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猫の王子様  作者: 嶋次郎
1/5

猫の誘拐?

スーパーから帰宅し、ご飯や風呂を済ませて寝た。そこまではよかったんだけどなぁ……そこまでは。

ここは大学の教室だ。でっかい教卓の前で教授が嫁に対する不満をだらだらと語っている。

高校から進学したこの学校だが、俺はかなり後悔している。

大学のオープンキャンパスに行ったときは丁寧な説明と授業体験をしてなかなかいい学校だと思ったのだが入学してから愕然とした。

教授の話は経済と関係のないことがほとんどだし、学食はまずいし、女はかわいくない。

せっかく高い金払ってこの学校に来てやったというのにこれじゃあ滑り止めの学校に言ったほうがまだましだったと思う。

「はぁ……」

「ん、なんだぁ?新次。そんなため息ついて。欲求不満か?」

となりの拓海がひっそりと話しかけてきた。

「いやべつに。この学校が何もなくてつまらないなんておもってないよ」

「聞いてねえ事をスラスラというねえ。トップ入学の荒川新次くん?」

「トップって……大体この学校勉強しなくても入れたそうじゃないか。馬鹿みたいに勉強してた俺は恥ずかしいよ」

この学校、毎年卒業していく先輩がここの評判を悪くしているようでどんどんと弱体化しているようなのだ。その結果、俺たちがここに入学したのが最後らしい。俺たちが卒業したら廃校だそうだ。

「なあ、今日これで終わりだろ?めしでもくいにいかね?」

俺たちの今日の時間割が偶然にも一緒だったということでこの後はよくどこかへ出かけている。

のだが、

「わり!今日はちっと無理!」

「え、なんで?」

「今日はスーパーの特売日なのだ」

「は?」

そう、これから俺は月に一度のスーパーもとこちゃんの特売日というなの近所のおばちゃんたちとの戦争なのだ。

「近所の人からも戦線布告されてるからな。これは逃げられないぜ」

「お、おう……?」

「だから今日はなしで頼む。今度行くときメシおごってやるから勘弁してくれ。じゃあ体力蓄えるために寝るわ。おやすみー」

そういって拓海の返事も聞かずに俺は戦争準備(仮)のために寝に入ったのだ。



「むう、今月もこの日がやってきたか」

そういって俺は武器(エコバック)を握り締める。

アパートの一人暮らしとしてはこの日だけははずせない。

「ふふふ……来たわね新次くん」

「!?その声はキヨミさん!この地域で5本の指に入る主婦!やはりきましたね」

「前回の借りは返させてもらうわよ。あの大根の仇は必ずとるわ」

「望むところです。あの大根は煮物にしておいしくいただきました」

「今日は私たちの戦いを周りの人が賭けているらしいわ。私にかけてくれている人たちのためにも負けられないわ」

「俺だって引き下がりませんよ。覚悟してください」

キヨミさんと俺との間で視線がぶつかり合う。もうすぐ開戦だ。


「これから本日限りの特売イベントを開始いたします。みなさん店が開いてもあわてずにおはいりください。なお、怪我や病院送りとなってしまっても当店は一切の責任を負いませんのでよろしくお願いします」

俺の周りには目の血走った主婦たちが数十人いる。店長の注意など何も聞いていない様子だ。そういう俺も人のことは言えないが。

「それではカウントダウンに入ります。5…4…3…2…1、スt」

「「「「「「ぬおおおおああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」」」」」

店内に響く罵倒と悲鳴の嵐が聞こえてくる。俺はいつもこれが人間なのか疑わしくなってくるのだがどうだろうか。

床には髪の毛を引っ張ったとされる髪が散乱していたり、商品の袋が破れたのか少し飛び出たものもある。

俺はとにかく物をつかんでエコバックの中にねじ込んでいった。缶詰や野菜やお肉など正直どれをつかんでいるのかわからなかったがこの戦いがすべて終わった後、俺は勝利を確信した。


「……完敗よ、新次くん。大根の仇は取れなかったわ……」

「こちらこそあぶないところでした。まさかあそこでハンドスクリューをだすとは」

「ふふ……新次くんのメテオサルベージも完成していたようね」

「いえ、まだまだです。ありがとうございました。またよろしくお願いします」

「ええ、こちらこそ」

そういって俺たちは握手を交わし、主婦同士のライバルとして、そして時には戦友としての絆を深めていくのだった。



帰り道。

すっかり暗くなってしまった夜道で歩きながら今日の収穫物を整理していた。

「ネギと大根ともやしは予想以上だな。お肉は少し足りなかったか。ん?なんだこれ……」

そこにはなぜか『猫王』と書かれた猫缶が入っていた。

「あの缶詰の感触はこれかよ……どうすんだこれ……」

などと悩んでいたときだ。

「にゃーん」

ん?猫かな?

