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フロンの冒険或いはレグルスの姉離れ・五

ゆっくり完結までまとめていきたいと思います。

お付き合いしていただけたら嬉しいです。


ソシャゲのガチャの確率って明記されてる通りなんですかね?こっちが何十連してる隣で単発で目当てを出されるとさすがに疑う。他のゲームでは色々と炎上が有る分まさかと思ってしまう。

だけど引いてしまうんですけどね~。


「えっと……」


「おとうと……誰が?」


俺の発言にいち早く反応したのはフロン。周りもフロンの事情を知っているためか半信半疑恐る恐るといった様子。言ってしまった以上黙っておくのも可笑しいのでぶっちゃける。


「あー……レグルスだよ。フロン、お前の弟らしいぞ?こいつ」


「………うそ」


本当のことを誤魔化してもしょうが無い。どっちにしろこの場でレグルスにも言わせるつもりだったし少し順番が前後しただけだ。


「嘘じゃないよ。さっき遅れたのはその事についてこいつと話していたせいだ。レグルスいわく、『姉を危険な目に合わせるな』だとよ。お姉ちゃん思いのいい弟じゃないか」


「違う!リト!何言ってるんだ!僕はフロン姉の弟なんかじゃない!」


「少し静かにしてろよ弱虫」


「……レグルス今何ていったの?」


「!?」


とっさにフロンの事を姉ちゃんと呼んでしまい自分の口を塞ぐレグルス。周りもだんだんと状況を理解し始めたのか、最初に動いたのはギルのおっさんだった。


「レグルス?お前が嬢ちゃんの探していた弟か?……いやすまん、嬢ちゃんから事情を聞いてしまったんでな」


「そんなことあり得るか?と言うか二人とも全然似てないけど聞いたらいけない事情があるのか?」


「レグルスから家族が居るなんて我は聞いたことないぞ?」


「いやいやいや、レグルスがフロンの弟なわけないでしょ。リトも適当なこと言わないで」


「俺に言うな。冗談かどうかはレグルスに聞けよ」


それぞれが思ったことを言い始めて場がどんどんヒートアップしていく。その中でジルバが動いた。自分の顔に手を当てると………え?


「…はぁ、レグルス様、いや、マグル様、これ以上誤魔化すのは止めましょう」


「……ジルバ?」


いつの間にか褐色イケメンだったジルバが俺と話したときの爺さんに変わっていた。手を当てた所までは見てたけど、どうやったんだ。


「マロン家に伝わる変装術ですよリト様」


「お、お前誰だ?……ジルバ?」


「さすがですギル様、私、レグルス様改めてマグル様の世話係をしております。ジルバ・アリオスでございます。以後お見知りおきを」


「あ!お爺ちゃん!」


「「「お爺ちゃん!?」」」


「ジルバお前、変装してたのか?」


「え?え?え?えぇええ?」


「ジルバさんまで偽名だったの?」


「いえ、私はジルバ・アリオスが本名です。ラリア様ギオン様。そして落ち着いて下さいカリス様」


「えっと、とりあえず私には様付けは止めて。擽ったくなるから」


「え?え?レグルスが偽名で?ジルバがお爺さんになって兄弟で?……え?……きゅぅ」


「カリスが倒れた!」


「ホントに…レグルスが僕の弟なの…?」


「それは……」


爺さんに変わったジルバを見てパニックになる四人気絶するカリス。顔見知りだったのかとビックリした顔をするフロン。

暢気に会話を続けるジルバとラリア、ギルのおっさん。


「…とりあえず全員落ち着こうか、ほら席座れ」


「「「「「誰のせいだよ!」」」」」






「それで…誰から話す?」


全員が席に座り収集を収拾をつけるために一人ずつ話をすることになった。一応俺が全員の事情を知っていると言うことで先導する。


「「「「………」」」」


「誰も出ないなら俺から、フロンとレグルス……本名はマグルって言うらしいけど、二人は姉弟らしいぞ」


「「それは!」」


「はいはい、発言は一人ずつでよろしく。じゃあフロンから」


案の定すぐにヒートアップし始めた二人を押さえてフロンから話をさせる。


「僕は、弟を探しに家を出たんだ。レグルス…はマグルなの?ごめん、僕には弟の記憶があんまり無いんだ。覚えているのは僕のせいで怪我をした右目の傷だけ」


「僕は……」


「顔、あげて」


フロンに言われマグルは下を向いていた顔を上に上げる。その顔をじっと見つめるフロン。しばらく見つめた後ぼそりと溢す。


「マグル、何だね」


「……そう、だよ。フロン姉ちゃん」


「……そっか。うん、間違いないね。その右目の上の傷、あの時のでしょ?…パーティーにいたときは全然気付かなかった」


「姉、ちゃん」


「よし」


バシッ!



