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僕は僕だから僕なんだ  作者: 深雪林檎
◆第二章
38/52

SS3

シリアス…………?

「用件はなんですか?」


僕は校長室並みに立派な、普通の学校であまり目にする事はないであろう部屋に入るなり、中にいる男に問いかける。

背広姿にネクタイをしっかりとつけ、体格は中肉中背、額は後退が進んでいる。

この部屋--教頭室の主であり僕の父親。

わざわざ教頭室などというものがあるくらいこの学校では権力を持っている。

学校内ではその関係を隠し、互いに私用で干渉する事は今までに無かった。

僕はその関係を利用して色々な情報を漁ってはいたが、教頭に対して面と向かって話す事を苦手としている。

家でも同じだ。

話しかけられる事も滅多にないし、話しかけることもない。

僕はこの人が『教頭』もしくは『教師』としか思えない。物心がついた頃には父親として認識ができなかったのだ。

多分この人にも父性というものが無いのだろう。

その教頭が僕を個人的に呼び出した。

いったい何があったのだろう。

無意識のうちに身構える。


「君を呼んだのは他でもない」


貫禄のある面もちから低く重々しく放たれる言葉に僕はゴクリと生唾を飲む。


「実はだな…………君にはn「教頭、おかわりっ」はっ只今!少々お待ち下さい稲嶺くん」


はい?

開いた口が塞がらないとはこの事だ。

突然180°態度を変え始める教頭。

そして僕の死角にあった来客用のソファーに座る稲嶺くんにジュースを…………ってええっ!?何で稲嶺くんがっ!?っていうか何でそんな態度!?

もう何に突っ込めばいいか分からない。


「稲嶺くん!何で君がこんな所に!しかも何くつろいでジュースなんか飲んでいるんですか!」


案外まとまった言葉が出て良かった。

僕の言葉で稲嶺くんが面倒くさそうにこちらを見る。

なっ!?何ですかその目はっ!!


「教頭コイツうるさいな」


一言そう言ってストローでジュースを吸い始める。

なんて奴だ!!

前から(雪村くんと仲良くなった時)嫌な奴だとは思っていたけど、ここまでとは。というより教頭に対してなんて態度だ!!


「教頭!!何でこんな奴が……」


「馬鹿者っ!!」


突然の大声にビクッとした。

きょ、教頭?


「稲嶺くん!失礼した。いや……その……うちのバカ息子がとんだご無礼を……」


「いや、教頭に免じて許そう」


「はぁっ、ありがとうございます!」


え、何だろう。

もう驚きを通り越して逆に冷静になりますね。

何で教頭が生徒に許しを請うているんでしょうね。

何で生徒が完全に上から目線なんでしょうね?

そもそも生まれて初めて息子扱いされたのですが?

しかもこの状況で。

完全に親として認めれない……いや、認めたくないのですが?

あれ?目からまた汗が。


「とりあえずここ座りなよ」


稲嶺くんが向かい側に座るよう、僕に言う。

とりあえず大人しく座ると満足気に頷いて、今度は教頭に声をかける。


「コイツにも飲み物を。俺の客だから丁重に扱えよ?」


「は、はい!」


稲嶺くんの言われるがままに動く教頭。

そんな教頭に本当は慣れちゃ駄目なんだろうけど流石に慣れ……


「お待たせしました!他に何かご用がおありでしたら何なりとお申し付けくださいね。ではごゆっくりどうぞ」


れるわけがないじゃないかぁっ!!

何だその笑顔!?

子供が見たくない親の顔ベスト3に余裕でランクインですよ!!

子供にへつらう親って何なんですか!!

ああ、もう頭が痛い。


「じゃあ、早速本題な。お前、俺の手下になれ」


「お断りします」


飛びっきりのスマイルで拒否る。

いや、常識的にYESと答える人いないよね?

いたら変態か何かだよね。


「……教頭は2つ返事で了承してくれたのだがな」


この変態がぁぁっ!!

