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レミングス

作者: 埴輪庭

 ◆


 ここはハルシオン王国。


 朝いちばんの爽やかな陽光が王宮の大広間に降り注いでいる。小鳥たちがさえずり、花々が咲き乱れ、まさに絵に描いたような美しい朝──をこれから台無しにするイベントが予定されていた。


 すなわち、死刑執行である。


 王宮の大広間では宰相レナルドが深々と頭を垂れている。傍らには執行人が斧を携えて控えており、床には既に白い布が敷かれていた。血を吸収するための上質な麻布だ。使用頻度が高すぎて、最近は宮廷御用達の麻布商が大儲けしているという話である。


「昨晩、私は夕食の席において、ワインを注ぐ侍女の手元を三秒以上見つめてしまいました」


 レナルドの声は落ち着いていた。六十年の人生で培った威厳がその言葉の一つ一つに宿っている。もっともその威厳を「手元を見た」という理由で終わらせようとしているのだからなかなかに滑稽な構図ではある。


「これは明らかに視姦罪の構成要件を満たすものであります」


 玉座に座る女王リディアはこめかみを押さえながら長い溜息をついた。まだ二十八歳だというのにこのところ白髪が目立つようになってきた。間違いなく、こうした「朝の処刑」の積み重ねのせいだろう。最近は鏡を見るたびに自分の老け具合に驚く。このままでは三十歳を迎える前に総白髪になりかねない。


「レナルド。あなたは私の父の代から仕えてくれた忠臣よ。侍女の手を見ただけで死刑だなんて、いくらなんでも」


「恐れながら、陛下」


 レナルドが顔を上げる。その目には揺るぎない決意が宿っていた。殉教者の目だ。あるいは狂信者の目と言った方が正確かもしれない。


「法は法でございます。私のような老いぼれが例外を認められれば、若い者たちの規範が乱れましょう。どうか、ご慈悲を」


 慈悲という言葉の使い方が根本的に間違っている、とリディアは心の中で呟いた。「殺してくれ」と懇願することを「慈悲を求める」とは言わない。少なくともまともな世界では。


「せめて、三秒ではなく二秒だったということには」


「いいえ、陛下。私は正確に三秒でございました。むしろ三・二秒であったかもしれません。少なく申告することは虚偽報告の罪にも問われかねませんので」


 几帳面にもほどがある。リディアは頭痛を感じ始めていた。


「……わかったわ」


 リディアは手を振った。もう止めても無駄だということは経験上よく分かっている。執行人が一歩前に出る。レナルドは微笑みさえ浮かべて、首を差し出した。晴れやかな顔だ。まるでこれから結婚式に臨むかのような。


 かくして今朝もハルシオン王国から一人の有能な宰相が姿を消した。


 リディアは疲れ切った目で血に染まった麻布を見つめた。また宰相を探さなければならない。これで今年に入って七人目だ。求人を出しても応募がないのは応募しようとした男たちが「女王陛下のお手を煩わせた」として自裁してしまうからである。


 これがハルシオン王国の日常である。


 ◆


 二百年前、この国は極度の男尊女卑社会であった。女性には相続権がなく、教育を受ける権利もなく、結婚相手を選ぶ自由さえ与えられていなかった。女は道具であり、家畜であり、男の所有物に過ぎなかったのだ。


 しかしそうした風潮に異を唱える者たちが現れた。心ある男たち、そして数多くの女たちが声を上げ、長い年月をかけて社会を変革していった。既得権益にしがみつく男たちは頑強に抵抗した。血が流れ、涙が流れ、それでも時代は少しずつ前へと進んでいった。


 問題はその「前」がどこを指していたのか、ということだ。


 気がつけば振り子は反対側へと振り切れていた。女性の権利向上を訴えた者たちの子孫、そのまた子孫、さらにその子孫たちの代になる頃には男性であるということ自体が原罪のようなものになっていた。法は次々と厳格化され、解釈は際限なく拡大され、やがて「男が何かをしでかした場合、物理的に首を刎ねる」という、極めてシンプルかつ過激な司法制度が確立されていったのである。


 さらに厄介なことに男たちはこの制度に完全に適応してしまっていた。自分が「やらかした」と判断すれば、裁判を待たずに自ら首を差し出す。あるいは自裁する。むしろ、そうすることが男の誇りであり、美徳であるとさえ考えられるようになっていたのだ。


 この国の男たちにとって、「死にたがり」は褒め言葉なのである。


 リディアの父王が崩御したのは五年前のことだった。庭園を散歩中、侍従の女性の裾を踏んでしまったのである。


「私は女性の尊厳を地に踏みにじった」


 王はそう言い残し、その場で自らの首を短剣で掻き切った。発見されたとき、その顔には安らかな微笑みが浮かんでいたという。リディアは父の遺体を見たとき、悲しみよりも先に呆れが込み上げてきたことを覚えている。踏んだのは裾であって尊厳ではない。しかしこの国の男たちにはその区別がつかないらしい。


