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幻想アークライド  作者: アルク
第2章 力の使い方
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学校にて

「やあ、五条(ごじょう)。朝からお疲れだね。」


あの後結局、こちらの問いには答えてもらえなかったので、そのまま登校して彼女を保健室まで連れて行った。「お礼は必ずします。」と言われたが自分の心配をしろといいたい。しかし部外者であり、本人が警察にも行きたがらない以上どうにも出来ないので自分の教室にやってきた。


席に着いたちょうどそのときにコイツ、宮本(みやもと) 賢治(けんじ)に絡まれている。こいつは中学からの腐れ縁で情報屋を自称するほど、何かを調べたり噂を集めたりするのが好きなチャライやつだ。なんだ成績は優秀で見た目には優等生っぽく見えるから、気さくで話しやすいと結構人気があったりする。そんなヤツが何故かことあるごとに俺に絡んでくるのかは謎だ。


「今日は朝から色々あってな。」


せっかく『アークライド・ガジェット』が完成したのにもやもやするぜ。図らずも実験成功は喜ぶべきなのだろうが。


「ああ、今日は朝から大活躍だったらしいね。」


「なぜ知ってる?」


あの時、あの場には他に誰もいなかったはずだ。逃げさる不審な男以外は。


「いやー保健の先生から聞いてね?神埼さんがトラックに轢かれそうになったところを助けたんだろ?」


なんだ。本人が事情を話したのか。てっきり目撃者がいたのかと思った。USBメモリ型(アークライド)万能ツール(ガジェット)を使ってるところを人に見られたら大変な事になるだろうし、注意しないとな。


「たまたまだ。お前だって居合わせたら同じことをするだろ?


 ・・・で?何を聞きたいんだ?」


「さすが五条(ごじょう)。僕の事がよく分かってるね。」


コイツは情報収集に余念が無い。つまり俺のところに来たのはそういうことだろう。案の定、声のトーンを落として聞いてくる。


「じゃあ、ずばり聞くけど、今朝神崎さんがトラックに轢かれそうになったのは本当に事故なのかい?」


「・・・何が言いたい?」


「・・・実はまだ噂レベルなんだけど神崎さんが命を狙われてるって話があるんだ。」


「・・・なに?」


「ここ最近、彼女の周りで今回みたいな事故が頻発してるらしいんだ。


 植木鉢が上から落ちてきたり、階段を踏み外しりね。」


「だから命を狙われてる、と?」


「そうかもしれないって一部で噂になってるだけだよ。偶然で片付けられる範囲だし、本人も偶然だと思ってるみたいだしね。ただ彼女は財閥のお嬢様だろ?そういうこともあるんじゃないかって先生達もそれとなく注意してるみたい。」


むう、確か噂で聞いた限りでは神埼さんは誰にでも優しく、人を見下したりしない品行方正なまさにお嬢様だと聞く。それでも誰かしらに恨まれる事はあるかもしれないが、命が狙われるなんて普通じゃない。噂レベルという話だったが、今朝の様子からして間違いなさそうだ。相手が誰か判らないが学生レベルではどうにも出来ないだろう。


ポケットの中に手を入れる。中には『USBメモリ型(アークライド)万能ツール(ガジェット)』が今朝使ったのを含めて数本入っている。そして俺はこう思う。「実験には丁度いい」と。


「なあ賢治(ケンジ)。今朝なんだが・・・。」


俺は今朝の現場から逃げさる不審な男のことを話した。


「不審な男か・・・。ますます噂に信憑性が出てきたね。」


「なあ、お前の情報のなかに無いのか?彼女が命を狙われる理由とか命を狙いそうなやつとか。」


「アレ、珍しいね、五条(ごじょう)。君が他人のことを気にかけるなんて。」


「今朝、思いっきり関わってしまったからな。何ができるでも無いが、情報があるんなら注意喚起くらい出来るだろ?」


嘘です。犯人をボコボコにするつもりです。


「なるほどね。わかった。放課後までに情報を集めておくよ。」


授業があるのにどう情報を集めるのか知らんが本人がやるっていうんだから任せよう。


「コラッ!!アンタ達!!」


とここで第三者の女子の声。


「・・・だれだっけ?」


空野(そらの) 麻衣(まい)よ!!いいかげんクラスメイトの名前と顔を覚えなさい。」


怒り気味に話しかけてくる。ちなみに今は4月で進級したばかり、そしてクラス替えがあったばかりだ。まだ、クラスメイトの顔と名前を覚えて無くても無理は無いと思う。


「去年も同じクラスだったでしょ!!」


さいですか。・・・心の声に反応しないで欲しい。


彼女は空野(そらの) 麻衣(まい)。見て判るように元気すぎるほどに元気で活発な女子だ。短髪で身長があり、胸が残念な・・・おっと失言、運動部にいたら活躍しそうだが本人はその気はないらしい。そしてことあるごとに俺と賢治(ケンジ)を叱りつけるはた迷惑なやつである。


「やあ、おはよう麻衣(まい)。」


「おはようじゃないでしょ。また危ない事しようとしてるんじゃないでしょうね!!」


いつも危ない事してるような発言はやめていただきたい。今回はずばりそうだけど。


「まあまあ、麻衣(まい)。詳しくは放課後に話そうよ。麻衣(まい)もあながち無関係じゃないしね。」


そういえば賢治(けんじ)と彼女は幼馴染だったと聞く。さすがに賢治(けんじ)は彼女の扱いには慣れているようだ。問題の先送りとも言うが。


「私も・・・?判った。放課後ね。」


そういって離れていく空野。よくわからんが放課後になれば判るんだろう。


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