十字路
サブタイトル的な的なのをつけてみました。そこまで深い意味はありませんが、多少意味はあります笑
それと、私のある思い違いがあってですね。この作品、ローファンではなく、ハイファンでした。ローファンタジーだから見てた、という方には申し訳ありません。
「この道をまっすぐだったっけ?」
門から舗装された道を駆け続け、クルトは十字路で数分間の格闘をしていた。
「左に行ったらウール平原でしょ?右は......右は......」
さらに数分悩み、クルトは近くに落ちていた棒を拾った。
「よく子供のころ冒険だーとかいってこれ使ったんだよな」
小学生くらいの年の頃、近くの子供たちと遊んでいた記憶を思い出し、クルトはふふっと楽しそうに笑う。
「さあ、右か、正面か」
木の棒を地面に立たせ、クルトはそっと棒から手を離した。棒は迷うことなく右の方に倒れる。クルトはこっちだったか、といった表情を浮かべながら右の方向へ走り出す。が、
「ふぇ!?」
足を滑らせ、足を入れれば大人の腰まで草が届くといわれる舗装路の外に体がでてしまう。叫び声をあげる間もなく草むらに落ちるクルト。だが、あまりにも長い間放置され、異常なほど密度が高くなった草がクルトの小さな体を受け止める。偶然にも、クルトは無傷だった。
「なんか......いいなあ」
大の字で落ちたクルトの顔や体に、やわらかい日差しが燦々と降り注ぎ、クルトを優しく眠りに誘う。草でできたふかふかの布団もあってか、クルトはウトウトし始める。何度も船を漕ぐクルト。その傍らを何人もの冒険者が「今日は何狩る?」、「お昼ご飯、楽しみにしててね」などと会話をして通り過ぎて行く。その和やかな会話すら今のクルトには子守歌に聞こえ、クルトはゆっくりと夢の中へ降りて行った。
数分後、高速で地面を叩き続ける足音とガシャガシャと金属同士が打ち合うような音が続けて十字路に大きく鳴る。その音に心地よい睡眠をしていたクルトは肩を飛び跳ねさせて上半身を起こす。頭だけが舗装路にでて、周囲を見回す。そこで見慣れた大きな背中が正面の道を駆けていくのをクルトは視認する。
「ツルクさんと、おじさん?」
何故二人が?という疑問を抱きながらクルトは草むらの上に立ち上がる。
「まあ、いっか」
クルトはそう呟いて舗装路の端を掴み、そこを中心に一回転。体操選手顔負けの綺麗さで道路に足をつけ、棒が倒れた右の道へと足を進めた。
「ヒカリゴケ、どれくらい持って帰ろうかなあ」
まだ見ぬ新天地に軽く胸を弾ませ、クルトは石畳の道路を歩いていく。