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僕は僕だから僕なんだ  作者: 深雪林檎
◆第一章
21/52

第21話 本当の自分

「う…」


目が覚めると病院だった。

全体的に白い色、消毒液の匂い。

なんでこんな所に……


「あ…」


思い出した。

僕が…僕のせいで茅依ちゃんが…


「あ、ミー君起きた?」


横を見ると椅子に座っている人がいた。


「燈加…」


「やっと思い出した?」


燈加が嬉しいような悲しいような顔をする。


「……ごめん」


僕は謝る。5年前の事を。

僕が犯した最初の過ちを。


「それは後にしてついてきなさい」


燈加が立ち上がって部屋から出て行く。

僕は慌てて追う。

燈加に連れられて別の病室に入る。


「茅依ちゃん!!」


僕は駆け寄る。

茅依ちゃんは頭と足、手、多分服の中も包帯を巻いているのだろう。

痛々しい格好でいた。


「ミー君…無事で良かったねっ」


僕を見て笑顔になる。

それを見て僕は止まって俯いた。

僕にはそんな顔を向けられる資格がない。


「茅依ちゃん…ごめん。僕が…僕がっ……」


「誰にも心を開かなかったらこんな事にはならなかった?だから本当の自分を隠して周りとは距離を置く?そうしたら誰からも助けられなくて周りは傷付かない?」


僕は顔を上げる。

茅依ちゃんはもう笑ってなかった。

真剣な眼で僕を見ていた。


「燈加さんから全部聞いたよ?」

僕は振り返って燈加を見る。


「ミー君は何も分かってない。心を閉ざして何になるの?私がミー君を恨んでるなんて思ってるの!?ミー君は自分から逃げただけ!!向き合うのが怖くて嫌な事は忘れただけ!!私はそんな為にミー君を助けたんじゃないっ!!」


「燈加…」


「ミー君?私も一緒だよ?もしまたそんな事するなら許さないんだからっ」


後ろから茅依ちゃんも言う。

僕は……








5年前まで僕は普通の子供だった。

髪の色も隠さなければ、敬語も使わない男の子だった。

そして僕には毎日一緒に遊ぶ友達がいた。

それは燈加だった。

家に来てはゲームをし、父の料理を食べ、外に行っては暗くなるまで遊び通した。僕はありのままの自分をさらけ出していた。




燈加が僕を庇って事故にあうまでは。

その後、燈加は姿を見せなかった。

父は生きているとしか言わなかった。




僕は心を閉ざした。

大切な人が傷付くのが嫌だった。

髪を隠した。

敬語を使い出した。

出来るだけプライベートに近づけなかった。

上辺は友人を名乗っても心は開かなかった。

誰からも大切に思われないように。


そして嫌な事は忘れた。

心を開いてはいけない。

という暗示と言ってもいい概念を残して。



全部思い出した今まで無意識に封じていた記憶。









「でもっ!!僕はっ!!」


僕にそんな資格はない。

こんな僕なんか生きる意味がない。

燈加にも茅依ちゃんにも顔向けできない。


「!?」


突然後ろから抱きつかれた。


「ミー君」


茅依ちゃんの声が聞こえる。


「私は後悔してないよ?だって大好きなミー君を助けられたんだもん。ミー君は優しすぎるの。自分を犠牲にしてまで周りの人を大事にする人。ミー君、自分を大切にして?もう自分を傷付けるのは止めて」


