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守護異能力者の日常新生活記  作者: ソーマ
第2章

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第2章 第8話

一方その頃、舞原家では。


「~~♪」


蒼芽が超ご機嫌だった。

家に帰ってからも、夕飯の時もずっと笑顔で、時には鼻歌を歌ってすらいた。

今はリビングでソファーに座ってテレビを見ている。


「蒼芽、今日は何か良いことでもあったの?」


そんな娘の様子が気になったのか紅音が声をかける。

ちなみに今修也は風呂に入っていて、リビングには蒼芽と紅音の2人だけである。


「え、何で?」

「帰ってきてからずっとニコニコしてご機嫌なんだもの。時々鼻歌も歌ってるし」

「あ、ゴメン。うるさかった?」

「いえそれは大丈夫よ。で、どうしたの? 修也さんにプロポーズされる妄想でもしてたの?」




ずるぅっ!!




紅音の言葉にソファーから滑り落ちる蒼芽。


「あら蒼芽、スカートでそんな事したらパンツ丸見えよ?」

「っ!!」


紅音に言われて慌ててスカートの裾を戻す蒼芽。

幸い修也はまだ風呂から出てきていないから見られてはいない。


「プ、プロポーズ以前に付き合ってもいないよっ!」

「でも同じ家に住んでるんだし、もう付き合ってるようなものでしょう?」

「暴論すぎるよそれ! と言うか、妄想って何よ妄想って」

「だって、蒼芽がそこまで嬉しそうにするのって、それくらいしか思いつかないんだもの」

「いやもっと他にもあるでしょ……修也さん絡みなのは否定しないけど」

「やっぱり修也さんが関係してたのね」


予想通りと言わんばかりの顔で微笑む紅音。


「修也さんのおかげで蒼芽が扱いやすくなって助かるわ」

「お母さん言い方! しかも娘の前で言う言葉じゃないよそれ!!」

「で、修也さんが何をしてくれたの?」

「何かをしてくれたと言うか……修也さんが私の事を美少女だって思ってたことが分かったんだよね」


そう言う蒼芽の表情はかなり弾んでいる。


「あら。修也さんが蒼芽に直接そう言ったの?」

「そうじゃないけど、会話の流れ的には言われたようなものだよ」

「あらそう……そんなに嬉しい?」

「そりゃあ……近しい人に美少女と言われて嬉しくない子なんていないんじゃない?」

「そうかもしれないわね。でも、それだけで喜ぶのはちょっと早計じゃないかしら」

「え?」


紅音からの思わぬ言葉にピタリと動きを止める蒼芽。


「どんな会話をしたか知らないけど、修也さんが蒼芽の事を美少女だと思ってたのは良いわ」

「うん」

「でも、修也さんが美少女が好きだとは限らないわよ?」

「……え?」

「確かに外見が良いと好かれやすいかもしれないけど、人の好みは千差万別、十人十色、多種多様……他に適切な四字熟語あるかしら?」

「いや、今それはどうでも良いよ。どういうこと?」

「世の中には熟女好きだとか、太ってる娘が好きとか、容姿が整ってない方が良いとか、そう言う男性もいるのよ?」

「確かに聞いたことあるけど……修也さんがそうだとは……」

「中には同性が好きと言う人も……」

「い、いやいや……流石にそれは極端でしょ」

「後は……自分なんかとはとても美少女と釣り合わない、って考えるとか」

「!?」


紅音の言葉に、蒼芽は雷に打たれた様な衝撃を受けた。


「え……あ……そ、それは……」


蒼芽は返す言葉が見つからない。

修也は引っ越してくる前の環境のせいか、自己評価が低い。

紅音の言うような考えに至る可能性は十分ある。


「そ、それは困るよ……私、これからも修也さんとは仲良くしていたいのに……」


震える声でブツブツと呟く蒼芽。


「仲良くはしてくれるでしょ。この数日だけでもとても仲良かったじゃない」

「それはそうかもだけど……」

「それとも、『仲良く』したいの?」

「だから私の言ってるのと絶対意味違うよねそれ!?」

「うふふふ……」

「意味深に笑って誤魔化さないで!」

「何はともあれ、修也さんはもっと自分に自信を持っても良いとは思うわね」

「あ、うん、それは確かに……」

