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Project15

一日ぶりに登校したクラスはほぼ平常通りに戻っていた。


弥生がいないような気がしたが、朝職員室によって、一昨日の転落の状況と今の体調を説明していたらギリギリで教室に入ることになってしまい、そのまま朝のHRになってしまった。



「由紀を避けようとして・・・」

夏樹は正直に話をしたので、堀田の故意による転落ではないと学校側は理解した。



夏樹はクラスや周りの様子よりもメールの返信のない高遠にどおやって連絡を取るかばかり考えていて、午前中の授業は全く頭に入らず終わってしまった。


期末、ダメかも~

「夏休みにバイトをしたい」と両親に話したばかりなのに、成績が下がってしまったら「バイトより勉強しなさい」と言われそうだ。



昼休みになり、夏樹は「高遠先輩のクラスに行ってくるから先に食べていて」と由紀に声をかけようとしたが、肝心の由紀の姿が見当たらなかった。


仕方なく由紀には何も告げず、高遠のクラスへ行くと高遠は既に教室を出たと言われた。携帯に電話をしてみたが、繋がらなかった。


夏樹の胸に不安が過った。やはり一昨日の弥生の発言で高遠は何かを決断したのではないだろうか?



夏樹が教室に戻っても由紀はいなかった。仕方なく一人でお弁当を食べることにした。


「一緒に食べない?」

まどかが声をかけてきた。


一昨日の昼休みにひどく驚いた表情をしていた4人だったが、今日一日ずっと今まで通りの態度だった。


「それじゃ混ぜてもらおうかな?」

4人がいるところに机を合わせて夏樹も食べ始めた。


「体は大丈夫なの?」彩が尋ねてきた。


「うん、全然なんともないよ」


「さすが、運動神経はいいなと思っていたけど、その上頑丈なのね。」

里子が感心して言う。


「は~い、丈夫だけが取り柄ですから!」夏樹は出来る限り陽気に言った。


夏樹達はテレビのドラマのことや、ちらほら告知される試験範囲を話題に昼食を食べていた。


「それにしても会田さんにはびっくりしたわ。由紀のことデマだって話しになってるのにね」


「デマ?」

しみじみと言い出した菜穂子の発言に夏樹が驚いた。


「えっ、夏樹も知らないの?」


「だからそれ菊ノ台中だけなんじゃん」

菜穂子と里子のやりとりに話が見えない夏樹、まどかが話してくれた。


由紀と映画に行った4人の内の1人、「加藤かとうくん」が菊ノ台卒のまどかの友人と付き合い始めた。その彼女は加藤の同級生の女の子が加藤を含めた複数とデートをしてキスをしたという話しを知っていたらしい。ところがどういうわけか加藤がキスをしたというのがウソだとバレてしまったのだ。


そしてそこは女の勘が働いたらしく、まどかの友人は他の3人もウソではないかと考え、加藤に確認させた。最初は認めなかった3人も最近になって見栄を張っただけだと言い出したらしい。


「茜っていうんだけど、すんごい正義感の塊で、由紀にあやまりに行かないなら別れるってカレに言い出して、カレはあやまりに行くって言ってたらしいんだけどね」

それ以後どうなったかはまどかは知らないらしいが、同じ女の子として由紀の辛さを思いやった茜は「栄中の4股の噂はデマ」という話しをさりげなく広めていたらしい。


さりげなさ過ぎて由紀本人、夏樹や弥生のところには来なかったようだが。


「由紀にはこのこと話しした?」


「昨日、軽くね。そしたら『そっか』ってそれだけ」


「あんまり弄られたくないんだろうね、もう」

菜穂子の言うとおりかもしれない。


それに由紀は相手に謝罪の意思があると分かれば、わざわざ来てもらわなくてもいいよと言ってくれる子だから。



「うわっ!」


マナーモードになっていた夏樹の携帯が振動した。高遠からか?と思って慌ててポケットから出したが、由紀からの電話だった。



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