なにもの
涼しい気がするとは言え、
夏は夏に決まっている。
どうしたらいいんだろうと、
豪雨のあとの体が、熱にうなされる。
ありきたりなことしか、
知らないし、知ろうともしない。
奇抜なことなと、縁遠い。
言葉に傷つき、溜め息に傷つく。
誰かに、こぼしたい、
言葉と溜め息を隠す。
景色のように、空気のようになる、
生まれついての軟体動物。
頑張ろうなんて、
ほんとは一度も思ったことがなく、
頑張るべき時に、頑張り方がわからず。
木陰に隠れて暮らした。
縁側で、板の間で、横たわる。
ぼくの形は、有るような無いような、
柔らかな夏の形をしている。
ただ、キラキラした光が透けている。
思い出の……