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僕は僕だから僕なんだ  作者: 深雪林檎
◆第一章
17/52

第17話 悪夢

僕の頬に伝う血

僕に痛みは無い

僕のそれではないから

僕は茫然と立っていた

僕は動けなかった

僕の目の前に倒れる人

僕の視界に広がる赤黒い血

僕の周囲のざわつき

僕にとって遠くから聞こえる救急車の音

僕は

僕は………………









「…君!!ミー君っ!!」


「はっ!?」


僕は飛び起きる。

燈加さんと茅依ちゃんが僕を心配そうに見ている。


「はぁっ、はぁっ」


夢……か?

呼吸が乱れている。シャツも汗でぐっしょりと濡れて張り付いている。




あれは……あの光景は……


「ミー君……大丈夫?」


「ミー君うなされていたわよ」


「だ…い丈夫です」


呼吸が次第に落ち着いてくる。

何か思い出しそうだったんだけど、思い出せなかった。

僕はベッドから降りる。

とりあえず着替えたい。

汗が気持ち悪い。


「今日は休んだ方がいいんじゃないかな」


茅依ちゃんに心配そうに言われる。

休む気などさらさらない。


「大丈夫ですよ。ただ悪い夢見ただけですから」


「何が大丈夫なのよ。ヒドい顔してるわよ」


今度は燈加さんに少し強めに言われる。


「悪い夢見ただけですから。汗拭いて、着替えて顔洗えばすぐに治りますよ」


僕は努めて明るく言った。







「今日で仕上がりそうですね」


「うんっ」


燈加さんの誕生日の前日。

僕と茅依ちゃんはようやくプレゼントの仕上げに入る。


「間に合って良かったね」


茅依ちゃんは笑顔で言う。

手には猫のぬいぐるみ。

どうやら熊でも狸でも犬でもなくて猫だったらしい。

茅依ちゃんはほつれが無いか確かめている。

一方、僕は部品を組み立てる。

この作業と動作のチェック、細かい調整が終えればようやく完成だ。

細部をしっかりと作りたかったので今日までにずいぶん時間がかかってしまった。







30分後、僕のオルゴールが完成する。

少し横広の箱の上に、ブランコに乗った男の子と女の子がいる。

ゼンマイを巻くと懐かしいような音が流れて、2人はブランコを漕ぐ。

全体的に夕焼けを思わせるようなオレンジ色を帯びた感じに仕上げた。


「何だか微笑ましい光景なのに、物悲しいような気持ちで自然に涙が出ちゃいそう。ミー君の気持ちがこもった良いプレゼントだねっ」


茅依ちゃんが微笑む。

そして不思議そうに尋ねる。


「でも、どうしてこういうのにしたの?」


「理由は特に無いですね。何となく頭に浮かんだ光景をそのまま作ったので」


僕は答える。

その言葉に嘘は無い。

でも、何故か完成したプレゼントを見ると悲しくなる。

僕は茅依ちゃんのプレゼントに話を逸らす。


「茅依ちゃんも完成したみたいですね。とても上手に出来ていると思いますよ」


「ありがとっ」


茅依ちゃんは照れくさそうにはにかむ。


「じゃあ明日これを渡し……あっ!?」


茅依ちゃんがいきなり大きな声を上げる。


「どうかしましたか?」


「包装用の箱とか用意してなかった」


「あ、そうでしたね」


茅依ちゃんが舌をちょっぴり出して笑う。

確かにこのまま渡すのもあれかな?


