第4話 また『店』
幅跳び……やったことない
「よっと」
着地と共に砂が巻き上がる。
「記録…6m36」
横溝君が計ってくれる。
結構良い記録がでていると思う。
団の中では僕が一番跳べている。
「これならあと少し練習すれば一番取れそうだな。陸上部と同じくらい跳べているし。」
「ありがとう横溝君」
「じゃあ、もう一回やるか?」
「うん」
一緒に練習するようになってから横溝君とは良く話すようになった。
名前は徴
名字と名前で画数が多いのが嫌らしい。
けっこう面倒見が良くて良い人だ。
僕はスタート地点へと戻る。
35mと少し離れた地点。
僕は助走を取り始め、20歩足らずで踏み切り付近まで到達する。
最後の何歩かのリズムを整え、かかとからつま先にかけて足首のスナップをきかせて思い切り踏み切る。
助走の時とは違う風の切り方をして、数秒滞空して砂を巻き上げる。
「記録……6m51」
僕は砂に埋まりながら、横溝君の声を聞く。
「ぺっぺっ」
「大丈夫か?」
「ははは、何とか」
最後は勢いあまって頭から突っ込んでしまった。
横溝君の手を借りて立つ。
「でも、また伸びてよかったよ」
「これならいけそうだなっ」
「うん」
しばらく練習して、僕たちは他の場所も見に行くことにした。
「俺の方が3cm高いな!」
「それは神崎君が男子だからでしょう?身長も高いし」
「男女平等だよっ」
「そういうのは良くないと思うなっ」
高跳びの方から聞き慣れた声が聞こえる。
見ると燈加と心が言い争っていて、周りの生徒は苦笑いしていた。
「どうしたの?2人して大きな声出して」
僕は聞きながら近付く。
すると2人は気付いてこっちを見る。
「ミリー、柊っちが負けを認めないんだよ」
「あら、女子と同じくらいしか跳べない男が何を言ってるのかしら?たかが3cmの差じゃない」
「その3cmが大きいんだよ!!」
再び言い争う2人。
今度は横にいた横溝君がなだめる。
「まぁまぁ2人とも落ち着きなって。で、記録の方はどうなんだい?」
「181cmだ」
「178cmよ」
2人は同時に答える。
「そうか、じゃあここも大丈夫そうだな。じゃあ仲良く頑張ってくれ。雪村、他も回ってみようか」
「あ、うん」
僕は2人に手を降って横溝君についていく。
今度は次にどっちが跳ぶか言い争っていた。
あとから聞いたんだけど、2人の記録は地方と大会くらいなら入賞できる記録らしい。
どおりで陸上部の人が涙目だったわけだ。
でもなんだかんだで2人とも楽しそうにやっていて良かった。
「茅依ちゃんは何に出るの?」
家でまったりしながら聞く。
連日の練習のせいで疲れがたまってる。
「えっとね、100m走と、200m走と、50mハードル走と、借り物競争と、バトミントンに玉入れ……かな?」
指を折り曲げて可愛らしい仕草で答える茅依ちゃん。
やっぱりというかなんというか、得点の低い競技ばかり。
運動苦手だもんね。
「ふーん。凌と玲は?」
「えと、凌君と玲ちゃんは選抜リレーとかだったと思うけど……あっ、2人で二人三脚に出るんだよっ」
最後に茅依ちゃんが楽しそうに笑って言う。
「へぇー!?あの2人がね」
僕は驚く。
何歩進めるのか楽しみだ。
「凌君と玲ちゃんってけっこうお似合いだよね」
「凌に言ったらキレそうだけどね」
僕と茅依ちゃんは笑う。
あんな2人だけど、実際のところ僕もそう思っている。
なんだかんだで仲が良いと思う。
若干、主従関係があるけど。
翌日。体育祭の練習後に『店』による。
玲に(無理やり)連れてかれて。
「こんにちはー」
玲が入り口の鈴の音に負けないくらい元気に入る。
僕もそれに続いて入る。
「いらっしゃ……あ、玲さん。それにミーも」
「玲さんっ!!いらっしゃいませ!!」
柑奈が出迎える。
凌は明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
柑奈の声に反応して奥でゴロゴロしていたっあろう芹蒔が飛び出してくる。
「柑奈に………2人とも元気そうだなー」
「芹蒔っ!!羽次芹蒔ですっ!!」
名前を思い出せなかったのか、少し考えたあとごまかして続けた玲。
それに対して涙を流して叫ぶ芹蒔。
うるさい。
「それにミリ……ええっ!?」
芹蒔が僕を見て驚く。
「どうした…の!?」
今度は蒼佑が顔を出して驚く。
ああ、そういえばまだ説明してなかったっけ。
「本当にミリーかよ!?何だそのかm(ry
「店長、コーヒー2つ」
というわけで説明し終わり、玲が注文する。
「ちっ」
舌打ちしながらも渋々といった様子で凌がコーヒーを淹れる。
それを柑奈が運んでくる。
「コーヒーはうまいけど、店長が愛想悪いんだよなー」
