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雑種と未来人の現代ダンジョン  作者: たろっぺ
第一章 雑種と未来人
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第二十話 彼は、英雄ではなく

第二十話 彼は、英雄ではなく




「矢広さん。矢広さん」


 自分の吐く息が、酷く煩わしい。


 口の中を胃液の味と臭いが汚し、荒い呼吸が鼓膜を無意味に震わせる。


 そのせいか、小鳥遊さんの声が妙に遠く感じた。


「落ち着いてください。私の目を見て。それ以外を見ないでください」


 頬に手を添えられたかと思えば、強引に首の向きを変えられる。


 眼前に、アメジスト色の瞳があった。


「私に合わせて、数字を数えてください。良いですね?」


「なん……で……」


「質問には後でお答えします。今は言う通りにして下さい」


「…………はい」


「ありがとうございます。では、ゆっくりと10数えましょう。1、2……」


 訳が分からないまま、彼女に合わせて数字を唱えた。


 それで、この地獄の様な光景が変わるわけではない。彼らはもう死んでいる。それが、魔力の流れで分かってしまった。


 赤の他人の死に、自分がこんなにも動揺するなんて。頭の隅で、どこか他人事の様に驚く。


 だから、だろうか。彼女と共にゆっくりと10数え終わる頃には、あんなにも煩かった呼吸の音が落ち着いていた。


「……もう一度提案します。ここから移動しましょう」


「……うん。ごめん、迷惑をかけて」


「いいえ。さあ、こちらに」


 小鳥遊さんに言われるまま、頭上にある扉から外へ出る。


 横転した電車の上。そこに立てば、周囲の惨状が良く分かった。


「なんだ、これ……」


 高架上を走っていた電車が脱線したらしく、まるで巨大な鉄の蛇が、横たわっている様だった。


 落下した車両の下敷きになった建物は屋根が崩れ、瓦礫の山となっている。自分達のいた車両は、その少し後ろ。道路に落下していたらしい。


 まだ4分の1が高架上に残っているが、それもいつ落下するか分からない状況だった。雨は今も強く降っており、それが原因で被害が広がる可能性が高まっている。


「兎に角、救急車を……!」


 スマホを取り出して電話をかけようとするが、アンテナが立っていない。


 どういう事だと固まった直後、轟音が聞こえてきた。慌てて、音のした方に顔を向ける。


「んなっ……!?」


 何があったというのか。遠くで赤い炎が上がったかと思えば、黒煙が雨の中もうもうと昇っている。


 どうやら、どこかで爆発があったらしい。


 電車の脱線に、爆発。自分が気づかなかっただけで、大きな地震でもあったというのか。


 否。


 その思考を、雨の中で見た赤い雫が否定する。


 アレは間違いなく、血の赤色だった。


 スマホをポケットにねじ込み、『霊装』を展開。左手で杖を引き抜いた。


 排莢口を少しだけスライドし、中にスクロールが入っている事を確認する。そして、両手で構えた。


「小鳥遊さん。僕は電車の中に、他の生き残りがいないか見てくる。悪いけど、その間周囲の───」


「矢広さん!」


 自分が言葉を中断したのと、小鳥遊さんが鋭い声を上げたのが同時だった。


 そして、即座に背後へと杖を向ける。半瞬遅れて、ピシャリ、と足音が響いた。


 水たまりを踏んだその音の主は、この事故の生き残りではない。何故なら、自分の魔眼が起きたはずの未来を視ている。


 杖を向けて動きを止めなければ、その存在は自分達へと人ならざる爪を振りかぶっていた。


 こいつは、敵だ。


 石を彷彿とさせる、灰色の剛毛。それに覆われた肉体は大きく、まるでクマの様であった。


 赤い瞳がギラリと輝き、横に裂けた大きな口からは鋭い牙が覗いている。


 上半身の骨格は人に近いというのに、腰から下は獣のそれ。何より、首から上は完全に『狼』であった。


 あまりにも、ポピュラーな怪物。しかし、それは創作の中の事だ。



『ライカンスロープ』



 あるいは『人狼』とも呼ぶべき存在が、こちらを見つめている。


 まるで、極上の獲物を見つけたとでも言うかの様に。


『ヴヴヴァアアアアッ!』


 地鳴りの様な雄叫びを上げ、ライカンスロープが走り出す。獣の足がバネの様に動き、凄まじい加速を見せた。


 だが、その先が視える。奴の進行方向に向けて、スクロールを発動させた。合わせて、小鳥遊さんも魔法を放つ。


 降り注ぐ雨を掻き分けて、風の鉄槌は飛翔した。打ち払われる水飛沫で、その軌道が目視できる。


 だが、ライカンスロープは避けなかった。2つの風の鉄槌を受け、クマの様な巨体を仰け反らせる。2メートルを超える筋骨隆々とした体がよろめくも、しかしすぐに顔をこちらに向けた。