「お風呂上がりましたー……って、何この空気」


そこに風呂から出てきた修也がやってきた。

そしてリビングに漂う変な空気に怪訝な表情をする。


「はっ! あ、あのっ! し、修也さんっ!」

「は、はいっ!?」


突如目の前に迫ってきた、鬼気迫る表情をした蒼芽に少し焦る修也。


「修也さんは、見た目も中身も十分素敵な人ですから! 自信もってください! ね!?」

「あ、ありがとう……え、なんで急に励まされてんの、俺?」


急な展開に頭が追いつかず、軽く混乱する修也。


「あの、紅音さん? 何なんですかこれ?」


修也は紅音に説明を求める。


「いえ、蒼芽があまりにも浮かれてて浮き足立っていたので、少々釘をさしておきました」

「えぇ……何やってんですか……」


よく分からないが、また何かぶっ飛んだ発言をしたのだろう。

修也は呆れ顔でため息を吐いた。


「あ、あとひとつ修也さんに聞きたいことがあるんですけど」

「何だ?」

「修也さんって、女の子は好きですか?」

「何その質問!? 意図が全く読めないんだけど!!」


完全に想定外の質問に修也は耳を疑った。


「話の流れでちょっと気になりまして」

「どんな話してたらそんな流れになるの!?」

「で、どうなんでしょう?」

「……なんか、はいともいいえとも答えづらいな……はいだと女たらしみたいだし、いいえだとソッチ系の人みたいだし」

「じゃあ質問を変えます。修也さんは恋愛的な意味で男の人が好きですか?」

「それは無い! 断言する!!」

「……良かった、それを聞いて安心しました」

「ってか、そんな疑惑持たれてたの、俺? もしかして蒼芽ちゃん、そう言うのが好きな人?」


万が一の可能性を考えて修也はそう聞いてみる。

割と身近にそう言う人がいるのであり得ない話ではない。


「ち、違いますよ!? ……もう、お母さんのせいで私まで変な目で見られることになったじゃない!!」


あらぬ疑いをかけられた蒼芽が紅音に抗議する。


「ごめんなさいね、蒼芽のリアクションが面白いからつい……」

「いや、ついじゃないでしょ……」

「早いとこ蒼芽が修也さんの所に嫁入りすればそんな懸念も無くなるんですけどね」

「え?」

「お母さん!?」


相変わらず発言がぶっ飛んでる紅音のおかげで、今日も舞原家は賑やかなのであった。



「もう、お母さんったら……これで何度目よ……」


空いた風呂に蒼芽が入ることで解散となり、修也は自分の部屋に戻った。

そしてしばらくして風呂から出てきた蒼芽が修也の部屋にやってきて開口一番に上記のセリフである。


「で、蒼芽ちゃんは何をそんなに浮かれてたんだ?」

「それはもちろん、修也さんが私を美少女だって言ってくれたことですよ!」


修也の質問に蒼芽は胸を張って答える。


(あれ? 直接は言ってないような?)


事実が微妙に変わっていることに内心首を傾げる修也。

しかしここでわざわざ訂正を入れても仕方がないし、蒼芽も嬉しそうだし誰も損はしていないので流す。


「でもですね、お母さんが、『修也さんが美少女好きだとは限らない』って……」

「えぇ……俺の知らない所で俺の嗜好が勝手に作られてんの……?」

「『もしかしたら同性が好きかもしれない』とも……」

「いや論理ぶっ飛びすぎだろ!? どうしてそうなった!」

「でも、最近はそう言う人たちに対する理解がある社会になってきているじゃないですか」

「だからって俺にあてはめないでくれるかな……? そうかそれであんな質問を……」

「じゃあ、修也さんは普通に女の子が好きと言うことで良いんですね?」

「まあ、普通には、な……」


ここで変に否定したり誤魔化したりしたら非常にややこしいことになるのは明白だ。

なので修也は普通に頷いた。


(良かった~、ここで違うとか言われたら多分立ち直れなかったよ……)


蒼芽は蒼芽で修也が頷いてくれたことに内心安堵の息を吐く。

今後どうなるにせよ、最初から対象に入っていないというのは流石に辛い。


「ふむふむ。では、次の質問です」

「え、続くのこれ?」

「もちろんですよ。だって気になるじゃないですか!」


修也の問いかけに、身を乗り出して答える蒼芽。


(蒼芽ちゃんも年頃の女の子って事か……こういう話が好きなんだなぁ)


