第二話◆:剣とかぐや姫
第二話
「設定が甘い」
俺は目の前に座っている八咲月子という女子生徒にそう言い放った。
「そんなのあるわけないでしょ~よ。そんな、パラレルワールド的な場所で化け物と戦うなんて……それが原因で俺が死んだなんてさぁ」
まったく、人をからかうにもほどがある。一年前の昨日、俺はこの学校の二階にある生物室で剣に突き刺さった状態で死んでいたなんて……本当、冗談が過ぎるっての。
「本当なの!零時君は死んじゃってるの……」
「じゃ、今の俺は?誰?何?」
「そ、それは……」
じーっと俺を見て首をかしげながら自信なさげに口を開く。
「幽霊?」
「違うでしょ!!」
「あいたっ!!」
真面目な顔で冗談言うたちの悪い子にはでこピンだ。
「あのなぁ、あんた今さっき俺を抱きしめただろ?」
「う、うん……」
何でそこで顔が赤くなるんだ?まぁ、それはいい。
「両腕が俺の身体を貫通しなかった、そして見てくれ……」
俺は右手を頭の上まで上げて、一気に振り落とす……ばんっ!!という音が静かだった図書館に鳴り響いた。
「身体が机とか貫通しねぇぜ?壁から無理に出ようとしてもぶつかるだけだ」
「そ、そうだね……一体全体何なんだろう?」
首をかしげているが……俺のほうが何者なのか知りたい。
「で、あんたは結局俺の何なんだ?」
「え?」
「あんたの妄想は詳しく聞いたが、あんたが何者かって話はまだ聞いてない」
「私は……私のこと、覚えてないの?」
「私のことを覚えてないのって……俺は自分が何者かさえ、知らん」
なんだかものすごくつらそうな顔をされたし、心に傷を負わせてしまったような気がしたがわからないものはわからないのだ。
「私の名前は……八咲月子」
「なるほど、八咲か」
「……うん。神社の娘で、剣を……」
「確証のない剣の話はもういいよ……で、その話に出ていた剣は?それがないと話できないぞ」
そういうと顔を伏せられた。申し訳なさそうな顔をしている。
「その、剣は……たぶん、家に……」
「よし、じゃあその剣を俺に見せてくれよ」
「それは……無理だと思う」
「何で?」
「……厳重に保管されているし、今日の夜、新しく誰かに手渡すって言っていたから」
「別に見せてくれるぐらいならいいんじゃねぇの?」
その後、俺はあの手この手を使って八咲の説得を行ったのだった。
――――――――
「あら、一体全体何故、あなたみたいな人がここに居るの?」
八咲の家は神社のようなところだった。そんな馬鹿でかい家の巨大な門の前で、一人の少女に出会った。きっつい眼力の持ち主で性格悪そうな顔をしている。髪は長くて腰の辺りまで伸ばされている。八咲も髪が長いが、後ろで縛られているのでわかりやすい。
まぁ、勿論俺が相手のことを知る由もないので首をかしげることにしていた。
「誰?」
「えっと……八咲伽倶八って言う人」
伽倶八……かぐやねぇ……かぐや姫ってか?こんな性格なら誰からも言い寄られることはないんだろうなぁ……
「……で、あなたはいまさら男を連れてきて仲良くやろうっての?今日、ここで大切な行事があるっていうのに」
どうやら俺のことは見えているらしい。じろっとにらみつけられてしまった。そんなに見つめちゃイヤン♪
「……この人に剣を見せて欲しいの」
「はぁ?馬鹿じゃないの?」
「一瞬だけでもいいから……」
「話にならないわ」
そういわれて門をくぐって奥へといってしまう。
「別に減るもんじゃないだろ、見ても……けちなかぐや姫だなっ!!」
「れ、零時君…それは……」
てっきり家の中に入ったかと思われたかぐや姫は庭に敷き詰められていた玉砂利を蹴散らしながら戻ってきて俺の胸倉をつかんだ。
「……今あんた、何ていった?」
「何だよ?お前耳が悪いのか?」
「いいから、いいなさいよっ!!」
「……別にヘルモンじゃないだろ、見ても……おけちなかぐや姫……げふぁっ!!」
懇親の右ストレートが俺の頬に炸裂。俺はそのまま吹っ飛んで(マジで身体が軽い、飛んでいるようだ)壁に激突……
「いたたた……いってぇな!死んだらどうするんだよっ!!」
「……あんたがかぐや姫なんて呼ぶからいけないんでしょ?……月子、目障りだから消えなさいよっ……」
それだけ言い残すと今度こそ家の中へと入って行ってしまった。
「零時君、大丈夫?」
「……大丈夫じゃねぇよ……くそ、逆に絶対に見てやるぜ、かぐや姫っ!!」
そういうと、何処からか石が飛来して俺の頭を直撃……地獄耳だな、おい。
後書きを見る前の注意:作者は適当なことを言います、気をつけてください。二日連続の投稿!目指せ、皆勤賞!世界は地軸を中心に回っている!!金が欲しい、金が欲しい、金が……ほっすぃぃぃぃぃっ!!今思えば、あの時ちゃんと告白していればよかった……そうすりゃ、いまだに連絡を取り合っている仲良しこよしの万々歳になっていたはずなのにぃぃぃ……ちっきしょうぉ!いいんだいいんだ、どうせ俺なんか……こうなったらワニワニパニックでストレス発散だ!あのゲーム台、今日こそ絶対にぶっ壊してやるっ!!と、言ってみたい今日この頃。