ピンク色の花々と青空のコントラスト
朝日に照らされ目が覚める。
目覚めた僕の目には梢一杯に咲くピンク色の花々と、その花々の向こうに見える青空が映っていた。
昨日寝床にした桜の根元から身体を起こす。
寝袋は夜の間に散った桜の花びらで覆われていた。
寝袋から出て立ち上がろうとしたけど、身体が思うように動かない。
熱も昨日より高いようだ。
此処までか。
致死率が100%近い未知の伝染病が世界中で猛威を振るい、人がいない場所で1人暮らせば感染を免れるかも知れないと此処まで来たけど、逃げ切れなかったみたいだ。
枕元に置いてあったリュックサックの中から、数年前に亡くなった父さんの形見のリボルバーを取り出す。
弾が装填されている事を確かめてから銃口をこめかみに当てる。
もう一度、梢一杯に咲くピンク色の花々と透き通るような青空のコントラストを眺め、「綺麗だなぁ」と呟く。
それから僕は目を瞑りリボルバーの引き金を引いた。