「じゃあ明日にでも買ってそのまま包装してもらいましょう」


今日これから行くにはちょっと時間がかかるからな。

最近何かと帰宅が遅くなり気味だし。


「うーん、そだね。じゃあ明日ねっ」


僕たちは片付けを始める。








「ミー君」


「はい」


校門を出たところで茅依ちゃんに声をかけられる。


「あのね、ちょっと聞いて良いかな?」


茅依ちゃんが遠慮がちに聞く。


「今日の朝の事ですか?」


「えっ!?うん。よく分かったね」


茅依ちゃんがばつが悪そうに言う。


「茅依ちゃんは分かりやすいですからね」


朝のあれから、茅依ちゃんと燈加さんは僕に気を遣ってか、何も言ってこなかった。

正直僕自身も、しばらく落ち着かなかったから助かった。


「茅依ちゃんが気にする事はありませんよ。ただの悪い夢です」


「そっか。何かあったらすぐに相談してねっ。私に出来ることなら何でもするから」


茅依ちゃんが僕を真剣な目で見て言う。


「ありがとうございます。頼りにしてますね」


僕は笑って答えた。

心の中で一抹の不安と疑問を抱えながら。









‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐







その日の夜。私はまた電話を掛けた。


「もしもし。燈加です。…………ええ、ちょっと最近は良くなってきていると思います。柑奈さんや茅依さんのおかげですね。………………ふふ、そうかもしれませんね。それはそうと、今日ミー君が夢にうなされたんです。…………はい。もしかしたらあの時の事じゃないかと思ってます。……………………分かってます。悪い方に行かないと良いんですけど。……はい。…………また連絡します。それじゃあ」


電話を切った。

しばらく私はその場で考え込む。

私は急ぎ過ぎただろうか。

ゆっくり時間をかけるべきだっただろうか。

でも、早くなんとかしたかった。

いや、しなければならないと思った。

そんな思いが私を突き動かした。


ガラス越しに部屋を見る。

薄暗い部屋。

いつもにまして暗く見える。

私は空を見上げる。

星も月も見えなかった。

はい、これで17話!!

前話よりもシリアスな感じになりましたね。


悪夢が意味するものとは!?

燈加がしようとしていることとは!?

燈加の言うあの時の事とは!?



まぁそのうち分かります。

期待しないで待っててください。




それはそうと、書き始めから言ってきた事なのですが、キャラクターがブレてます。

私の過剰な意識でしょうか。

読者様からはいかがでしょうか。

どうにも心配です。

そもそも、心と来人の出番の少なさっ!!

ちゃんと個別ルートを発生すべきだったでしょうか。

私は急ぎ過ぎただろうか。

ゆっくり時間をかけるべきだっただろうか。

とか言ってみます。


まあ、そんな心配もある企みによって私は一気に解決してみます。

それが何かは言えませんが、そのうち後書きで公開すると思います。


どのように出会ったかとかは本編にあまり影響が無いと思うので、番外編としてそのうち書くと思いますよ。

どのキャラから書こうかしら。

要望があればどうぞっ!!





寒いです。

凄く寒いです。

とてつもなく寒いです。

想像を超えて寒いです。

とにかく寒いです。


比較的暖かい土日を過ごした私。

そんな温室育ちな私は何も疑う事なく、昨日までの調子と服装で外に出ます。

カチャ(扉を開ける音)

ブルッ(体が震える音)

バタンッ(扉を閉める音)

その間わずか二秒フラット。

私は引きこもりになるのでした。


私が悪いんじゃない、外気が悪いんだ!!

これは逃げじゃない、戦略的撤退だ!!


そんなわけでヌクヌクと過ごした私。

明日は厚着する。

同じ過ちを繰り返さないのが人間です。

なんとか~会わざれば刮目して見よ。

とかいうあれですよ。

明日は負けない。

今日の私とは一味違う。

明日にきらめけ!!夢にときめけ!!by川t……ゲフゲフ。


何だかんだで駄目な私。

と見せかけて、やるときはやる私です。


与えられた仕事はやりきります。

自分から率先して動く行動力もあります。

とっさの判断力も、運動能力もあります。

ただ、やる気になればの話です。

最低限の事、興味のある事、気が向いた事においては完璧です。

その他は結構手を抜きます。


人間そんなもんですよね?

全球全力投球なんて無理ですよ。

時にはだらけるのも必要ですよ。

やるべき事を出来れば、なんとか生きられますよ。

そんな作者です。

今日はちょいシリアスなお話だったので、だらだらと(・ω・´)ノシ

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