『ガルル……!』


 唸り声を上げるその顔面は、右半分が潰れていた。骨が砕け、歯が1本折れている。


 だが、それがまるで逆再生の様に回復していった。小鳥遊さんの魔法で傷ついた頭部が、見る間に治っていく。


 ライカンスロープ。その特性は、超再生。


 魔力を帯びた銃弾で心臓を撃ち抜かれようと、異能者の剣で首を刎ねられようと、すぐさま再生、戦闘を続行する。


 だが、この世に滅せぬものなどありはしない。


 自分が放った魔法。それを被弾した左腕は、力なくだらりとぶら下がっている。


『ヤドリギの矢』


 不死なるモノを殺す力。この異能を前に、殺せぬ存在などいない。


 それ以外にも、『魔力を帯びた聖なる銀の武器』。あるいは『再生不可能な大質量の攻撃』ならば、ライカンスロープを殺す事が出来る。


 不死とは程遠い獣が、怒りをあらわに再び襲い掛かってくる。今度は真っすぐに突っ込むのではなく、左右へのフェイントを加えてきた。


 だが、無意味である。既にレバーを動かし次弾は装填済み。未来視によって動きを読み、移動先へと魔法を放った。


 脇腹に命中し、人狼がよろめく。そこへすかさず次のスクロールを装填し、発射。3発目が、ライカンスロープの頭部を打ち砕いた。


 再生が阻害され、首から上をミンチにした怪物が数秒程痙攣する。そして、断末魔の悲鳴もなく黒い霧へと変わった。


 道路に残された魔石を無視し、レバーを動かす。


「……小鳥遊さん」


「ええ」


 彼女が、自分と背中合わせに立つ。



『グルルル……!』


『ヴァウッ!ヴァウッ!』


『ガアアアッ!』



 そこかしこから、獣の声が響いていた。


 こいつらが、電車を脱線させたのだろう。魔力を帯びていない物体を透過する特性を使い、走行中の車内に侵入したのだ。


 ふつふつと、胸の内から込み上げてくるものがある。先程までの恐怖や驚愕とは別種の、強い感情。


 鬼の角の周りに、ビキビキと血管が浮き上がるのを自覚する。


 この感情の名を、考えるまでもない。


 面頬の下で歯を食いしばり、自分達を囲む『害獣』どもを睨みつける。そして、右手で片手半剣を鞘から抜いた。


 一刀一杖。練習はしていたが、実戦では初めてとなる。


 だが不思議と、不安はなかった。これだけ広い場所なら、やれる。


「……ケニングを起動します。少しだけ時間を稼いでください」


「わかった」


 こちらが答えるや否や、小鳥遊さんの体が浮き上がる。『浮遊』のスクロールを使ったのだ。


 だが、やはりその上昇速度は遅い。細かな機動も出来ず、風船の様に浮かび上がるだけだ。


 ライカンスロープ達の脚力ならば、容易く捉えられる速度。だからこそ、自分がいる。


「らぁっ!」


 激情のまま声を上げ、振り向きざまに小鳥遊さんへ跳びかかろうとしていた個体に発射。風の鉄槌が、灰色の巨体を殴り飛ばす。


 直後、自分の背後から迫る気配。魔眼が告げた未来に、膝を落ち曲げる事で対応した。


 頭上を鉈の様に鋭い爪が通り過ぎ、カウンターで逆袈裟の斬撃を浴びせる。片刃の刀身が硬い剛毛を掻き分け、その下の肉を抉った。


 だが、浅い。切り裂かれたライカンスロープは短い悲鳴を上げながらも、飛び退いて傷口を押さえる。


『ヴァアアッ!』


