほど、それなら心配はないな」

 通信機越しからでもはっきり聞こえる肉を激しく乱打する音に何が起きているのか察したのだろう。

「爆発は派手だったが被害は軽微だ、直ぐに回復する、そちらは気にせず任務に集中してくれ」

「了解そちらも頑張ってくれ」

 ブツと通信が切られる、恐らく向うでも死闘が繰り広げられているのだろう。

 なおこちらの方も。

「死ねええ!変態ども!!」

「きょ、局長駄目です、一応人権団体を名乗っているので殺すのは不味いですよ!」

「関係無い潰せええええ!!」

 ある意味死闘が繰り広げられている。


 そんなこんなで、いまいちシリアス成りきれない感じに世界の平和は守られている。



 後日談 涼子編 終わり




 書かれなかった設定など。


 特殊災害対策局

 様々な『原作』に対抗するため設立された超法規的な対応が認められている局。

 清次を始め様々な政治系の『原作』主人公やメアリー・スーが携わり設立された。

 様々な『原作』の主人公及びメアリー・スーが所属している。

 色々な事情がある人達が集まるので、それらの事情を知る涼子が半ば強制的に責任者にされる。

 別名 特殊愚連隊。

 ただし戦果は誰の文句も出ないほど上げている。


 魔法少女部隊

 特殊災害対策局が保有する部隊の一つ。

 本編での事件の後、大半の魔法少女達は日常へと戻って行ったが、少数ながら自ら闘いを求める者、色々な事情で居場所が無い者などが集められて作られた部隊。

 当初は女の子のお遊戯部隊と馬鹿にされていたが、次々と襲ってくる『原作』絡みの怪物などを倒し今では精鋭部隊として存在している。

 また、他の『原作』によって魔法少女になり入隊する者もいる。

 隊長は『ミラクルポップ』の主人公『高瀬 真理』。

 魔法少女の力に加え、その後様々な格闘技や戦闘技術を取り入れ非常に高い戦闘力を持つようになった。

「魔法………少女………?」

 などと言ってはいけない。

 年齢の話題も禁則事項である。


『J』

 皆で足止めしている内に『蝶』が復活して、海上にて怪獣大決戦を繰り広げる。

 弱った所をテレパシー技能を持つエスパーによって説得。

 現在人類と共存の道を模索中。




 涼子について。

 物語の語り手であり主役。

 本来は魔法少女のメアリー・スーとして転生する。

 性格はいたって普通だが良い意味で一途、悪い意味で盲目的に思い込みが激しい所がある。

 本人は自分はチートは持っていないと思っているが、その思い込みの激しさこそ彼女のチートで、本来なら。

「物語をハッピーエンドにしたい!」

 という渇望でメアリー・スーとして申し分ない力を持った魔法少女が誕生していた。

 本編では他にメアリー・スーが存在すると知って、ある種の『甘え』が彼女の中に生じてしまい、そこまで強くなれなかった。

 作中での強さは他のメアリー・スーと比べて最低値に近く、魔法少女としての力も良くて中の下ほど。

 それでも作中、攻略対象者達に勝てたのは単に実戦の経験と地道な訓練、そして自身の怪我さえ厭わず勝ちを取ろうと言う一途さにある。

 その思い込みの強さゆえ自分が悪役令嬢だと思い込んだら他が見えなくなり大勢の人に迷惑をかけてしまったが、作中で竜太との会話や、両親との話し合いで緩和される。

 かと思ったら、進路を極危険地帯に選んだりと三つ子の魂百までな少々残念な子。


 プロットの最初の段階では解説兼リアクション担当の脇役の予定だった。

「あ、あれはまさか!」

「知っているのか雷電?」

「誰が雷電だ!」

 的な遣り取りをするギャク担当のはずだったが、プロットを練る内に主人公に格上げされ魔法少女という属性まで付いてしまった。

 最初に考えたエンディングでは、学園卒業後、普通の人と結婚して平凡な主婦になって、ある日テレビに世界中で活躍している友人達が映って。

「元気にやってるな」

 と嬉しそうに呟く。