 リディアが即位してからも状況は悪化の一途を辿っていた。騎士団長は訓練中に女性兵士より先に水を飲んでしまったことを苦にして自裁した。財務大臣は決算報告書の女性名の表記を一文字間違えたことで自裁した。料理長は女王の好物を把握しきれていなかったことを恥じて自裁した。そして新しく任命された者たちも数日から数週間で同じ運命を辿った。


 人材の回転率が異常に高い。民間企業なら「ブラック企業」と呼ばれて炎上しているところだが原因が「社員が勝手に死ぬ」では対策の立てようがない。


「これは何かがおかしい」


 リディアがそう思い始めたのは即位から半年が経った頃だったろう。しかし「おかしい」と思ったところでどうにもならないのがこの国の悲劇であった。


 ◆


 王宮の執務室でリディアは山のように積まれた報告書を前にしていた。すべて、この一週間で自裁した男性官吏のリストである。紙の山を見るだけで気が滅入る。


「百十七名」


 傍らに控える女官長のマルガリータが淡々と数字を読み上げた。彼女の声には感情というものが一切乗っていない。もはや慣れきってしまったのだろう。いや、慣れざるを得なかったというべきか。感情を込めていたら身が持たない。


「うち宰相が一名、大臣が三名、局長級が十二名、課長級が四十一名。残りは一般官吏でございます」


「理由は」


「書類の誤字脱字が二十三件、女性への挨拶の遅れが十八件、会議中の居眠りが十五件、女性の前でのくしゃみが十二件、その他軽微な不敬が四十九件でございます」


 リディアは報告書を机に叩きつけた。羽ペンが転がり落ちる。


「くしゃみで十二人が死んだというの」


「風邪が流行っておりましたので」


「風邪薬を配ればいいじゃないの」


「配ろうとした薬剤師が『女性に手渡す際に指が触れてしまうかもしれない』と懸念して自裁いたしました」


 リディアは額を押さえた。この国では善意が人を殺す。


「先週は花粉症の季節でしたので鼻をかんだ音が下品だったとして三十名ほどが」


「もういいわ」


 リディアは椅子の背もたれに身を預けた。天井を見上げる。美しい天井画が広がっているが今はその美しさを楽しむ余裕などない。天使たちが微笑んでいる絵だが彼らも呆れているように見える。


 この国は滅びる、とリディアは確信していた。このままでは男性人口が激減し、国家として機能しなくなる日がやって来るだろう。すでに徴税官の多くが自裁してしまったせいで税収は壊滅的な打撃を受けている。軍も同様だ。騎士団は定員の三割を切っており、隣国から侵攻されれば抵抗する術がない。


 もっとも隣国も似たような状況らしいので侵攻どころではないのだが。どの国も男性人口の減少に頭を抱えている。国際会議を開こうにも男性外交官が「他国の女性に無礼を働くかもしれない」と懸念して自裁してしまうので開催すら困難な有様だ。


「マルガリータ」


「はい、陛下」


「この状況をおかしいと思う女性はこの国にどれくらいいるのかしら」


 女官長は少し考えてから、慎重に言葉を選んで答えた。


「正直に申し上げてよろしいでしょうか」


「もちろん」


「多くの女性が現状に疑問を抱いております。というより、疲弊しております」


 リディアは身を乗り出した。


「疲弊?」


「はい。夫や恋人、兄弟や友人が取るに足らない理由で次々と死んでいくのです。正直なところ、悲しむ暇もございません。葬儀の手配、遺産の整理、寡婦としての手続き……死なれる側の事務作業は膨大です」


「それは……考えたこともなかったわ」


「しかも新しい夫を見つけてもまたすぐ死にます。結婚三日で『新妻に朝食の好みを聞くのを忘れた』として自裁した男もおります。披露宴の費用すら回収できておりません」


 マルガリータの口調は淡々としていたがそこには深い疲労が滲んでいた。


「女性たちは男性に死んでほしいわけではないのです。ただ、普通に生きていてほしいだけなのです。それがなぜこんなに難しいのか」


「ではなぜ声を上げないの」


 マルガリータはわずかに口元を歪めた。それは苦笑いとも諦めともつかない表情だった。


「声を上げれば、男性たちが困るからでございます」


「困る?」


「はい。女性が男性の権利向上を訴えれば、男性たちは『女性に余計な心配をかけた』として自裁してしまいます。助けようとすると死ぬのです。見守っていても死にます。何をしても死にます。もうどうしていいか分かりません」