玲がコーヒーを一口飲んで言う。
「嫌なら帰れ」
「まぁまぁ、そういえば凌は何に出るんだっけ?」
僕は凌がまたキレる前に話をそらす。
早めに対処しておくくらいがちょうど良い。
「男女で二人三脚(笑)」
「あっ」
玲が笑って答える。
僕は初っ端から地雷を踏んだ事に気づく。
「二人三脚だってぇっ!?そんな競技を男女でしてキャッキャウフフな展開にならなすみませんでしたぁぁっ!!」
芹蒔が急にテンションを上げて喚きだしたけど、凌に睨まれてやっぱり壁まで下がって土下座した。
うん、相変わらずの速さだ。
「店長、誰とするの?」
柑奈が興味津々といった様子で聞く。
凌は黙って答えない。
「もしかして玲さんっ?」
「パリーン」
返事の代わりに拭いていたソーサーを落として割る凌。
「えっ!?本当なの!」
冗談で言ったのか、本当にそうだとは思ってなかったようで両手で口を抑えて驚く柑奈。
「店長!!ズルいっすよ!!俺だって……俺だって玲さんとキャッキャウフ「ああ゛ぁっ!?」すみませんでしたぁぁっ!!」
懲りずに同じ動作を繰り返す芹蒔。
だから何でそんなに速く動けるんだろう。
「何だあ?ヤンキーのくせに照れてんのかぁ?」
玲がにやけて凌をからかう。
「お前みたいなやつに照れる物好きなんかいるわけねぇだろがっ」
そこにいます。土下座をしています。
「あっそうかい。じゃあ店長、コーヒーおかわり」
空になったコーヒーカップを持ち上げる玲。
「…………」
凌は全く反応しない。
「おーい」
「…………」
玲が呼びかけるがやっぱり反応しない。
「お・か・わ・り」
「…………」
「犬?」
「…………」
「あれは雪の降った日だったな。そこの……」
「おかわりだなっ!?ミリーも飲むだろっ?」
慌てて動く凌。
やっぱり何か弱みを握られてるんだろうか。
玲がニヤニヤと笑っている。
それに対して凌が玲を睨みつける。
こんな凌、滅多に見ないから気になる。
この調子じゃ教えてくれないだろうなぁ。
「あはははっ、楽しかったなぁ」
玲が歩きながら笑う。
僕と玲は『店』を出て並んで歩いている。
もう夕日で街がオレンジに染まっている。
結局その後も玲は凌をいじって散々楽しんでいた。
「玲は凌をいじりすぎだよ」
僕は苦笑して言う。
流石にやりすぎじゃないかな。
「あれで良いんだよ」
玲は当然というように答える。
そして歩幅を大きくして少し先に行く。
「アイツは馬鹿だからさ」
寂しそうにそう言って玲はそのまま帰っていった。
はい4話でしたー。
どうも特にしらない事を書くのは難しいですね。
ほとんど調べて書いたのですごく分かりづらいです。
すみません。
幅跳びなんてやったことないですよ。
高跳びならやりましたが。
確か165cmくらいしか跳べてないです。
とまぁ、それはおいといて
3人分のプロフィールを書いておきましょう。
参考くらいにしてください。
◆如月愛加
・三年生18歳
・身長 177cm
・体重 59kg
・趣味 盛り上がること
・勉強 B
・運動 A
・特徴 スタイルが良い、整った凛々しい顔、活発的
◆山田大輔
・一年生15歳
・身長 168cm
・体重 53kg
・趣味 特になし
・勉強 B
・運動 B
・特徴 普通
◆横溝徴
・二年生16歳
・身長 170cm
・体重 55kg
・趣味 読書、インターネット
・勉強 A
・運動 C
・特徴 紳士的、好青年
と、こんな感じに適当にまとめます。
割と適当なんで適当に見といてください。
この場合の適当は『ほどよい』ではなく『おおざっぱ』な意味で捉えてください。
バカデミー大賞面白かったです。
軍隊のやつが笑えましたね。
ミサイルがピョロッって出てくるやつ。
ああいうの見るとある意味平和だなぁって思います。
実際はそんな状勢ではございませんが。
たまにはそんなのも良いのではないでしょうか。
とにかく笑えましたね。
さて、本編ですが。
うまく纏められるかまたもや心配です。
話の大筋は決まったのですが、競技についてうまく書けないとか、SS書きたいとか、番外編で補足しないといけない事があったりとか、忙しくて手が回りません。
とりあえず後ろ2つは置いといて、本編をしっかり書きますが、やっぱり気になるわけで。
進行上、若干空気になりかねないキャラがいたりとかなったりしかねなく、早めに出しておくか、ということで今回の2人。
いや蒼佑が一言しか喋ってないような気もしますが(汗)、とりあえず玲と凌の伏線もありましたので。
どうなるんでしょうね。
ちゃんと纏めれるのでしょうか。
まぁ頑張りますが。
頑張るしかありませんが。
とりあえず今日の更新ということで。
では今日もここまでで(・ω・´)ノシ




