2話
「なんだお前」
「ト…トリルって言います」
「それでなんでこんなところにいるんだ」
トリル「それは…その…捕まって…」
「お前声小せえな。ちゃんと聞き取れもしねぇ」
トリル「す…すみません…」
「それで捕まったって誰に捕まったんだ?」
トリル「今…踏まれている…その人に…」
「ああ、こいつか殺しちまったけど、いいか」
トリル「え…あ…はい」
「それじゃ」
トリル「あ…」『あの!』
「なんだ」
トリル『ここから出してもらえませんか!』
「…礫」
ガキンッと音を立て、人一人が通れる広さの穴ができる。
トリル『ありがとうございます!』
「うるせえ」
―
トリル「というのが私が初めて会った時の話ですね!」
「かなり特殊すぎてどこから突っ込めばいいか…」
トリル「実は私領主の娘で誘拐されたんですけど…」
「ちょっと待った。え?領主の娘?え?ここの領主様の娘さんなんですか?」
トリル「え?そうですよ」
「ストップ。なんでそんなに偉い方がこんなところで働いているんですか?」
トリル「彼の方に会える。それだけです」
「はぁ…ちなみに聞いて良いですか」
トリル「なんでしょう」
「トリルさん別に声小さいわけじゃないですよね」
トリル「彼の方が小さいといえば小さいんです」
「はぁ…それともう一つ。聞いて良いですか」
トリル「なんでしょう」
「さっきから言う彼の方、顔隠されてますけど何故か知ってます?というか顔見たことあります?」
トリル「いえ、ありません」
「えぇ…盲信ですね…」