 リディアは額を押さえた。頭痛がひどくなってきている。


「完璧な袋小路ね」


「左様でございます。八方塞がりです」


 ◆


 それから数日後、リディアは意を決して、女性貴族たちを集めた秘密会議を開くことにした。議題は「男性の権利」という、この国では極めてセンシティブな問題である。うっかり男性に聞かれれば、彼らは「女性に政治的な議論を強いた」として一斉に自裁しかねない。


「皆さんにお集まりいただいたのは他でもありません」


 リディアは居並ぶ貴婦人たちを見渡した。公爵夫人、伯爵夫人、男爵夫人。いずれも名門の出身であり、社交界では絶大な影響力を持つ女性たちだ。そしてその多くが目の下に濃い隈を浮かべている。夫の葬儀続きで眠れていないのだろう。


「この国の男性を救いたいのです」


 沈黙が落ちた。誰もが顔を見合わせている。そして誰もが疲れた顔をしていた。


「……陛下、お言葉ですが」


 最初に口を開いたのはアルベルティーナ公爵夫人だった。七十を超える高齢だがその眼光は鋭い。ただし、その鋭さは知性というよりも長年の疲弊から来る諦念のようにも見えた。


「私は今までに九人の夫を亡くしております」


「九人……」


「はい。最初の夫は私の誕生日を一日間違えたことを苦にして自裁しました。二番目の夫は結婚記念日にプレゼントを買い忘れたことで。三番目は私の手料理を『少ししょっぱい』と言ってしまったことで」


「公爵夫人……」


「四番目は私のドレスの色を『青』と言いましたが正しくは『藍色』でした。五番目は私のいびきに言及してしまいました。六番目は私の好きな花を『バラ』と答えましたが正解は『薔薇』でした。漢字の問題でございますね」


「それは……同じでは」


「七番目は私の前で椅子に座るのが0.3秒早かったそうです。八番目は私宛ての手紙の封を開けるときに少し音を立ててしまいました。九番目は……」


 公爵夫人は深い溜息をついた。


「九番目は私が風邪を引いたとき、お見舞いに来るのが遅れたと自責して自裁しました。実際には私が伝染を心配して『来なくていい』と言ったのですがその言葉を真に受けた自分が許せなかったそうです」


 会議室に重い沈黙が落ちた。


「正直に申しますと」


 公爵夫人は続けた。


「もう疲れました。九人の夫の葬儀を出すのにどれだけの労力がかかったことか。喪服のクリーニング代だけで財産の一割が消えました」


「私もです」


 セレスティーナ伯爵夫人が手を挙げた。彼女もまた、疲弊した表情を浮かべていた。


「夫が死ぬたびに『お気の毒に』と言われます。でも正直、気の毒なのは私の方です。毎回、『お願いだから死なないで』と懇願するのです。でも彼らは聞きません。『君のためなら死ねる』と言って、本当に死ぬのです。死なないでと言っているのに」


「うちの夫もそうでした」


「私の夫も」


「私なんて、夫に『死なないで』と言ったら、『君の願いを聞けなかった罪を償いたい』と言って、二重に自裁しようとしましたわ」


「二重にとは?」


「一度目は私の願いを聞けなかった罪、二度目は死のうとして私を悲しませた罪、だそうです。結局、一度で済みましたけれど」


「それは……良かった、のでしょうか」


「良くないです。死んだことに変わりはありませんから」


 会議室にどよめきが広がった。それは共感のどよめきであり、疲労のどよめきでもあった。この場にいる全員が似たような経験をしているのだ。


「皆さんの気持ちはよく分かります」


 リディアは立ち上がった。


「だからこそ、私たちで声を上げましょう。この異常な状況を終わらせるために。これ以上、無駄な葬儀代を払わなくて済むように」


「しかし陛下」


 アルベルティーナ公爵夫人が再び口を開いた。


「先ほども申し上げましたが私たちが男性の権利向上を訴えれば、男性たちは『女性に余計な心配をかけた』として」


「自裁する、でしょう。分かっています」


 リディアは苦い笑みを浮かべた。


「だからこそ、慎重に進める必要があります。男性たちに気づかれないように少しずつ法を改正していくのです」


 貴婦人たちは顔を見合わせた。


「男性に気づかれないように男性の権利を向上させる」


「そうです」


「まるでサプライズパーティーの準備のようですわね。ただし、気づかれたら死人が出るという」


「物騒なサプライズです」


「この国では日常茶飯事ですけれど」


 会議は深夜まで続いた。


 ◆


 翌日から、リディアたちの秘密の改革が始まった。まずは法律の文言を少しずつ修正していくことにした。「女性への不敬」の定義を厳格化する、という名目で実際には適用範囲を狭めていったのだ。一気にやると男性たちが「女性の優しさに甘えてしまった」として自裁するため、ほんの少しずつ。