 という内容だったが、書いている内に色々と変更して今回の様な形になった。

 本作品一番の出世頭。

 名前の由来は某怪奇小説に出てくる女性刑事から。

 また、何よりも複数の『原作』を記憶しているのが何よりもチートで、留学してからは率先してその知識を使って、様々な事件に関わって行き最終的に局長にまで上り詰める。

 日々、週刊世界の危機を迎えている世界であちらこちら駆けずり回っているせいで休みがほとんど無い。

 たとえ寝たとしても夢の世界で厄介事に関わるし、もしも死んだとしても強制的に生き返らせる技術を持った人達に囲まれているので過労死も出来ない状態。

 ある意味、生き地獄(笑)

 たぶん婚期とか、そういったものは物凄く遅れる。

 魔法少女(笑)の称号も生涯憑いて来る。


 完全なifの話になるが、

 涼子が自身を悪役令嬢と思い込む前に魔法少女のメアリー・スーとして覚醒したならば、最強の魔法少女として二次創作などで最低系と分類される様な活躍を見せる事となる。

 その場合、両親との関係も。

「両親との不仲は死亡フラグ!」

 といった理由で非常に良好な関係を築き、周囲にも気を配り本編のように孤立する事は無かった。

 なお、涼子がこの世界の異常性を最初に目撃したオリエンテーションは魔法少女の活動で休むはずだった。

 その場合、優とはクラスメイト、他のヒロイン達とは良くて顔見知り、もしくは全然面識が無いまま卒業していた。

 ただ、何事も一人でやることには限界があるので大筋は『原作』通りに進む、なので魔獣召喚はちゃんと冬に行われる。

 その場合街に被害が及ぶ前にサクッと魔獣を倒してしまい、魔法少女達の姿も吹雪にまぎれて目撃者もいないので本編のような大騒ぎにならなかった。

 もちろん本編の様な、おっさん魔法少女など出現しない。

 また、攻略対象者達も、ヒロイン達にしつこく迫るが普通に振られる。

 ヤンデレルートに進む者も居るが腹パンで撃退されたり、乙女ゲームの本来のメアリー・スーである木城によって穏便に事態は解決されていた。

 本編でのあの惨状は彼らの愚かさの結果でもありますが、涼子が絡まなければマスコット(笑)が彼等に目を付ける事も無くTSされる事も無かった。

 この事に関しては、攻略対象者達も怒っていいと思う。




 この世界について。

 様々な『原作』が存在する混合世界、スパ○ボ時空のようなもの。

 ス○ロボ時空と違うのは存在する『原作』がロボット物に限られていない事と、『原作』を知るメアリー・スーが存在している事。

 特に何かしらのアクションを起こさなければ大筋『原作』に沿った展開になるが、それとは違った展開にしようと動くと変えようとする未来の大きさに合わせて反発が大きくなるが本人の努力次第で乗り越えることは可能。

 そして殆どの『原作』は自分達以外の『原作』がある事に気が付いていなかった。

 原因は色々あるが、世界の強制力なのか、メアリー・スーが自分以外のメアリー・スーに接触しようとすると何かしらの妨害が起こる。

 例

 オリエンテーション時のクマ出現など。

 また、下手にヒーローに助けを求めると原作同士が絡み合ってとんでもない事に成る場合もある。

 例

 最終決戦でのおっさん魔法少女の出現など。

 だから薄々気が付いている人もいたが積極的に関わろうとはしなかった。

 だが、涼子達の活躍(?)により大々的に様々な能力者が居る事を世界中の人間が知ったおかげでドミノ倒し式に様々な『原作』がある事が発覚した。

 要約すると。

 ヒーローもヒロインもメアリー・スーもいっぱい居ます。

 だから貴方が何か困った事に巻き込まれたのなら、誰かかに頼ってみて下さい。

 きっと誰かが助けてくれます。

 ただし悪役もわんさか居るので下手したら本編のような大惨事になる事もありますので注意して下さい。


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