第17話 体育祭二日目⑤
お久し振りです
「さぁ気合い入れて守ってくぞ!!」
二回の表、来人の掛け声で守備につく。
前の回は心の打った球がホームランになるかと思ったのに、凌がフェンスに飛び乗って取ったおかげで一点も入らなかった。
普段面倒くさがっているのに、なんでこんな勝負事だと頑張るかな。
負けず嫌いだからかな。
『4番ファースト・香川くん』
右打席に入る4番の人。
愛加先輩が一球目を投げる。
「ストライク!」
空振りでワンストライク。
ボールとバットがすごく離れていたから、多分打たれないと思う。
4番の割にはボールが見えてないのかな。
「……次、打たれるな」
セカンドの徴が呟いたからそっちを向くと快音が響いた。
「え!?」
打球はライト方面に飛んでいって……スタンドに入った。
ホームランだ。
朱雀のベンチから歓声があがる。
愛加先輩はライトスタンドを涼しい顔で眺めているけど、内心すごく悔しいに違いない。
4番の人がベースを一周し、ベンチに戻ると再び歓声がおこる。
僕は徴に近付いて問いかける。
「何で打たれるって分かったの?」
「ボールが見えてないように見えたけどタイミングはしっかり合ってたし、目はボールをちゃんと追っていたんだ。それにわざとボールに当てないようにしているように見えたからね。一球目でタイミングを計って、二球目で思い切り振ってくると思ったんだ」
徴が何でもないように答える。
一球だけでそんなに分かるなんて、凄い洞察力だ。
「愛加先輩大丈夫かな?」
マウンドの上で腕を回しながら「打たれちゃったなぁ」と言いながら笑っている。
「しばらく様子を見るしかないよ。駄目そうだったら交代かな」
「交代って誰に?」
『5番レフト・鈴音さん』
話の途中でアナウンスがなる。
「ほら、守備につかないと。ミリーが心配しててもしかたがないよ」
徴が守備につくように促す。
僕は不満だったけど大人しく戻る。
徴の言うとおり僕は僕のやることをしっかりやるしかないし。
詩音先輩にヒットを打たれながらも、6、7、8番を打ち取ってチェンジになる。
次は5番の愛加先輩の打順で、休みなしに打席に向かう。
「大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫」
僕が心配していると徴が答えて、心の方に近づいて何やら話し始めていた。
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『5番ピッチャー・如月さん』
ああ、しんどい。
ピッチャーって楽じゃないわね。けど雪むrゲフゲフ……団の優勝のために頑張らなくちゃ。
伊波さんが振りかぶって1球目を投げる。
「ストライク!」
2球目はやっぱりストレート。
横溝の言った通りね。
でもあえて手を出さずに見送る。
2球目は……カーブ!
キンッ
「ファール」
ボールはバットにかすって後ろに飛んでいく。
3球目……フォーク!
「ボール」
でかかった手を何とか止めて踏みとどまる。
ボールは急激に落ちてベース手前でワンバウンドする。
「危ない危ない」
「ファール」
これで12球目。
私はカットし続ける。
「ちゃんと勝負しろっ!!」
「作戦の内よ」
しびれを切らした伊波さんが私に叫ぶ。
そろそろ良いかな?
私は思い切りバットを振り抜く。
「ストライク!バッターアウト!」
なんだ最後はフォークか。
まぁいいや、目的は達成したしねっ。
次のバッターの橋田くんに声を掛けてベンチに戻る。
「ちゃんと見てたの?」
「ん?はいはい見てましたよ」
ヘラヘラと笑う神崎。
大丈夫なんだろうか。
「じゃあ作戦通りに」
隣にいた稲嶺が言い、横溝が動き出す。
その間で大きな欠伸をする神崎。
……大丈夫か?
『二回の裏は三者凡退で終わり、一点リードの朱雀団からの攻撃となります。四番の香川くんの見事なホームランは『気持ち悪い』まだ引っ張んのかテメェ!!』
『怒るなよ東雲。器が知れるぞ』
『クッ落ち着け雷西。これは罠だ。櫻井さんは俺をからかって楽しんでいる『いや、面白くないし』上等だっ表に出やがれっ!!』
------しばらくお待ちください------
『さて三回の表です。実況は引き続き櫻井と、新しく担当になった山田会長でお送りします』
『櫻井さん?東雲くんは?』
『……死亡フラグって怖いですよね』
『はい?』
すみません
久し振りに更新でしたが、全然書けてません。
しばらくはまた更新も出来ませんし、とりあえず無理にでも年内には1話更新しておこうと。
少ししたらしっかりと書けそうなので、長くて1ヶ月、短くて3週間ほどかかると思いますが、またよろしくお願いします。
では皆さん良いお年を。




