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影神(アバター)  作者: 石村屋
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感情の影

みなさま初めまして。石村屋と申します

影神アバターに興味を持ってくれてありがとうございます。

はじめての小説ということで至らない点ばかりですがよろしくおねがいします

生物には影がある。

正確に言えば物、物質にも影ができる。

だが生物には感情があり、それは生きる物の特権であり喜怒哀楽を持っている。


生物とは感情という影を常に持っているのだ





彼女は盲目だ。

俺の幼馴染である『神崎 ほむら』は幼い頃、10年前に交通事故により両目を酷く火傷してしまう。

すぐに治療をしたがその目に光が映ることはなかった。

事の発端は居眠りによる玉突き事故。居眠り運転をしてしまった大型トラックが一台の車に後ろから衝突し、その車がほむらを乗せた神崎一家だった。

前に乗っていた両親は軽い怪我で済んだがほむらに関してはそうはいかなかった。

後ろから衝突された為救助が遅れてしまい、車が炎上。両目はもちろん全身にも火傷を負ってしまい今でもその跡は残っている。

ほむらは当時のことは朧気にしか覚えていないらしくしょうがないという一言ですましているのは本当にそう思っているのかそれとも事の問題がわかっていないのか、どうなのかは本人にしかわからないが俺はほむらをそうした運転者を許した日はないだろう。

ほむらは今日も家の壁を伝いながら生活しているのだから・・・


あの日から10年経った今日、俺は高校生活2年目を迎えようとしていた。

楽しい学園生活とは程遠い毎日だったが、日課である神崎家に立ち寄るというのが心の拠り所だった。

なんで毎日ほむらに会いに行っているかはわからないがそうしたいからなのだろうか?

好きという感情が沸き上がってくるが果たして本当にそうなのだろうか?

ほむらは家族みたいな存在で守ってあげたいという感情があるのも事実。彼女の手であり、足であり、目でありたい。そう思ってしまうのは好きなのか、はたまた彼女に対する同情なのか。それは俺でもわからない。

そんな彼女から「ありがとう」そう言われるとどうでもよくなってしまうのだ。

思春期ならではの感情を抱きながら俺は彼女の部屋のドアをノックする。コンコンとドアを叩き、ほむらの返答を待つ。

「誰?」

「俺だよ、蓮だよ。」

松岡 蓮である俺は毎日の繰り返しでもある受け答えに若干ため息交じりにドアの向こうにいるほむらに言う。それに対して少し機嫌を損ねたのかほむらは少し無言になる。

毎日のやり取り故に俺は別に焦る気持ちも何もない。この後すぐに機嫌が直るのも知っているからだ。

「入るぞー?」

返答を待たずに俺はドアを開ける。

そこにはベッドに横たわる短髪で小柄な女の子。部屋の中にはベッドと簡素なテーブル、それと女の子の部屋には珍しいかわからないが冷蔵庫がある。床には物は一切置いていないのはほむらが躓かないためだろう。

俺は彼女の近くに向かい、ベッドの横で彼女と同じ目線になるように腰を落とす。するとほむらは両手を伸ばし俺の顔に手を当てる。目、鼻、口、髪型。ほむらは各部位を触って俺だというのを理解しようとしているのだろう。ほむらは俺であることを確信したのか頬を緩くしにっこりとした笑顔で俺の方を向く。

「おはよう、蓮。」

「おはようほむら」

寝巻の隙間から火傷の跡が見えているがほむらにそれを言う必要はないだろう。それどころか言ってしまうと逆に体を見るなと言われてしまうのがオチだろう。

「昨日はよく眠れたか?」

「うん、昨日は早く寝たと思うよ?」

こんなやり取りを毎日やっているからか彼女の機嫌がわかるようになっている。

今日は少し機嫌がよいみたいだ。

「それはよかったな。」

ここまではただの何気ない会話だがほむらには昔から変わらないところがいくつかあり、その中の一つである・・・

「あぁ~~ん!!蓮キュン寂しかったよぉ!!」

ほむらはまるで俺が見えているかのように両手を上げて俺に飛びついてきた。

見えてない為か顔が俺の目の前にきて思わず赤面してしまう。

見慣れたはずの顔なのにこれだけは慣れない。

(そもそもほむらは美人になりすぎなんだよ!!俺好みになりすぎててどんな顔していいかわかんないんだよ!!)

ほむらからは俺の顔が見られないのが唯一の救いなのだろうか、俺は少し慌てながら頭の後ろまで伸ばされた手を解く。

外見はおとなしそうな感じを漂わせて、大人びているのに俺と二人になるとこんな風になるのは微笑ましくもなる。

「昨日もね?寂しかったんだよ?蓮キュンに体フキフキしてもらいたかったんだよ?なんで夜来てくれなかったの?」

「お前、さっきとキャラ違いすぎるだろ・・・何回も言わせんなよ?夜はべ・ん・きょ・う!!」

「そう言ってぇ・・・ほんとは私とお話したかったんでしょ?」

「あーー、はいはいそうです会いたかったですー」

「あ、顔熱くなってきてるけどもしかして照れてるんですかー?」

ほむらは俺の頬に手を当てて体温を測るかのようにやさしく触ってくる。その指は頬からゆっくり唇へとなぞっていく。

ほむらさん俺と同年代ですよね・・・?どうやったらそんなに大人びることができるんですか??

そんなほむらも自分では気づいてないのか顔がかなり赤面しているが本人には関係ないのだろう。ほむらは昔からこんな感じなのだ。

ほむらが失明する前の話になるのでちょうど10年前の話

『れんくんれんくん、おままごとしよー!』

『おままごとってなぁに?』

『わたしのおむねをもみもみするの!』

今思えばなにを馬鹿げたことを言っているのか・・・。このあと親に見つかりやることはなかったが危うく俺は小さい頃に大人の階段を登ることになっていたんだろう。

2年前のことだ・・・

いつもの日課である学校終わりでほむらの家に行き、身の回りの世話をしてあげようとしたポカポカ陽気が気持ちいい日のことだ

『蓮キュンのチンチンの形気になるから触らせてもらっていい?』

『ごめん急すぎて何言ってるかわからないし痴女みたいなこと言うのやめてもらっていいですか?』

などのやり取りを何回もやっている。親からは夫婦漫才だの言われてもうツッコむのも疲れて俺は流れに身を任せることを覚えた。

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