「茅依ちゃん…」


「そうよミー君。ミー君はありのままのミー君でいていいの。誰もミー君が心を閉ざす事なんて望んでない!!自分の為に生きて!!昔のミー君に戻ってよっ!!」


「燈加…」

2人とも泣いていた。


「僕は…もう…僕でいて良いの?」


僕の口から言葉が零れる。

敬語で偽られた言葉でなく、ありのままの僕の言葉。


「うん。ミー君はミー君のままだからミー君なんだよ」


「僕は…僕だから…僕?」


茅依ちゃんの言葉を繰り返す。

涙が幾粒も零れる。

僕は大声で泣いた。









‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐







「ミー君寝ちゃったね。可愛い」


「5年の間ずっと疲れてたのよ」


私は膝の上で寝ているミー君の髪を撫でる。


綺麗なアッシュブロンド。

やっと昔みたいに戻れるのね。

そう考えると涙がまた出てきそうになった。


5年前のあの後。私は海外のミー君のお母さんの所で世話になっていた。ミー君が不安定な状態な上に突然敬語を使い、事故の事も忘れてしまったからだ。

私がまた現れると錯乱して壊れてしまうかもしれない。

そんな危惧から私は姿を消した。

あの時は本当に泣いた。

一生分くらいの涙を使った気がした。


そして5年たった今、私は戻ってきた。

昔のミー君に戻って欲しかったから。

また昔みたいに過ごしたかったから。

おば様とおじ様は快く承諾してくれた。

ミー君をよろしく、と。



長かったね。

私はまた髪を撫でる。


「あっ!そうだっ」


茅依さんがミー君の大きな鞄から2つの箱を取り出す。


「燈加さん誕生日おめでとう!!」


「あ…ありがとう?」


突然でびっくりした。

最近帰りが遅いと思ったらこんなの用意してくれたんだ。


「燈加さん開けてみて。大きい方が私なのっ」


茅依さんが飛びっきりの笑顔で楽しそうに言う。


「うん……わあっ!!可愛いっ」


中にはとても大きな猫のぬいぐるみが入っていた。どうやら手作りみたい。


「ありがとう。大事にするね」


「どういたしまして」


今度は照れくさそうに笑う。

茅依さんは表情が豊かで可愛いなぁ。


「こっちのはミー君の?」


私はもう一つの箱を指す。


「うん、そうだけど……開けちゃう?」


ミー君を一度見て茅依さんは言う。


「そうね。今日はミー君起きそうにないし」


時刻はすでに10時。

本来なら面会時間は終わってるけど、特別に許可を得ている。

私はプレゼントを開ける。

中にはオルゴールのような物が入っていた。


「どう?ミー君頑張って作っ……燈加さん!?何で泣いてるの!?」


私は涙を抑えられなかった。

男の子と女の子が夕日の中、ブランコで遊んでいる光景。

ミー君と私がいつも遊んでいた光景。

夕日が街一番綺麗に見えた場所。

私たちのお気に入りの場所。

思い出の場所。


「ミー君、また一緒に行こうね」

はい21話でしたー。

とりあえず一段落ですね。

一応、今回までで一章ということにしておきます。

次回から二章ですね。

まだはっきりと決まってませんが、一段落ごとに章としてまとめていきます。


携帯なんでちょっと見苦しい目次になりそうですが(汗)




それはそうと、ちゃんとまとまっていたでしょうか。

今回の21話が一番まとまっているか心配です。

一章の一番大事なところなので。

とても心配なとこです。

うまくかけてることを祈ります。







さて区切りの良いところでSSを書きました。

言っておきます。

(サイド)(ストーリー)ではありませんよ。



S(鈴木(仮))(ストーリー)です(笑)



中身はそのままです。

主人公は鈴木(仮)です。

鈴木の日常が書かれているかもしれません。

書かれていないかもしれません。

ともかく鈴木(仮)視点です。



ちなみに、ぶち壊しです。

今章一番の話をぶち壊します。


まるで神を浄化し、魔を倒すような名前の人の右手のようにぶち壊します。


あえてこのタイミングで出します。

明日も出します。

2日連続で出します。

不定期に出し続けます。

もしかしたらそのうち本名が分かるかもしれません。

分からないかもしれません。


期待しないでください。


鈴木(仮)の設定が少し分かります。

それだけは言えます。


鈴木(仮)は鈴木(仮)だから鈴木(仮)なんだ!!

もうぶち壊しですね。

すみません。

そんなわけで興味のある方は読んで下さい。

無い方はご注意下さい。



ではこのくらいで。

縁があれば次話(SS)で会いましょう(・ω・´)ノシ

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