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エピローグ
高遠はゆっくりと夏樹の制服をもとに戻して、再び夏樹を抱きしめた。
夏樹は頭を高遠の胸に預けている。
「あー、それにしても由紀の手紙どこに行っちゃったんだろう?」
夏樹は釈然としない思いだった。
「かばんにまだ入れてるって竹原言ってたぞ」
「その前に書いて私が二宮くんの下駄箱に入れた方ですよー」
「あー、そっちね」
「んーまぁいっか、二宮くんが由紀と話しをしてくれないなら、こっちから怒鳴りこんでやるし」
勇ましい夏樹に高遠は苦笑した。二宮が態度を軟化させなかったら本当に噛みついてしまいそうな雰囲気だったからだ。
高遠の苦笑いに夏樹は「そこは笑うところじゃない!」と抗議するかのような目つきで高遠をじっと見上げたが、やがてやわらかな表情になりゆっくりと瞼を閉じた。
高遠はそれをこの上ない幸せと感じて夏樹の両肩に手を添えながら微笑んで見ていた。
そして心の中で囁いた。
「ごめんね夏樹ちゃん、その手紙は俺がこの世から抹消しちゃいました。」
高遠は夏樹に今まで以上に優しいキスをした。
始めて投稿した作品が完結しました。
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