「くしゃみに関しては故意の場合のみを不敬とする」


 この一文を追加するだけで風邪や花粉症による自裁者を減らすことができた。もっとも「故意のくしゃみかどうか」を判定する方法は存在しないのだが少なくとも男性たちに「これは不可抗力だ」という言い訳を与えることはできた。


「会議中の居眠りに関しては十分以上継続した場合のみを不敬とする」


 これにより、うたた寝程度では自裁しなくてもよくなった。もっとも几帳面な男性官吏の中には「九分五十九秒で目覚めたが本当は十分以上眠りたかったはずだ。潜在的な不敬である」として自裁した者もいたが。この国の男たちは言い訳を与えても自分で潰しにかかる。


 改革は少しずつ進んでいった。しかしリディアたちの思惑どおりにはいかないことも多かった。


 ある日、新しい法令が公布された。「女性の前での放屁に関しては音が聞こえない程度であれば不敬としない」というものである。これは大きな進歩のはずだった。


 ところが翌日、王宮の廊下で若い文官が自裁しているのが発見された。遺書にはこう書かれていた。


「音は出なかったが臭いが漏れてしまった。これは法の精神に反する行為である」


 リディアは報告を聞いて、椅子から崩れ落ちそうになった。


「法の精神まで守ろうとするなんて」


「男性というのは真面目な生き物なのでございます」


 マルガリータがいつもの無表情で答えた。


「真面目すぎるのよ。真面目も度が過ぎると狂気だわ」


「この国ではそれが美徳とされておりますので」


 改革は難航した。どれだけ法律を緩和しても男性たちは自主的に厳しい基準を適用してしまう。「法律では許されているが道義的には許されない」という理屈で次々と自裁していくのだ。


 法律の抜け穴を自分で塞いで死んでいく。なんという勤勉さだろう。もう少し怠惰になってくれれば、生存率は格段に上がるはずなのだが。


 ◆


 リディアは新たな作戦を考えなければならなかった。


「いっそのこと、自裁を禁止してはいかがでしょうか」


 セレスティーナ伯爵夫人が提案した。


「自裁を禁止する?」


「はい。男性が自ら命を絶つことを法律で禁じるのです」


「それは……」


 リディアは考え込んだ。一見すると、名案に思えた。自裁が禁止されれば、男性たちは死にたくても死ねなくなる。少なくとも法律を遵守する限りは。


「やってみる価値はあるかもしれませんね」


 こうして「男性自裁禁止令」が起草されることになった。


 しかしこの法案は公布される前に挫折することになる。法案の内容が漏れたのだ。書記官の誰かが口を滑らせたのだろう。翌朝、情報漏洩を恥じたその書記官が自裁したという報告が入った。法案を守ろうとして、法案の意図に反して死ぬ。この国らしいと言えばこの国らしい。


 さらに悪いことに王宮の前には二十名の男性貴族が集まっていた。彼らは一様に平伏し、声を揃えて懇願した。


「女王陛下。自裁禁止令はどうかお取り下げくださいませ」


 リディアは窓からその光景を見下ろしながら、嫌な予感を覚えていた。嫌な予感しかしない。この国では嫌な予感は百パーセント的中する。


「なぜ、そのようなことを」


「自裁の自由は男性にとって最後の尊厳でございます。それを奪われては我々は生きていけません」


「生きていけないというのはどういう意味で」


「文字通りの意味でございます。自裁の自由を奪われた男性はその苦痛に耐えかねて自裁してしまうでしょう」


「……自裁を禁止されたから自裁する、ということ?」


「左様でございます」


 会話が完全に破綻している。いや、この国の論理そのものが破綻しているのだ。


「それでは意味がないではないですか」


「はい。ですから、どうかお取り下げを」


 リディアは深呼吸をした。怒りを抑えるためだった。怒ったら、「女王陛下を怒らせた」として全員が自裁しかねない。


「分かりました。自裁禁止令は取り下げます」


「ありがとうございます、陛下!」


 貴族たちは感涙にむせんだ。そして──ここからが本当の地獄なのだが──その場で五名が自裁した。


「なぜ」


 リディアの悲鳴に近い叫びに生き残った貴族の一人が答えた。


「陛下のお手を煩わせてしまった罪をどうか償わせてください」


「だから取り下げたと言っているでしょう」


「取り下げていただいたことに感謝しております。しかしそもそもお手を煩わせたこと自体が罪なのです」


「お手を煩わせたから自裁。でも自裁するなと言ったら、お手を煩わせたから自裁。どちらにしても自裁するということ?」


「ご明察でございます」


 リディアは叫びたかった。「詰んでいる」と。しかし叫んだら、「女王陛下に叫ばせた」として残りの貴族も自裁するだろう。


 残りの貴族たちも粛々と自裁の準備を始めていた。短剣を取り出す者、首を吊る縄を用意する者、毒薬を取り出す者。手際がいい。慣れている、というべきか。


「全員、止まりなさい。これは命令よ」


 動きが止まった。女王の命令は絶対だ。しかしその目は苦悶に満ちている。命令に従うべきか、自裁すべきか。彼らの中で二つの義務がせめぎ合っているのが手に取るように分かった。