 それと入れ替わる様に、別の個体が跳びかかってきた。


 両腕を振り上げ、その顎を大きく開きながら迫る。掴みかかってきた腕を剣で打ち払い、眼前の大口へ杖先をねじ込んだ。


 歯をへし折る感触と共に、嘴の様な装飾が怪物の喉を貫く。その状態で、発射。衝撃で巨体が吹き飛び、赤い軌跡が宙に描かれた。


 スピンコックで次弾を装填しながら、振り向きざまに剣を振るう。魔眼が告げた先に放った斬撃が、伸ばされた爪の主を切り裂いた。


『ギャッ!?』


 首から血を流し、悲鳴を上げて仰け反るライカンスロープ。その怪物に、大きな影がかかった。


 次の瞬間、灰色の巨人が人狼の頭蓋を踏み砕く。大質量の破壊を前に超再生は意味をなさず、頭を含めた胴体の大半を潰されたライカンスロープは動かなくなった。


 轟音を上げて、降り立った機体。周囲の怪物達とも違う、メタルカラーとでも呼ぶべき灰色の装甲。


 無骨な四肢が金属の擦れる音を響かせ、排熱の音がそこに混ざる。


 右腕のみを有機物にした、鋼の巨人。アスファルトの地面を踏み砕いた人工の怪物は、ゆっくりと重心を落とした。


『お待たせしました、矢広さん』


「いいや。待っていないよ」


 再び、彼女と背中合わせに立つ。


 妙に、視界がクリアに思えた。スケルトンと戦った時の感覚に、少し似ている。


 だが、一も二もなく逃げ出したくなったあの時とは違った。


 少なくとも、この眼前にいる化け物どもを蹴散らさないと気が治まらない。


『ヴヴヴ……!』


 警戒する様に唸り声を上げるライカンスロープ達。しかし、睨み合いの時間は長くなかった。


『ガアアアアッ!』


 逆袈裟に胴を切られた個体を皮切りに、人狼達が走り出す。


 それに対し、自分も剣と杖を手に地面を蹴った。濡れたアスファルトを踏みしめ、加速。


 眼前には、6体。恐怖を怒りで上書きし、鬼の闘争本能で体を強引に動かした。


 顔面へと振るわれる爪を屈む様にして回避しながら、手負いの個体をすれ違い様に胴を切り捨てる。


 まずは、1体。


 続いて左から襲い掛かって来たライカンスロープの腕を杖で払いのけ、顔面へと柄頭を叩き込んだ。へし折れた白い牙が宙を舞っていく。


 足を止めれば囲まれると、殴った反動に逆らわず滑る様に右側へ。直後、自分がいた空間をライカンスロープの爪が通り過ぎる。


 その腕の主の首に杖を押し付け、間髪容れずに発射。スピンコックでレバーを動かせば、空のスクロールケースが排出され地面に落ちた。


 血飛沫と悲鳴が舞う中で、剣を握ったまま右手を腰に伸ばす。剣帯の右腰。そこには、杖の下部についている『魔法拡大』用のケースと似た器具が取り付けられていた。


 親指がその上部を強く押せば、籠められた魔法が発動する。


『スクロール:身体強化』


 四肢に力が漲っていく。背後から迫る牙へ、振り向きざまに一閃。口の中へと滑り込んだ刀身が、そのまま肉を引き裂いていく。


 噴水の様に舞った血が、雨と一緒に降り注いだ。それも、すぐに黒い霧となって消えている。


 だがそれよりも速く、体は動いた。更にもう1歩踏み込んで、その先にいたライカンスロープの腹に杖先を叩きつける。


 巨体を『く』の字にした怪物へと、容赦なく引き金を引いた。魔法が発動し、人狼が吹き飛んでいく。


 浅い。まだ、残り3……!


