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超新星 ─星になっても─  作者: 栗揚げ
星の輝き
10/10

光輪

「はい!みんな静かに〜!

結果発表はこれまでにして、次はみんなの実力、努力、運を評価してくれる、星台に移るわよ〜

みんなは星台が初めてかもしれないから、簡単な説明だけしとくわね〜。

星台は、いつも私たちを見守ってくれている星たちが、自分のテストや試験、日頃の行いなどを評価して、眷星を選別、支援したり、その人を応援したりするのを**“可視化”するための装置**のことだよ〜。

もっと簡単に言えば、星のみなさんが自分に対してどれくらい期待してくれているかが“見える”ってことかな?」


「まぁ、とにかく自分のことを応援してくれてる星がどれくらいいるか分かるってこと!

それじゃーみんな順番に移動してってね〜」


教官が口を閉じると、皆は待ちにまったような期待と不安に満ちた表情をしていた。


「俺の事応援してくれる星なんているのかな…」

そう不安を口に出す物もいた。


(これは、ある意味新たな“カースト”を示す指標になるということか。

星たちからの応援が多い者は、それだけの実力、行動力、人格などを評価されているということ。

逆に言えば、星が少ない者は“期待されていない”という烙印を押されるのと同義──)


面倒な事になりそうと思いつつ、周りから聞こえる誰かへの歓声に目をやる。


「す…すげぇ!あんなにも星が現れるなんて!しかも、

超巨星の星までもが彼女に目をやっているなんて!」


注目の人物に視線を移すと、そこには息を呑むほど美しい光景が広がっていた。

華麗な容姿をした彼女の頭上には、天の川銀河のように美しく並ぶ無数の星々が、それぞれに輝きを放っている。

中でもとりわけ強く光を放っているいくつかの星──おそらく、あれが噂の「超巨星」なのだろう。

その中でも特に光を放っている星がいくつかある、どうやらあれが皆のいう"超巨星"なんだろう。

あれほど星が現れているなら、彼女は相当な実力者なんだろうな。


彼女の存在に興味を持ち始めた頃、ルナからトントンと肩を叩かれた。


「彼女は同率3位だったヤカテさんですよ。

あんなにも星が見えるなんて、彼女は凄いですね…

私なんて、彼女の足元にも───」


ルナはどうやら自分が冥虎戦で何も出来なかった事を悔やんでいるらしい。


『そんなことはないだろ。ほら、次はおまえの番だぞ。』


素っ気ない返答だったかもしれないが、無理に励ますのも自分らしくないからな。

まぁ、頑張れとしか言えない。


ルナの順番になり、彼女は少しどこか1位というプレッシャーに耐えられそうにないのか、重たい足取りで星台に向かっていった。


みなが1位のチームのルナというのに期待を示し、会場が静まり返った。

ルナが足を星台に踏み入れ、ついにその時がやってきた。

静寂の中、ひとつの光が彼女を照らす。

その光は他の星たちの光と比べ物にならないくらい輝いており、それはまるで彼女の不安を消し去るような暖かい強い光、その光は超巨星の光だった。


だが、その星はさっきのヤカテの時とは少し違う光だった。

その星の上には少し揺らいでいるが、たしかに

"オシリス"と書いてあった。


オシリス、それはエジプト神話に置ける豊穣と再生の神。

神格としては規格外とすら言える存在だ。

みなが彼女に歓声と嫉妬、尊敬の眼差しを送っている。


ルナはホット安心したかのように肩の力を抜いて星台から足を出そうとした瞬間。

突如としてオシリスの星の輝きにも負けない程輝赤い光が現れた。それはただの星ではなかった。

それは──


「エクエル」と記された、もうひとつの星の輝き。


「お、おい!あの赤い光って、滅多に力を貸さないと言われている第2階層以上の悪魔の光じゃないか!?」


「う、うそ!第2階層以上って、オリンポス12柱やエジプト神話の神々にも匹敵すると言われるのよ!」


妬みや驚きがみなの口から弾丸のように飛び出した。


「そんな星の目に止まるなんて、やっぱり1位は格が違うな…」


驚きのあまりみなが顔を赤くして興奮状態に陥っていた。その興奮からか会場はルナの名前を呼ぶ声で溢れていた。



会場はルナの名を呼ぶ声で埋め尽くされた。

その中心にいる彼女は、戸惑いつつも、そっと星台を降りていく。


(面白いな。エクエル……たしか、あれは特殊な悪魔だったはず。

悪魔にして“生”をも司る。

絶対に混ざり合わないふたつの概念を体現する、矛盾の象徴。

そんな存在に“気に入られた”のか……)


ルナが良くない結果にならなかったことに、少し安心した自分がいた。

……だが、次は俺の番だ。ルナと入れ違いで星台に上がっていく。


ルナとすれ違いまじか、一言声をかけられた。


「アラクスくんも、良い結果になると信じていますね!」



それは、まっすぐな応援の言葉だった。


(……その期待に、応えられるかはわからないが──)


俺は、足を星台に踏み入れる。


皆が「もう一人の1位」として俺に注目しているのが分かる。

ルナの直後というのもあり、視線が刺さる。


──だが。


星台には、一つとして星が現れなかった。





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