……と自分を納得させようとした修也だが、聞かれっぱなしは不公平だ、と言う思いが出てきた。


「じゃあ蒼芽ちゃんも教えてくれよ」


なので修也はそう提案した。


「えっ……良いんですかっ!?」


それに対して蒼芽は更に身を乗り出してきた。

もう鼻がぶつかりそうな距離だ。


「えっ……そのリアクションはおかしくね?」

「そうですか? 私、高校生の恋バナって憧れてたんですよね。なんだか大人の階段を1歩上るような気がして」

「そうなのかな……?」


そう言われても修也にはピンと来ない。

恋バナどころか、普通の話すら片手で数える程しか無かったので仕方がないが。


「俺は言わずもがなだけど……蒼芽ちゃんはクラスメートとかとやった事あるの?」

「ありませんよ?」

「無いんかい」

「だって、高校生になってまだ1ヶ月ちょっとですよ? 流石にそこまでやるような友達はできませんよ」

「言われてみればそれもそうだな」


蒼芽のコミュニケーションスキルが高すぎるので失念していたが普通はそんなものだろう。


「だから今こうやってできるのが楽しいんじゃないですか。パジャマパーティみたいです」

「パジャマパーティか……蒼芽ちゃんはやった事あるのか?」

「ありませんよ?」

「無いんかい」

「あ、お隣の子と似たような事はした事ありますね」

「あー、隣同士だとお泊まり会とかやってもおかしくないなぁ」

「まぁひたすらボードゲームとかカードゲームとかテレビゲームとかで遊ぶだけですけどね」

「お、普通に楽しそう」

「じゃあ次やる時は修也さんもお誘いしますね」

「うん、その時は……って、まずはそのお隣の子と仲良くなれるかどうかが問題だな……」


一般的に、友達の友達とも友達になれるとは限らない。

それを懸念していた修也だが……


「あ、それは大丈夫ですよ。絶対仲良くなれます」


蒼芽はそう言い切った。やたら自信満々である。


「言い切るなぁ……それだけ自信があるってこと?」

「はい。何なら賭けても良いですよ? 出会って1分で仲良くなれるはずです」

「1分!? いくら何でも早すぎね?」

「それだけ自信があるってことです。なのでもし1分以内に仲良くなれたら、私が賭けに勝ったご褒美としてデートに連れてってください」

「1分以上かかったりそもそも仲良くなれなかった場合は?」

「修也さんが賭けに勝ったご褒美としてデートしてあげます」

「同じじゃねぇか!」

「あはははは!」


修也のツッコミに大笑いする蒼芽。


「じゃあ話を戻しましょうか。修也さんってどんな子がタイプなんですか?」

「えー……やっぱ話さないとダメ?」

「パジャマパーティーってこういう話の方が盛り上がるんですよ」

「やったことないくせにー」

「だから今やるんですよ。で、どうなんですか?」

「んー、そうだなぁ……」


蒼芽に急かされて、修也は少し考える。


「タイプとはちょっと違うかもしれないけど、俺のこの『力』の事を受け入れてくれる人、かな」


修也としてはやはりそこが大前提となる。

修也には普通とは違う『力』がある。そのことを受け入れられないようでは話にならない。


(あっ! じゃあ私入ってる!!)


修也の言葉に、蒼芽は心の中でガッツポーズをとる。

蒼芽は修也の『力』の事を知っても態度が一切変わっていない。

修也の言う前提にバッチリ入っている。


「他は何かありますか? 例えば年下が良いかとか、髪の長さは短い方が好きだとか、好きなおかずは最後まで取っておくタイプが良いかとか」

「最後のは何なんだ」

「今朝クラスメートに修也さんの事を聞かれたときにあったんですよ。あとは階段を上る時はどっちの足から上るのか、とか」

「そんなの知ってどーすんの……」

「ですよね……ちなみにどっちですか?」

「いや聞くんかい! ……最後まで取っておくタイプかな。足は気にしたことない」

「で、答えてくれるんですね」

「ちなみに他にこだわりは無いかな。『力』を受け入れてくれるってだけでもう性格は良いに決まってるだろうし、これ以上を求めたらバチが当たる」

「そ、そうですか……? えへへ……」


修也の言葉に蒼芽は照れ笑いを浮かべる。

自分の性格が良いと言われたようなものであるから当然だろう。


「……? で、蒼芽ちゃんはどうなの」

「え? 私ですか? そうですねぇ……私は、困った時に頼りになる人が良いです」

「あれ、見た目とかは良いの?」

「あまりにも不潔だとか不健康な人は流石に遠慮したいですが……外見はそこまで気にしないですね」

「そんなもんかねぇ?」

「修也さんだって、『力』を受け入れてくれる子なんだったら見た目は気にしないんでしょう?」

「あぁ、確かに言われてみればそうだ。最低限の身だしなみは整えてほしいけど」

「やっぱりそこは大事ですよね」


うんうん、と蒼芽は頷いて同調する。


(やったっ! 色々話を聞けた上に修也さんのタイプにバッチリ入ってるし、暗に性格も良いって誉めてもらっちゃった!! 今日は良い夢見れそう!)

(困った時に頼れる人が良い、かぁ……何と言うか、蒼芽ちゃんらしいや。まぁ何にせよ、蒼芽ちゃんが腐った脳の持ち主じゃなくて良かった)


お互いの好みのタイプを知り、蒼芽は上機嫌になり、修也は安堵の息を吐くのであった。

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