 空になった杖を横に振るえば、魔眼で予知した通り横からライカンスロープが口を開けて迫っていた。


 ガチン、と杖に噛み付いた個体の首へ、叩きつける様に剣を振るう。厚い毛皮を断ち、白刃が骨にまで届いた。


『ア、ガァ……!?』


 目を見開いた怪物の腹を蹴り飛ばし、剣と杖を引き戻す。


 残り、2体……!


『ヴォ!』


 前歯の折れた個体が、憤怒に瞳を濡らしながら跳びかかってきた。その大振りな右腕を避ければ、背後から先程吹き飛ばしたライカンスロープが噛み付きにくる。


 再び魔眼でそれを予知し、横へ回避。脇腹を思いっきり蹴り飛ばした。


 その個体が転がっていくのを横目に、前歯の折れたライカンスロープへと斬りかかる。強化された筋力で振るった袈裟懸けの刃に対し、その個体は己の前腕を盾にした。


 肉が裂け、骨が砕ける。右腕を両断した肉厚の刀身は、しかし減速して首筋に食い込んだだけで止まった。


『ガ、ゴォォ……!』


 うめき声を上げながら、ライカンスロープは残る片腕を振りかぶった。だが、それが繰り出される先に、杖のグリップで剣の峰を殴りつける。


「お、らぁ!」


 強引に刀身を押し込み、袈裟懸けに剣を振り抜く。


 勢いのまま柄から手を放し、その場から飛び退きながら右手に次のマガジンを出した。


 杖のマガジンキャッチを右の親指で押し込み、空のマガジンを落とす。それと入れ替わりに、新しい物を叩きつける様に装填。


 すぐさまレバーを動かし、薬室にスクロールを入れる。こちらへ向かって来た蹴飛ばした個体の顔面に、風の鉄槌を放った。


 頭を吹き飛ばされながら、慣性で近づいて来たライカンスロープが、自分の隣に倒れ伏す。


 レバーを動かして次弾を込めながら、周囲に視線を巡らせた。


 自分の近くに、立っている敵はいない。続けて小鳥遊さんの方を見れば、そこではケニングが大暴れしていた。


『ガアアアアッ!』


 雄叫びを上げながらケニングに跳びかかろうとする人狼だが、ローラーの回転で鉄の巨人は滑る様にそれを回避。カウンターの右腕が、ライカンスロープの胸を撃ち抜いた。


 人狼が小さく見える程の巨体から放たれた一撃は、容易く再生不可のダメージを叩きだす。


 右腕で敵の胴体を吹き飛ばしたかと思った時には、ケニングは足裏の車輪を使いスケート選手の様な動きで移動を済ませていた。その機動についていけなかった人狼の側頭部が、丸太の様な杭で殴り飛ばされる。