 結局、その日は何とか全員を帰らせることができた。ただし、帰宅途中に三名が自裁した。「女王陛下に心配をかけながら生き延びてしまった恥」に耐えられなかったらしい。


 リディアは執務室に戻り、机に突っ伏した。


 ◆


 状況は改善するどころか、悪化しているように思えた。女性たちが改革を進めようとするたびに男性たちは「女性に心配をかけた」「女性に迷惑をかけた」という理由で自裁していく。善意がより多くの死を招いているのだ。


「陛下」


 マルガリータが一通の手紙を持ってきた。


「市井の女性たちから、嘆願書が届いております」


「また自裁か」


「いえ、今回は少し違います。『夫を自裁から救ってほしい』という内容でございます」


 リディアは顔を上げた。手紙を受け取り、目を通す。


 差出人は王都の南区に住む商人の妻だった。夫は三日前、市場で他の女性にぶつかってしまったらしい。以来、夫は自裁を試みては失敗し、試みては失敗を繰り返しているという。妻が全力で止めているのだがこのままでは持たない。どうか助けてほしい、と。


「止めているから失敗している、ということね」


「そのようでございます。夫は首を吊ろうとし、妻が縄を切る。夫は崖から飛び降りようとし、妻が引き留める。夫は毒を飲もうとし、妻が吐かせる。三日間、不眠不休で」


「妻の方が先に過労で倒れてしまうわね」


「はい。そして妻が倒れれば、夫は『妻を疲弊させた罪』も加わりますのでより強い意志で自裁を試みることでしょう」


 マルガリータの声は淡々としていたがその淡々さの裏に深い疲労が透けて見えた。この手の案件を彼女は何百件も処理してきたのだろう。


 リディアは手紙を握りしめた。


「助けに行きましょう」


「陛下御自ら、でございますか」


「私が行けば、少しは話を聞いてくれるかもしれない。少なくとも女王の前で自裁するのは躊躇するでしょう」


「女王の御前で自裁することこそ名誉、と考える者も多うございますが」


「それでも行くわ」


 馬車を走らせ、南区の商家に向かった。到着すると、家の周りには野次馬が集まっていた。二階の窓から、一人の男が身を乗り出している。その腕を憔悴しきった女性が必死に掴んでいた。


「お願い、死なないで」


「無理だ。俺は女性にぶつかってしまったんだ。死なねばならない」


「たったそれだけのことで……」


「それだけのこと、だと? 俺の罪を軽んじるのか?」


「そうじゃない。でもあなたが死んだら、私は……」


「俺が死ねば、君は立派な寡婦として称えられる。何も心配いらない」


 女性の目には疲労と絶望が混じっていた。三日間、不眠不休で夫の自裁を止め続けているのだ。もう限界が近いことは誰の目にも明らかだった。


 リディアは馬車から降り、叫んだ。


「待ちなさい!」


 群衆が道を開けた。女王の姿を認め、誰もが平伏する。窓の男も動きを止めた。


「陛下……」


「降りてきなさい。話を聞きたいの」


 男は困惑した表情を浮かべた。女王の命令には従わねばならない。しかし自裁を止めることは男としての誇りに反する。二つの義務が衝突している。


「陛下のお言葉に従わなければ、それもまた罪。しかし自裁を止めることも……」


 男の顔にある種の閃きが浮かんだ。嫌な予感がする。


「そうだ。両方の罪を償えばよいのだ」


「何を」


「陛下のお言葉に従わない罪と、女性にぶつかった罪。二つの罪に対して、二回死ねば」


「一人の人間が二回死ねるわけないでしょう」


 リディアは思わず叫んだ。常識的なツッコミだがこの国では常識が通用しない。


「では一回の死で二つの罪を償います」


「そうじゃなくて」


 男は窓から飛び降りた。幸い、二階程度の高さでは死ねない。地面に叩きつけられ、足を骨折しただけで済んだ。


「くそ、失敗した……」


 男は呻きながらも這って井戸に向かおうとした。執念がすごい。リディアは兵士たちに命じて、男を取り押さえさせた。


「離してくれ。俺は死なねばならないんだ」


「あなたは死なせない」


 リディアは男の前にしゃがみ込んだ。


「なぜ、そこまで死にたいの」


「なぜ、とは。男として当然のことです。罪を犯したなら、償わねばならない」


「市場で女性にぶつかっただけよ。それが命に値する罪だと本当に思うの」


 男は真剣な目でリディアを見返した。


「陛下はお若いから、ご存じないのかもしれません。二百年前、この国の女性たちがどれほど虐げられていたか」


「知っているわ」


「あの頃の男たちは女性を人間とも思っていなかった。殴り、蔑み、道具のように扱った。我々はその罪を背負っているのです」


「あなたが直接やったわけではないでしょう」


「先祖の罪は子孫が背負うべきものです。そして少しでも女性を傷つけることがあれば、すぐに償わねばならない。そうしなければ、また昔のような社会に戻ってしまうかもしれない」