飛びっきりの形相で睨むと、否定もせず俯く教頭。

せめて否定だけでもしてくださいよっ!



「とにかく僕はそんなものにはなりません。話がそれだけなのなら失礼させてもらいます」


これ以上くだらない事に付き合ってられませんね。

立ち上がって部屋から出ようとすると、後ろから声が聞こえる。


「だってさ、教頭。何とかしてよ。じゃないと口と手が滑っちゃうかもよ?」

「うわっ!?」


ドタバタと音がして足首が掴まれる。

倒れそうになるのをすんでのところでこらえて足元を見る。


「っ!?…………」


何というか……絶句とはこの事ですね。

僕の足元に四つん這いで見上げてくる教頭。

必死の表情で逆らわないでくれ、と訴えてくる。

そしてソファーの上で楽しげに笑う稲嶺くん。

教頭…………どんな弱みを握られているんですか。

なんかここまで来たら可哀想ですね。


ため息をついて再びソファーに座る。


「……不本意極まりないですが、仕方なく了承します」


「そうか。なに、お前にとっても悪い話ばかりじゃない。まずは日曜日に用事に付き合ってもらうかな」


僕の言葉に微笑みながら言う。

その表情からはとても悪意のある人間とは思えない。

こうやって雪村くんに近付いているんだな。

この外道がっ。

だが雪村くんは渡さない。

何が何でも守りきる!!

こんな最低なゲス野郎には上辺は手下になっても心は絶対に服従しない!!

例えどんな事があっても!



僕は……雪村くんの為なら何だってするっ!!


「ああ、悪い話じゃないってのはまぁ、報酬ってとこだな。取りあえず……ミリーの生写真を5枚やろう」


「心から一生服従しますっ!!」


僕は……雪村くんの為なら何だってするっ!!

はいSS挟んでみました。

また中途半端な所で出すのも嫌だったので、一日目と二日目の間に割り込んで入れてみたりして。


時期的にはSS2の翌日くらい。

だから体育祭の1ヶ月前くらいですね。


教頭乙。


鈴木(仮)の手下生活が始まります。

鈴木(仮)のやられっぷりをご期待ください。






それはさて置き、来人のイメージが変わったでしょうか?

それとも最初から予想通りでしたでしょうか?

とにかくこれが来人です。

表では基本良い奴ですが、裏では人の弱みなんかを使って色々やっちゃってます。

ミー達には特に何もしないですので、ミー達にとっては良い友達なのでしょう。

まぁそれも上辺な付き合いなのかもしれませんが(笑)

いや、冗談ですよ。

来人クン良イ人デスヨ?


まぁ二章では出番が多いと思うので、その辺は読者様の見極め次第ってことで。






話の中で書いたんですが……普通、教頭室なる部屋ってありませんよね?

私の通ってた学校にはありませんでしたが。

もしかしたら案外どこかの学校にあったりするかもしれませんね。

多分無いと思いますが。







因みに僕の通った学校の体育館のステージの上の部屋みたいなの、がありました。

わかりますよね?

両サイドにある部屋です。

そこに入るには梯子を登り、天井についた蓋みたいな扉を開けないといけないのですが、それがびくともしないのです。

音もしないくらいぴったりと張り付いていて、飾りかと思います。

そんな部屋がありました。


そしてこれは聞いた話なんですが、昔そこである代の校長が自殺したらしいのです。

原因は生徒のサボリや奔放さにストレスが溜まり耐えかね、そこで…………


それからだそうです。

そこの部屋に蓋がされたのは。


いや、正確には少し経ってからですが。


校長が亡くなった後、普段サボってうろつく生徒が激減しました。

理由は分からないそうです。

その生徒達は何も語らず真面目に授業を受けたそうです。

何人かは行方が知れないそうですが……


それ以来開けられてはいない、開けてはいけない部屋です。

中には数え切れない生徒と校長の死体があるから……




という話が伝わってましたね。

昔はよくびびったものです。

そう考えると笑っちゃいますよね。

じゃあ今日はここまで(・ω・´)ノシ


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