 まるで、生物の様な動きだ。機械特有の『固さ』がなく、滑らかに動き、敵を圧倒している。


 ギャリギャリと道路を削りながら、小鳥遊さんの操るケニングは槍とも拳ともとれる右腕を使い、次々とライカンスロープを倒していった。


 援護は不要らしい。というより、下手に撃つと彼女に当たりそうで怖い。


 取りあえず鞘の中に片手半剣を再構築していれば、小鳥遊さんの方も終わった様だ。


 周囲にいたライカンスロープ達は全滅した様で、辺りには魔石だけが残っている。流れ込んでくる魔力が、自分の霊格を成長させるのがわかった。


 だから、ではないが。頭に上っていた血が落ちていく感覚がする。鬼の角に浮かんでいた血管も、元に戻った気がした。


 脳内を満たしていたアドレナリンが消えていき、戦闘の高揚が消え精神的な疲労が残る。


「……お疲れ様、小鳥遊さん」


『はい。そちらもお疲れ様です。矢広さん』


 胸を撫で下ろしていると、灰色の拳が目の前に突き出された。


 見れば、ケニングを動かし左腕をこちらに伸ばしてきたらしい。拳を合わせよう、という事だろうか。


 少し戸惑いながら、こちらも右の拳を突き出す。鋼の指に、軽くぶつけた。


 何となくむずがゆい。だが、すぐにこんな事をしている場合ではないと我に返る。


「そ、そうだ!救助……救助、しないと!小鳥遊さんは、そのまま周囲の警戒を!僕は電車の中に!もしかしたら、別の車両には生存者がいるかも……!」


 慌てて電車に向かおうとした自分を、今しがた打ち合わせた拳が遮った。


 開かれた指が、胸当にコツリと当たる。


『ケニングのセンサーは、我々以外の生体反応を捉えていません。乗客は全員死亡したと考えられます』


「そ、そんな……!」


『これだけの事故です。それに、数少ない生き残りは我々が1体目と交戦している間に、今戦っていたライカンスロープ達が魂を食らった様ですね。奴らは、早食いかつ貪食です』


「っ……!」


 淡々と告げられた言葉を、どうにか受け入れようと努力する。


 ……落ち着け。落ち着くんだ、矢広耕太。


 高架上に引っかかっている車両が、いつ降ってくるかもわからない。そもそもの話、素人の自分が、勝手な判断で電車に近づくべきではないのだ。


 だから、今やるべきは別にある。


「……わかった。ごめん」


『いえ。謝罪は不要です』


「もう助けられる人がいないのなら、ここから移動しよう」


『はい。それが良いかと』


 杖のグリップを強く握り直し、電車から離れる。斜め後ろを、ケニングが足裏の車輪を回転させて徐行してついてきた。


 雨に打たれながら、周囲を見回す。いつ、再び怪物どもが襲ってくるかもわからない。そう思うと、心臓が嫌な音を響かせた。


「……これから、どうしようか」


『私としては、既に行動を決めているつもりですが』


「そうだよね……僕も」


 マイクの性能が良いのか、普通の声量でも小鳥遊さんにはキチンと聞こえているらしい。


 歩きながら、今後の方針を告げる。



「一刻も早く、この街から逃げよう」


『一刻も早く、避難所を守りに向かいましょう』



「……え?」


『……ん?』


 ほぼ同時に発した互いの言葉に、思わず足を止める。ケニングの車輪も停止していた。


 灰色の巨人と、顔を見合わせる。彼女は今、なんと言った?


 唖然とする中、聞きなれない声が聞こえて来た。


『霊的災害が発生しています!繰り返します、この街で霊的災害が発生しています!』


 咄嗟に声のした方を見れば、それは電柱のすぐ横にある大きな柱の上だった。


 白いスピーカーから、必死な、誰かの焦った声が発せられる。


『急いで付近の避難所へ逃げてください!普通の建物の中に籠っていても意味がありません!避難所の、結界の中に急いで逃げてください!』


 市役所の人なのだろうが、名乗る暇も惜しいとばかりにその人物は叫んでいた。


 ザーザーと雨音が響く中で、誰かが必死に避難を呼びかけている。


『必ず助けは来ます!ですから、諦めないで!避難所に逃げてください!』


 勇気ある、その声に。ケニングの足が前へと踏み出される。巨大な鋼の足が、重厚な足音を立てる一方で。



「ぇ、あ……」



 自分は、小さな怯えの声と共に後ずさっていた。


 もう、あの時の激情は治まり。


 家へと、逃げ帰ろうとしていたのだから。






読んでいただきありがとうございます。

感想、評価、ブックマーク。いつも励みになっております。創作の原動力になっておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
うんうん。わかるわかる。 俺は許そう。 だがこいつ(シナリオ部長)が許すかな!?
ただの高校生だし目の前にある災害を処理するのはともかくアドレナリン抜けたあとに自分から冷静に厄介事に首突っ込むのはねぇ でも小鳥遊さんは行くだろうから、まぁ
まだ駄目か。 やはり親しい人や身内が死にかけたりとかしないと自分から殺しに行くという感情は生まれにくいよね。 でも頑張らないとね。 隣りにいるモグ波系美少女のために。 当然胸ポチもくっきり! 耕太くん…
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