 リディアは言葉を失った。


 男性たちは過去の罪悪感に囚われていたのだ。二百年前の男尊女卑社会への贖罪として、自らに極端な罰を科している。それはある意味では誠実な態度なのかもしれなかった。歪んではいるが根底にあるのは反省と、二度と同じ過ちを繰り返すまいという決意なのだ。


 しかしその誠実さが行き過ぎた結果、社会そのものが崩壊しかけている。贖罪のつもりが新たな悲劇を生んでいる。


「あなたの気持ちは分かったわ」


 リディアは立ち上がった。


「でも考えてみて。あなたが死んだら、奥さんはどうなる」


「立派な寡婦として……」


「そうじゃない」


 リディアは疲れ切った妻の方を指さした。


「見てご覧なさい。あの人は三日間、眠らずにあなたを止め続けていた。あなたを愛しているから。あなたが死ぬことであの人は深く傷つく。それは女性を傷つけることになるのではないかしら」


 男の目が揺れた。


「しかし……」


「生きることで女性を守る。そういう考え方もあるんじゃない」


 沈黙が落ちた。男は初めて、自裁以外の選択肢を考えているようだった。その目にわずかな迷いが生まれている。


「陛下」


 そのとき、野次馬の中から一人の男が進み出てきた。見覚えがある。三日前に任命したばかりの、新しい宰相だった。名前はヴァレンティン。任命して三日も生き延びているのはこの国では快挙に近い。


「僭越ながら、申し上げます」


「何かしら、ヴァレンティン」


「今の陛下のお言葉は男性に自裁を控えるよう促すものでした。これは男性の権利向上を意図した発言と解釈できます」


 リディアの背筋が凍った。来る。嫌な予感が的中する。


「つまり、我々男性は陛下にそのようなお言葉を言わせてしまったのです。女王陛下に余計なお気遣いをさせた罪。これは万死に値します」


「待って」


「臣ヴァレンティン、ここに自裁を……」


「待ちなさいと言っているでしょう!」


 リディアは叫んだ。しかし宰相だけではなかった。野次馬の男性たちが次々と自裁の準備を始めている。


「我々も女王陛下にお気遣いをさせた」


「男として、償わねば」


「私もだ」


「俺も」


 阿鼻叫喚の光景が広がろうとしていた。このままではこの場にいる男性全員が死ぬ。リディアは咄嗟に叫んだ。


「全員、止まりなさい! これは命令よ!」


 動きが止まった。女王の命令は絶対だ。しかしその目は苦悶に満ちている。


「お願いだから死なないで」


 リディアの声は震えていた。


「私が皆さんに生きていてほしいと願っているの。その願いを聞いてくれないかしら」


 男性たちは顔を見合わせた。


「しかし陛下、我々が生きていることで陛下はまた心を痛められる。それは……」


「私の心配をするな、と命令しているのよ」


「命令、でございますか」


「そうよ。私は女王。あなたたちは臣下。臣下は女王の命令に従う義務があるでしょう」


 これは詭弁だった。論理としては破綻している。しかし今はそれしか方法がない。この国ではまともな論理は通用しない。狂った論理には狂った詭弁で対抗するしかないのだ。


 男性たちは困惑しながらもゆっくりと武器や縄を下ろしていった。女王の命令という大義名分があれば、自裁を控えることも正当化できる。少なくとも今この瞬間は。


 リディアは深い溜息をついた。今日は何とか乗り切った。しかし明日はどうなるか分からない。


 ◆


 王宮に戻ったリディアはすぐに緊急会議を招集した。女性貴族たちだけでなく、今度は男性の重臣たちも呼んだ。もはや、女性だけで解決できる問題ではないと悟ったからだ。


「皆さんに率直に聞きたいことがあります」


 リディアは真っ直ぐに男性たちを見据えた。


「この国の男性たちはなぜそこまで死にたがるのですか」


 沈黙が落ちた。男性たちは互いに顔を見合わせている。その表情には困惑と、そして何か隠しているような後ろめたさがあった。


 やがて、年配の公爵が口を開いた。


「陛下。それは……」


「正直に答えてください。命令よ」


「……恐れながら、我々とて死にたいわけではありません」


 リディアは目を見開いた。


「死にたくない?」


「はい。しかし死なねばならないのです」


「なぜ」


「もし我々が死を恐れて自裁を避ければ、我々は臆病者として蔑まれます。家族も子孫も永遠に恥辱を背負うことになる。それならば、潔く死んだ方がましなのです」


「つまり、社会的なプレッシャーで」


「はい。男として生まれた以上、そこから逃れることはできません」


 リディアは考え込んだ。


 男性たちは死にたくて死んでいるわけではなかった。社会的な期待と、周囲からの圧力によって、死を選ばざるを得ない状況に追い込まれているのだ。それは二百年前の女性たちが置かれていた状況と、どこか似ているように思えた。