「ぐへぇ!!」


「「「「えぇ!?」」」」


「あはははははっ!」


マグルが自分がフロンの弟だと認めた瞬間フロンが立ち上がりマグルの頬に一撃入れる。

予想度にしない一撃に勢いよく後ろに倒れるマグル、驚くギルのおっさんたちと大笑いする俺。


「に、兄ちゃん、フロンの奴自分の兄ちゃんぶん殴ったぞ!?」


「あはははははっ!そりゃそうだろう!」


「何で?嘘ついていたのががむかついたの?」


アルトが不思議そうに見つめる。こればっかりはフロン自身の性格の問題だからな。


「半分正解。昨日、レグルス…もう面倒くさいからマグルでいいか。マグルのパーティー抜けるときのフロン覚えてるか?」


「そりゃあ昨日のことは忘れないけど。噛み付いていたな」


「だったら分かるだろう?今日の冒険の時は誤魔化してたのかどうか大人しかったけど、基本的にフロンの根っこは多分やんちゃなんだよ。乱暴と言い換えてもいい」


昨日のパーティーを抜けるときの言葉遣い、俺の腕に噛み付いた胆力。恐らく子供の時から相当やんちゃだったんだろう。


「それが昨日の酒場で吹っ飛ばされた相手、しかもかなりきついことを言われた相手がが知らない人かと思ってたらずっと探していた弟だって言うじゃないか。もしかしたらと思ったら想像以上にいい一発だったな」


後ろに倒れたマグルがフロンに文句を言うフロンは間にあったテーブルを飛び越えるとマグルの上で仁王立ちする。


「っぐぅ……フロン姉ちゃんいきなり何するさ!」


「うっさい!マグルこそ何でそんなくさい演技までしとーとや!?全然気づかんやったろーも!」


「僕はフロン姉ちゃんの事を思って!僕がおったら姉ちゃんがこまるけん!姉ちゃんに家ば継いで欲しかったと!!拾われた僕なんかじゃなくて!」


「拾われたのはうちの方たい!どう見たってお母さんと似とるのはあんた野郎も!変な勘違いしとってから!」


「か、勘違いやなかもん!ミカおばさんが言いよったったい!」


「あんな性悪ばばあのことを簡単信じとるんじゃなかよ!」


「でも僕がいない方が姉ちゃんのためになるって……」


「何がうちのためや!?レグルスなんて洒落た名前ば名乗っとってから!どーせ自分で考えたかっこいい名前っちゃろ!?」


「レ、レグルスは格好よかろーも!」


お互いに周りが見えていないのか会えなかった分まで埋めるように言い争いをする。なるほど、マグルがフロンの後をついて行っていたっていうのも強ち間違いじゃないみたいだな。


「良かったなぁ、嬢ちゃん。探していた弟に会えて」


「こうやって見ると確かにお似合いなのかも知れないわね」


「……っは」


「あ、カリス起きたね」


「う、うーん?ラリアか…何か悪い夢を見てたみたいだ」


「へぇ、どんな夢だったの?」


「うん、ずっとイケメンだと思っていたジルバが格好いいお爺さんに変わって、レグルスが実はこの前パーティーに入ったフロンの弟で……ごめん、まだ寝惚けてるみたいだよ」


「そうでも無いですよカリス様、騙していたことは申し訳ありません。何分この姿ですと何かと不便がありまして」


「夢のお爺さん!?」


あっちでもこっちでもまた収集がつかなくなってきた。フロンたちに至っては取っ組み合いのケンカを始めてるし。


「ケンカというより、一方的にフロンがどついてるな」


「確かに」


「マグル様、楽しそうで何よりでございます」





「落ち着いたか?二人とも」


言い争いというかケンカをし始めた二人をギルのおっさんが仲裁する。


「まだ言い足りんよ!このバカマグルが!」


「バカって言うな!姉ちゃんこそ勝手に家を出てきてから危ないことばっかりやって!姉ちゃん怪我したらどーするとね!」


「まだ言うか!」


フロンをラリアが、マグルをギルのおっさんが押さえて落ち着かれせる。マグルの方は落ち着いてきたけどフロンの方がまだまだヒートアップしてる。


「私たちも色々と整理したいことがあるんだけど、レグルス……マグルで良いのかしら?」


「あ、あぁ、偽名を使っていたのは謝る。この街ではレグルスで通していたけど僕の本当の名前はマグル。マグル・マロンと言うんだ」


「そ、だけどその謝罪は私たちにすることじゃないわね」


「え?」


ボカッ!


