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Project16

「由紀、どこにいるの?」

夏樹は心配そうに由紀に聞いた。


「夏樹、今すぐ校舎裏の樫の木のところに来て!」

少し急いでるのだろうかいつもり大きめの声で由紀が言ってきた。


まどか達が心配そうに夏樹を見た。


「ちょっと行ってくる。」


由紀に何かが起きたのだろうか?堀田のことが解決したのにまた新手が出たか?


校舎裏に行くには一旦昇降口で靴を履き替えるべきだが、由紀が「今すぐ」と言っていたから最短ルートを使おう。


夏樹は教室を出て非常階段へ向かった。



バタンッ!


「由紀っ、大丈夫?」


大きな音を立てて非常口の扉を開けて、階段に出たところで夏樹は叫んだ。もう夏と思わせるような眩しい太陽の光に夏樹の眼を細めたが、由紀の居場所を探した。


由紀は樫の木のそばにいた。近くに多分もう一人。


夏樹の声が思いもよらぬ方向からして由紀が驚いている。


夏樹は階段を駆け降りた。まともに下まで降りたら由紀へ向かう方向とは逆になってしまう。


1階と2階の間の踊り場まで降りた夏樹は踊り場の柵を両手でつかんで飛び越えた。


これが一直線に由紀へたどり着く方法。


「夏樹!スカート!」


両手で柵を掴んでしまったために、押さえることのできなかった夏樹の短いスカートの裾が広がった。


やっべっ!


おそらくいるであろうもう一人にもスカートの中身をご披露して、夏樹は地面にしゃがみ込む体勢で着地した。


「夏樹ってば、もう驚かさないでよ。」

由紀が夏樹のそばに駆け寄ってきた。


「ごめん、今すぐって言うから焦っちゃって」

大丈夫そうな由紀にホッとしたけど、呼び出された理由が分からない。





「いやー、いいもの見ちゃった♪」


その声は・・・・


夏樹が顔を見上げると、いつもよりいやらしげな笑いを向けつつも「いい男」のオーラを振り撒く高遠がいた。


なんか元気そうじゃん

夏樹は立ち上がったが、パンツを見られてしまった恥ずかしさで俯いていた。


「水色ー!」

そう言いながら夏樹を軽くハグした。


嬉しそーに言うなっ!


蹴りでも入れようかと思ったが、呼び出したのが由紀だったことを思い出し、夏樹は高遠に拘束されたまま由紀を見た。


由紀は「話ししたら?」とでも言いたげな笑みを夏樹に向けた後高遠へ視線を移した。


「じゃぁ、高遠先輩私はこれで」

昇降口で靴を履き替えてからここに来た由紀は夏樹が登場した方向とは違う方向へ一旦体を向けたが、「あっ」と何かを思い出したのか、振り向いて高遠に言った。


「今回の貸しって結構大きいと思うんですが・・・・」


「貸し」ってなんだ?二人は何か話しをしていたのか?


「肝に銘じます」

由紀にしては少し意地悪げな上目使いの表情だったが、特に臆することなく高遠は答えていた。


「夏樹、じゃあね」

由紀は振り返らず教室へ戻って行った。


「由紀」夏樹は由紀の後ろ姿を追いかけようとしたが、高遠に後ろからしっかりと抱きしめられた。


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