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僕は僕だから僕なんだ  作者: 深雪林檎
◆第二章
33/52

第9話 体育祭一日目⑤

校舎の奥の奥。

普段からそうだけど、体育祭が始まっている今、ほとんど人も寄り付かない場所。

そこから微かに声が聞こえる。

内容までは聞き取れないけど、確実に穏やか口調ではない。

場所も場所、時間も時間だ。

私の少し離れた前にはアイツがそこに向かって歩いている。

そしてその奥を曲がった所から声は聞こえる。

周りには他に誰もいない。

アイツの様子が変だったから、からかいに来たらこの状況だ。

近付くにつれて声が鮮明に聞こえる。


「おとなしくしな。悪いようにはしないって」


「むしろ喜んでくれるんじゃね?」


「ははは、そうかもな」


「何なのよあんたらっ!」


「さぁ?何だろうね……つっ!?コイツっ!」


「きゃっ!」


「大丈夫かよ?血出てんぜ」


「まさか噛むとはな。てか殴って大丈夫なのかよ」


アイツが角を曲がる。


「おい」


普段の不機嫌そうな声よりも更に低い声でアイツは呼びかける。


「なんだお前!?」


長髪の男が気付いて問う。

私は校舎の陰から分からないように様子を見る。


制服でも体操着でもない明らかな外部の男が3人。

髪や服装から不良のようなものと分かる。

その側で倒れている女子生徒。

口の端から血が少し出ている。

そしてそこに近付いていくアイツ。


「お前らなにやってんだ」


アイツは逆に問い返す。


「あ?なんだよ。こいつがぶつかってきて飲み物を服にこぼすから謝らせてるだけだよ」


真ん中にいる茶髪が答える。


「あんたたちからワザとぶつかったんじゃないっ!!」


女子生徒は悔しそうに声を出す。

多分それが本当の事に違いない。

一番近くにいた手から血を流している短髪の男がそれに反応して足を上げる。


「うっせーな……ぐはっ!?」


上げた足を女子生徒に下ろそうとしたときに奥に吹き飛ぶ短髪。


「女に触んじゃねぇよ」


「てめぇっ!!」


吹き飛ばしたアイツが言うと、それを皮きりに3人が襲いかかり殴り合いになる。

と言ってもそれは一方的である。

殴られた方は血を流し、倒れ込む。

そこに更なる追撃が加えられる。

どちらかが気を失うまでするのが、彼らの中では当たり前なのだろう。

……だから自分がそうなっても文句は言えまい。

数分後には3人の体が積み重ね上げられる。


「おい」


「は…はい」


アイツは女子生徒に声をかけた。

女子生徒の方は腰が抜けているのか、座りっぱなしでいる。

「大丈夫か?」


「あ…はい。大丈夫です」


女子生徒はアイツが差し出した手を掴んで立ち上がる。


「保健室行ってこい」


「はい…あの…ありがとうございました」


女子生徒は深々と頭を下げて、走って行く。

私も見つかる前にそろそろ戻ろう。


「玲」


振り返ったところで後ろから呼ばれる。

私は溜め息をついて近づく。


「何だバレてんのかよ。流石は犬の嗅覚ってとこか?」


私は憎まれ口を叩く。

コイツは答えず黙り続ける。

じばらく間があき、私は俯いて聞く。


「もう……強くなれた?」


それに対してまた間があいて答える。


「……まだだな」


悲しそうな目。

悔しそうな顔。

三年前と同じ顔。

見た目や口調が変わっても、喧嘩が強くなっても、根本は変わらない。


「そっか」


私は笑う。

でも多分、悲しい顔をしてるんだろな。

その一言だけ言って私は立ち去る。

強いって何なんだろう。

馬鹿みたいに真面目に考えるアイツにとってただ単に強いだけじゃ納得出来ないんだろうな。馬鹿なくせに変にこだわりやがって。


“強くなってもう傷つけさせないから……だから…………”


三年前の言葉は今でもはっきりと覚えている。

ボロボロになって、泣きじゃくりながら言う男の子の言葉。


“だから……別れよう”


男の子の決意が分かる約束。

三年前の雪のふる日の約束。


“僕が自信を持って強くなったら……そのときはまた……付き合ってちゃんと守るから”


そして三年経った今でも果たされてない約束。

ずっと待ち続けている約束。

それ以来その男の子は変わった。

髪を金に染め、耳に穴をあけ、日々喧嘩に明け暮れた。

次第にその男の子の噂が広がり、三年経った今では恐れられて、喧嘩を売られる事も無くなった。

その陰で女性や子供が傷つかないように守って来たのも私は知ってる。

助けられた女子や子供から慕われているのも知ってる。

最近は決して間違った暴力を振るわないのも私は知ってる。

弱い者の為に頑張っているのも、誰にもそんな素振りを見せないようにしているのも知ってる。


それでもまだ約束は果たされてない。

アイツがまだ弱いから。

自分に自信が持てないから。


だから私はアイツをからかうんだ。

私がアイツを甘やかさないように。

アイツが私に甘えないように。

アイツ自身が自分で自信を持つように。


だから私は何年だって待つ。

アイツが納得がいくまではずっと。

だって……私はアイツの事が本当に好きだから。

今日はちゃんと書けましたー。

でもちゃんと書けてるか微妙です。


とりあえず、玲視点でした。

まぁ三年前の話ってのは特に分からなくても本編には支障が無いので書く予定は無いです。

書いた方が良いですかね?


他にもやっぱり番外編で書くことが多いです。

SSも書きたいし、柑奈の誕生日についても書きたいのです。

本編では書きませんでしたけど、茅依が退院した翌日が柑奈の誕生日なんですよね。

柑奈が『店』の手伝いをしてる理由も今話に関わりがあったりしますし、ミーと凌が関わるのにも関係があったりします。


そんなわけで色々書きたかったりするけど、ちゃんと書けなかったり、本編が進まなかったり。

しばらくは本編に専念するつもりです。

でも息抜きに書くかもです。

むしろそっちの方が直ぐに書けそうです。

とりあえず体育祭続きます。

一日目だけでかなり話数が多いような(汗)三日間で何話で何話になるのでしょうか。

とにかく一話一話しっかりとなるべく早く書いていきますね。






そう言えば投稿し始めて1ヶ月ですね。

もう1ヶ月ですか。

早いですね。

1ヶ月書いた割には成長しませんね(笑)

相変わらずの下手くそな作者です。

こんな私ですがこれからもよろしくです。






明日は早く起きるっ。

何となくそう決めました。

ちょっと寒いけど散歩でもしようかな。

家のすぐ側に散歩にはちょうど良い道があるのでたまに行きますね。

趣味ってほどじゃないけどたまに行くくらいには楽しいです。

体を動かすのは嫌いじゃ無いので。


食は細いけど、体は結構動きます。

低燃費ですよ。

最近は一日二食。

多分1000カロリーくらいしか摂取してないような気がします。

お腹が空かないのです。

まぁ生きていける分には食べているので大丈夫…だと思います。


まぁとにかく今日もここまでですよ。

ではでは(・ω・´)ノシ

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