マグルの頭を後ろからカリスが結構強めに叩く。ラリア以外のみんなビックリした顔をした。


「カ、カリス?」


「………嘘つき」


「………あ」


「わ、我に嘘ついていたのか!あの時我をパーティーに誘ってくれた!マントも格好いいって!嘘ついてたのか!?」


「違う!違うよカリス!」


「お前はレグルスじゃないんだろ!マグルって…聞いたことない!ジルバだって……我が信じられ無かったのか……?」


泣きそうな声でカリスがマグルを叩く。力無くずっと叩き続けるカリスをマグルが抱きしめる。


「そんなこと無い!カリスは僕がこの街で出来た最初の心許せる友達なんだ!…嘘をついていたことは謝る。けど信じてくれ、これからカリスには二度と嘘をつかない。僕の親友であり続けてくれないか?」


「ぐすっ……わ、我は優しいからな。一度までゆ、許そう。二言はないぞ?」


「ああ、ありがとうカリス。やっぱりカリスは格好いいよ」


「……当たり前だ!」






「何だフロン、そんな不満そうな顔して」


抱き合う二人を面白くなさそうな顔をしてラリアの膝の上で見てるフロン。ずっとラリアに撫でられてる。


「別にー、うちと会ったときはあんな感動てきじゃ無かったしー?ずっと会えなかった家族と会うのにケンカになったことを根に持ってないしー?うちの思っていた再会と全然違かったしー?」


「ケンカになったのはお前のせいだろう」


「だ、だってまさかレグルスがマグルなんて思わんかったし……分かったらなんかこう、ムカムカとふわふわとそわそわが湧き上がってきてつい……」


「ずっと探してたんだもんな。会えて良かったな」


「………うん」


「だんだんと言葉遣いも訛りが出てきてるからな」


「それは、恥ずかしいけんやめて!」


「良かったねぇ~フロンちゃん。ぎゅーっ!」 


「うわっ!ラ、ラリアさん!?急に抱きつかんといて!ビックリした!」




「……ジルバ、お前本当は執事だっのか?」


「執事ではなく、お世話係ですね。幼い頃はマグル様とフロン様と二人ともよく抱き上げました」


「そうか、お前はお前なんだな」


「ええ、姿は違えど私はジルバ・アリオスですよ。ギル」


「ならいい」




全員の話が一段落し席に座り直す。マグルの隣にフロンが座るがどこか居心地悪そうだ。マグルの反対側に座るカリスは心なしか何時もより近い。


「それで、どうするんだフロン?」


「どうするって?」


「これからだよ。お前の目的は叶った。これ以上俺とパーティーを組んでいてもメリットは無いだろう。それにこの街に残るのか、帰るのか」


「それは……」


「別に此れからのことを今すぐ決める必要は無いけど、誰と誰と行動するのかは今決めて欲しいな」


「僕は……うん、リト、今日はありがとう。リトと一緒に冒険できたお陰で出来ないことごとくたくさん見えたよ」


「僕からも改めてお礼を。マグル・マロンはこの恩を忘れない」


「僕はマグルと一緒に帰る。会えてどうしようか考えだけど一度お母さんとお父さんに一緒に会いに行くよ」


「話し合いが、理解が僕らには足りていなかった。改めて家族みんなで話し合うよ」


「そっか、家族は一緒に居るのが一番だしな。俺も応援するよ」


「それで、カリス」


「な、何?」


「君に着いてきて欲しい」


「え!?」


マグルの言葉に隣に座っていたカリスが驚く。対してマグルはカリスを手を握って正面から向かい合う。


「姉さんとジルバ、それにカリスも僕にとってはなくてはならない人なんだ。君が良かったら是非一緒に来てほしい」


「あわわわわわ!」


「僕には君が必要なんだ」


「あわわわわわ!」





「あそこだけ見たら家族に恋人を紹介するみたいだな」


「カリスあれ完全にパニックになってるぞ。顔も赤いし」


「いいなぁ、私もあんな熱烈な告白されてみたいわ」


「マグル様の将来も安泰ですね」



カリスも了解したようでフロンたちは四人で家に帰ることにしたみたいだ。フロンは今居る宿を引き払ってマグルたちの居る宿に移動するらしい。


「…今日は楽しかった。リトのお陰で僕の目的もの弟も見つかったし本当に、ありがとう」


「リト、僕には一歩踏み出す勇気が足りなかった。君の言うとおり何にも難しいことはなかったよ。僕と姉さんは家族なんだから。ありがとう」


「感謝なんていいよ。今日はお前の奢りなんだろ?それで十分だよ」


「…君の気遣いに感謝する。ここは僕がもとう」


言質は取ったので店員さんを呼んで精算をして貰う。ギルのおっさんたちがやばい、と言う顔をしているが奢ると言ったのはこいつだ。


「ほれ、よろしく」


「ああ、ありが………え?」


店員さんこら貰ったお会計をマグルに渡すと動きが止まる。

ゆっくりとこっちを見る。何故かさっきより顔が青い。


「こ、これは……?」


「お会計」


「いや、お会計って……え?」


「何だよ、どうした………っひ」


隣のカリスが覗き込むが見た瞬間息をのむ。


「ごちそうさまでした♪」


自分でもこれ以上無いという会心の笑顔でお礼を言う。


「……この恩は、忘れないよ。リト」


煤けた背中でマグルは支払いに向かっていった。

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