 形を変えた抑圧。抑圧される側が入れ替わっただけで構造は同じなのだ。


「一つ、提案があります」


 リディアは立ち上がった。


「自殺未遂罪を制定してはどうでしょうか」


 会議室がざわめいた。


「自殺未遂罪、でございますか」


「はい。自らの命を絶とうとした者は罪に問われる。そういう法律です」


「しかし陛下、それでは……」


「分かっています。『自殺未遂の罪を償うために自殺する』という堂々巡りになる可能性がある」


 リディアは苦笑した。この国ではどんな法律も予想外の方向に機能する。


「だからもう一つの条項を加えます。『自殺未遂罪の刑罰は生きて社会に貢献することとする』」


 沈黙が落ちた。


「死ぬことではなく、生きることを罰とする」


「その通りです。自殺しようとした者はその罪を償うために生き続けなければならない。逃げることは許されない。どんなに辛くてもどんなに恥ずかしくても生きて、働いて、社会に貢献しなければならない」


 男性たちの表情が複雑に変化していった。


「それは……」


「厳しい罰でしょう。でも死よりはましではないかしら」


 リディアはゆっくりと男性たちを見渡した。


「皆さんは本当は生きたいのでしょう。でも死なざるを得ない状況に追い込まれている。だったら、その言い訳を差し上げましょう。『法律で生きることを強制されている』という言い訳を」


 年配の公爵がゆっくりと頷いた。


「陛下のお考え、理解いたしました。我々は生きることを罰として受け入れます」


「ありがとう」


「しかし一つ懸念がございます」


「何でしょう」


「自殺未遂罪を逃れるために確実に死のうとする者が増えるのではないでしょうか。未遂で終わらせないためにより過激な方法を選ぶ、という」


 リディアの顔が曇った。確かにその可能性はある。この国の男たちはそういう抜け道を見つけるのが得意だ。


「ではこうしましょう。『自殺を試みようとした時点で罪とする』。実際に未遂に終わったかどうかは問わない。自殺しようという意思を持った時点でその者は生存の義務を負う」


「意思を持った時点ででございますか」


「そうです。もちろん、これを厳密に適用することは難しい。でも大切なのは法律の存在そのものです。『死のうとしたら罪になる』という前提があれば、死にたくない人たちはそれを言い訳にできる」


 会議室に微妙な空気が流れた。完璧な解決策ではない。しかし今の状況よりはましかもしれない。


「試してみる価値はあるかと存じます」


 公爵が言った。他の男性たちもゆっくりと頷いていく。


「一つ、お願いがございます」


 若い男爵が手を挙げた。


「何でしょう」


「この法律の制定を男性の発案ではなく、女王陛下の御意思として公布していただけませんでしょうか」


「それは構いませんがなぜ」


「男性が自ら『生きたい』と言えば、臆病者として蔑まれます。しかし女王陛下のご命令であれば、従わざるを得ない。我々の面子が保たれるのです」


 リディアは苦笑した。


「男性の面子を守るために女王が悪者になれ、ということね」


「恐れ入ります」


「いいでしょう。それで皆が生きられるなら、私は喜んで悪者になります。暴君と呼ばれても構わないわ」


 ◆


 自殺意思罪──「生存義務違反予備罪」が公布されたのはそれから一週間後のことだった。


 法律の内容は極めてシンプルだ。自らの命を絶とうとする意思を持った者はその時点で罪に問われる。刑罰は生涯にわたる社会貢献。つまり、生きて働き続けることが義務となる。


 当初、この法律には批判もあった。「男性の尊厳を踏みにじる暴政だ」「女王は男性を奴隷にしようとしている」といった声が上がったのだ。


 しかしリディアは表向きは涼しい顔で批判を受け流した。


「私は女王です。臣下の命は私のもの。それを勝手に捨てることは許しません」


 この「暴君」としての態度が皮肉にも男性たちを救うことになった。女王の命令に逆らうことはより重い罪だ。だから生きるしかない。そういう理屈が成り立つようになったのだ。


 暴君を演じることで命を救う。なんとも歪んだ構図だがこの国ではそれが最善の方法なのだった。


 法律の施行から三ヶ月が経った。


 自裁者の数は劇的に減少していた。もちろんゼロではない。法律をものともせず死を選ぶ者も少数ながら存在した。「法律に従って生き延びるくらいなら、法律を破って死ぬ」という、ある意味で筋の通った選択をする者たちだ。しかし大多数の男性たちは「女王の命令だから仕方なく」生き続けることを選んでいる。


