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〜片手物語〜

【アテンション】

 一応導入の役割を持っていますが、

・本編のノリとは違います。

・本編とはほぼ関係ありません。

 です。

 あるところに、一人の王女様がいました。

 その王女様は貧乏王国のたった一人の王女で、日々自分にできることは何かと考えていました。

 そんな彼女に舞い込んだのは一つの縁談。隣国の見目麗しいと評判の第一王子との結婚話。それは、誰もがうらやみ、また、ありえないと言うようなものでした。

 それもそのはずです。だって、二人は王族ですが、客観的に見ればあまりにも身分違いなのですから。

 王女様のお父さんは、即座にOKしました。海老鯛だと思ったのです。

 娘のことを海老と言ってのける父親から聞かされた結婚の話を微妙な表情で聞いた王女様でしたが、抵抗はしませんでした。これこそが今の自分にできることだと感じたからです。

 王女様は少ない嫁入り道具と仲の良い使用人を連れて隣国に嫁ぎました。

 そこで初めて目にした王子様は、輝かんばかりの美しさの美男子でした。こんな人に自分が釣り合うはずがない。と王女様は、非常に慎ましく暮らしました。詰まるところ、ヒキコモリになったのです。

 大親友の侍女と部屋で本の感想を語らい、小姓と城下の噂話をしては王宮に使える者の子供達と、お財布に優しいお茶会を開くのです。そうしていれば、王子様に思いを寄せ、側室でもいいから結ばれたいと願う令嬢達に、遊びほうけて散在している、などと言われて嫌がらせされることがないからです。

 けれど、彼女には悩みの種がありました。なるべく関わらないようにと避けていた、リア充スーパーイケメンインテリ野郎こと王子様が、やたらと構ってくるのです。

 令嬢からの嫌がらせをされないようにと王子様から逃げていた王女様も、真摯な王子様の態度に心を開き、ついに二人は両思いとなりました。

 これで幸せ、と思っていたらまた問題。王子様を溺愛する王妃様のしつこい嫁いびりが勃発したのです。これには王女様も折れそうになりましたが、旦那様との愛があれば大丈夫。二人で手に手を取って意地悪を撃退です。

 そんなある日やって来たのはとある国のお姫様。お父さんに甘やかされて育った温室育ちで高慢ちきでわがままな、けれど美貌の女の子。

 王女様は、恵まれた環境で育ったお姫様を羨ましく思いました。祖国を思っているとは言え、父親に「海老」呼ばわりされた彼女はなんだか微妙な気持ちだったのです。

 そんな王女様にお姫様は、宣戦布告をしました。

 私は王子様の心を手に入れる。

 どう見てもお似合いな王子様とお姫様の姿。王女様は、側室に、なんなら正室に彼女を迎えるべきでは、と言いました。そんな王女様を王子様は抱きしめて囁きます。僕の妻は君だけだよ。

 頼りにならない気弱な王様は、お姫様が既婚者である息子にアピールしていると知っていてなお、滞在延期を許可しますので、恋敵はいつもつけいる隙を狙ってきます。王妃様も、まだ息子夫婦の離縁工作をするので、お姫様にいらん知恵を授けますし、民は好奇心を押さえずに噂を流します。そんなこんなで、王女様は頭が痛くなりそうでした。

 でも、大丈夫。

 彼女には王子様がいるのです。

 二人が一緒ならば、どんな試練も乗り越えられるのです。

 つづく。






 そんな。

 そんな話だったはず。

 薬指の姫と中指の王子が両思いになって、へたれな親指義父と嫁いびりの激しい人差し指義母を家族に持ちつつ、恋敵の小指姫に邪魔されても、二人で愛を確かめ合う。そんな物語。

 私が考えたのは、そういう小さな女の子の憧れからできた実に陳腐な話。

 でも、でも__。

「なんか、違う!」


 長野なこ。十五歳。

 転生して、エセ中世時代の貧乏王国の王女になりました。

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