声のあった方向を見てみるとそこには真っ白なつやのあるきれいな毛をした白猫がいた。

少し近づいてみるとどうやら弱っているようだ。

「迷い猫かなぁ……少しやつれているみたいだな。おーい大丈夫ー?」

話しかけてみるとか細い声でにゃーとないた。

「ほっとくわけにはいかないかなぁ。……あーそうだ、こいつにあげるか」

エコバックから取り出したのは『猫王』。

うちのアパートはペット禁止だしつれては帰れないので猫缶だけ置いておくことにした。

「こんなところでやくだつとはな……っと!ほれ、猫王だぞー高級だぞー」

まあ特売のだったから安かっただろうが。

猫缶を開けて今日買った使い捨ての紙皿に移して白猫の前に差し出すとゆっくりと猫王に近づいて食べ始めた。

「どうだ?うまいか?」

俺が話しかけると猫はまたにゃーとないた。

「さて、俺も腹減ったし帰るかな。じゃあな白猫ー、早くおうちに帰るんだぞー」

そう言って俺はその場を後にした。



家に帰ってメシを炊き、おかずを作って夕食にありついた。そして風呂やテレビなどで自分の時間をつぶして俺は布団に入って寝た。

そして俺は久しぶりに夢を見た。真っ白なワンピースを着たきれいな女の子ががうちに来て俺はその猫についていく夢だ。

アパートを出て俺はよく知らない道を延々と歩いていく。

しばらく歩いていくと人には少し小さなトンネルに入っていく。

そこにはたくさんの猫たちがいた。

俺と女の子を囲むような形で行進しているようにも見えた。

女の子は俺の手を握っている。なぜかは知らないが俺も悪い気はしなかった。

そして俺はトンネルから出ようとしたら……。

「はっ!?」

なんだかゆれている。

なぜか目の前には青い空と白い雲が広がっている。

慌てて体を起こして周りを見るとなんだこれ?

俺の周りには木や草が生い茂っている。

てかめっちゃ空気うまいし、きれいなところだ。

再度自分が揺れていてどこかに移動しているような違和感を感じた。

布団をはがして下を見てみるとそこには、

「猫の大群だ……ってええええええええええええええ!!??」

布団の下にはなんとたくさんの猫たちが行列を作って俺を背中に乗せて運んでいるではないか。

三毛猫、アメショー、黒猫やマンチカンまでいる。マンチカン足短くてちょっと大変そう。

「……夢か?いや夢としか考えられん。なんて素敵なところなんだ」

実は猫好きな俺にとっては最高の夢である。もう覚めたくない。

「まさか夢の中でまた夢を見るとは……」

「おや、起こしてしまいましたかな?」

「は?」

周りを見回してみると俺の布団の傍らに猫が乗っていた。漫画のようなひげのあるいかにもおじいちゃんのような猫だ。

一瞬この猫がしゃべったのかと思ったがさすがにないだろうともう一度あたりを見回してみる。

「いやいやこっちですぞ、こっち」

声のしたほうを向くとやはりさっきのおじいちゃん猫がいた。

「え、もしかして本当におまえ?」

「さようでございます。申し遅れましたが私、セバスチャンと申します。以後お見知りおきを荒川新次様」

「あ、どうも。こちらこそ……ってなんで俺の名前を?てかここどこ?これ夢だよね?」

俺はテンパっていてセバスチャンと名乗る猫にいろいろ聞いてしまった。周りから見たらさぞかし奇怪なことだろう。

「落ち着いてくだされ。まずお名前はお嬢様からお聞きいたしました。なんでもカバンの文字を見たようです。ご丁寧に振り仮名まで振っていただけたので、すぐに読めたとのことです。次にこの場所ですが、ここは我ら猫たちが普段住んでいる第一ネクロス帝国です。この国は人間界とつながっており、自由に猫たちが出入りできるようになっています。他の国では違う方針もありますが。そして最後にこの出来事はすべて現実でございます。ご心配でしたらご自分の手で頬をつねってみてはいかがですかな?」

ペラペラと俺が尋ねた質問をすべて返してきたセバスチャン俺は彼の言ったとおりに指で頬をつねった。

「いたたたた!……ウソ……これはマジでリアルすぎ……」

どうやらおおマジのようだ。

「わかっていただけましたかな?」

「あのさ、100歩譲って現実だと信じることにするよ。そうしないと話が前に進まない気がしてきたから」

この奇怪な状況をすぐに信じろというほうが無茶な話だ。

猫が会話をし、俺を乗せて走っている。夢以外の何だというのだこの状況は。


少しづつ更新していこうと思います。

いつもご鑑賞していただいている皆様ありがとうございます。

今後とも『猫の王子様』をよろしくお願いいたします。

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