「仕方なく生きる」という消極的な理由でも生きていればそれでいい。リディアはそう考えることにした。


「陛下。ご報告がございます」


 マルガリータが執務室に入ってきた。


「今月の自裁者は七名でございます」


「先月の十二名から、さらに減ったのね」


「はい。しかし新たな問題も生じております」


「問題?」


「はい。『自分は本当に自殺しようとしたのか、それとも冗談で言っただけなのか分からない』という相談が法務局に殺到しております」


 リディアは眉をひそめた。


「どういうこと」


「たとえば、仕事で失敗したときに『ああ、死にたい』と呟いた場合、それは自殺意思に該当するのかどうか、という」


「それは……比喩表現でしょう」


「そう解釈する者もおりますが真剣に悩んでいる者も多いのです。『自分は本気で死にたかったのかもしれない。だとすれば、生存義務違反予備罪に問われる。しかし本気かどうか分からない。分からないまま放置すれば、それは虚偽報告に当たるかもしれない』と」


「それで?」


「自首してくる者が後を絶ちません。念のため、と言って」


 リディアは額を押さえた。


「真面目すぎるのよ、この国の男性は」


「左様でございます。しかし死ぬ代わりに自首するようになっただけ、進歩と言えるかもしれません」


 それでも状況は以前よりましになっていた。少なくとも死者の数は減っている。完璧ではないが前進はしている。


 リディアは窓の外を眺めた。王都の街並みが広がっている。二百年前、この街で女性たちが声を上げた。権利を求めて戦い、社会を変えた。そして振り子は反対側に振り切れ、今度は男性たちが苦しむことになった。


 極端から極端へ。


 人間というのはなかなか中庸を保てない生き物らしい。どこかでバランスを取ろうとすると、反動で逆方向に振れてしまう。その繰り返しが歴史というものなのかもしれない。


「マルガリータ」


「はい、陛下」


「この国がいつか、ちょうどいい場所に落ち着く日が来ると思う?」


「……正直に申し上げてよろしいでしょうか」


「もちろん」


「百年か二百年かかるかもしれません」


 リディアは苦笑した。


「そうね。私たちが生きている間には無理かもしれない」


「はい。しかし今日より明日がましになるのであれば、それで十分ではないでしょうか」


「……そうかもしれないわね」


 リディアは再び報告書に目を落とした。


 そのとき、扉をノックする音がした。


「入りなさい」


 入ってきたのは宰相のヴァレンティンだった。あの日、自裁しようとして止められた、あの男である。生存義務違反予備罪の適用第一号でもある。


「陛下。ご報告がございます」


「何かしら」


「先ほど、私は執務中に女官の髪に触れてしまいました」


 リディアの心臓が跳ねた。また始まるのか。


「それで?」


「本来であれば、自裁すべきところでございます」


「ヴァレンティン……」


「しかし生存義務違反予備罪により、私は死ぬことができません」


「ええ」


「代わりに私は女官に謝罪いたしました。そして今後二度とこのようなことがないよう、執務机の配置を変更いたしました」


 リディアは目を丸くした。


「謝罪した、ですって?」


「はい」


「死なずに謝罪だけで済ませた?」


「はい。法律で生きることを義務付けられておりますので生きながら罪を償う方法を考えたのです」


 リディアはゆっくりと微笑んだ。口元が緩むのを抑えられなかった。


「それでいいのよ、ヴァレンティン。それで。お願いだからずっとそういう感じでいてくれないかしら」


「かしこまりました、陛下」


 宰相は深々と頭を下げ、退室していった。


 マルガリータが珍しく、わずかに表情を動かした。


「驚きました。男性が死なずに謝罪するとは」


「革命的よね」


「はい。歴史の教科書に載るレベルの出来事かもしれません」


 二人は顔を見合わせ、同時に笑った。笑うのは久しぶりだった。この数年、笑う余裕などなかった。


 リディアは窓の外を見た。夕日が王都を照らしている。美しい光景だ。


 さて明日も頑張ろう、とリディアは内心で意気込んだ。


 頑張って、頑張って、頑張れば。


 いずれは自裁者ゼロの日が訪れるかもしれない。現に少しずつ減っているのだから。完璧な解決には程遠いがそれでも前に進んでいる。


「明日は今日より、自裁者を減らせるといいわね」


「はい、陛下。今日よりもより良い明日にいたしましょう」


 マルガリータの声には珍しく温かみがあった。


 この国はまだ壊れている。でも少しずつ直っていくかもしれない。百年後か、二百年後か。それでも、今日より明日がましになるならそれでいい──リディアはそう思いながら、報告書の山に向き合った。


(了)


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