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幻想アークライド  作者: アルク
第3章 魔術の気配
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魔を使うもの

さて困ったぞ。


目の前にある扉には魔法陣が描かれている。少なくともそう見える。問題は俺には理解できない形式で描かれているってことだ。魔法陣は決してでたらめに書いていいものではない。規則性があり、法則性があり、描かれている物一つ一つに意味があるものだ。逆に言えばそれが判ればどんな効果でそんなことが起こるかも解析できる。


しかし、目の前にある魔法陣は俺の知る規則や法則のどれにも該当しないものだ。一見するとラクガキにも見える。こんな地下の誰も来ない場所にラクガキする意味があるとは思えないが。


もしこれが本物であった場合。状況から考える効果は侵入者を知らせるものか、侵入者を撃退するものかのどちらかだろう。前者であれば扉を開いた瞬間警報でもなるのかも知れない。後者の場合は扉が爆発するとか?まあ、どちらにせよ碌な事にはならないだろう。


では一旦引く?それもアリだが、引いたところでどうするって話だ。少なくともこの世界で魔法に関して相談できる相手なんていない。この魔法陣を詳しく解析できれば何かしら対処できるかもしれないが時間がかかる。もし、この先にいるヤツが悪意ある魔法使いだった場合、犠牲になるのは小動物だけにとどまるとは思えない。いや、もう既に・・・。


行くしかないな。俺は透明化をとき、


<FULL PLATE ARMOUR! 幻想現出(アークライド)!>


以前にも使った全身甲冑を身にまとう。俺が作ったガジェットの中でも特別製だ。これなら顔も隠れるし、大概の攻撃も無効化できるはずだ。魔法に関しても耐性はあるが、未知のものに関してはどうだろうか。まあ、腹をくくっていくしかないわけだが。


意を決してドアを開ける。・・・何も起きない。だが扉をくぐった瞬間むせ返るような血の匂いが鼻を突いた。ぶっちゃけはきそう。しかし、鎧のなかではいたら大惨事になるので何とか我慢する。


扉の先は一本道の廊下になっていて左右に部屋の扉がいくつも見える。そしていたるところに血痕が見える。お化け屋敷真っ青のホラー感だ。


さすがに部屋を一つ一つ回るのは時間がかかる。ココは黒幕がいるであろう(先入観)一番奥の部屋に行ってみようじゃないか。と、思って廊下を進む。5分ほど進むと行き止まりに扉が見える。そしてまた別の魔法陣が描かれている。


いちいち考えるのも面倒になってきたので気にせずドアノブに振れる。


ドゴッ!!


・・・爆発した。


しかしこの程度ではビクともしない甲冑だったので気にせず扉を開けた。


「おや?あの爆発で死なないとは何者かね?」


その男は部屋の中央にあるソファーに堂々と座っていた。他には何も無い不自然な部屋だ。・・・明らかに待ち構えていたな。


「・・・人に物を尋ねるときはまず、自分が名乗れ。あとドアに危険物を仕込むな。」


「人の建物に不法侵入してきて随分な言い分だねぇ。」


「アンタの建物じゃなくて大学の建物だろ。ついでに言えば違法建築なんじゃないのか?」


「ここは百年以上前から存在する施設だよ。大学のほうが後から出来た物だ。ココに来るには大学の人間だろうと私の許可がいる。」


「百年以上前の施設がアンタのものだと?」


つまりここを作った者の家族か親類、もしくは()()()か。


「おっと、どうやら喋りすぎたようだね。君のそのいでたちを見るにヴァチカンの騎士かね。」


・・・いまさらっと重要な事を言ったな。


「あいにくだがフリーの探偵さ。猫探しがいつの間にかこんなところに迷い込んでしまってね。」


すまん、嘘だ。


「猫一匹に金をかけて探させるとは日本人は意味不明だね。」


「まるで自分が日本人ではないような言い草だな。闇雲教授。」


闇雲(やみくも) ダン。


それがコイツの名前らしい。・・・いや偽名だろ。どう見ても。


「おやおや、私のことはご存知のようだね。しかし君は招かれざる客だ。ご退場願おうかね。」


パチン、と闇雲教授が指を鳴らすと同時になにかが天井から襲い掛かってきた。それはコウモリだった。ただしでかい。人間一人を丸呑みできるんじゃないかっていうくらいでかい。当然ながらこんなでかいコウモリは存在するはずがない。


「召喚された低級な魔物か。」


魔物とはいえ、この程度では俺の、というよりこの甲冑の敵ではない。この甲冑には身を守るための堅さだけでなく装着者の身体能力を劇的に向上させる効果がある完全戦闘用だ。襲い掛かってきたコウモリをおもいっきりぶん殴ってやった。それだけで巨大なコウモリの体は爆ぜた。


「ホウ!どうやら君も普通の人間ではないようだね。改めて君は何者かね?」


「・・・鉄の騎士(アイゼンリッター)。今は小動物の味方、かな?」


「・・・フッどうやら真面目にこたえる気はなさそうだねぇ。」


いや結構真面目に答えたぞ。


「人のこと言えるのか。次はアンタの番だぞ。」


「いやいや、大変申し訳ないが私も忙しいのでネ。今日はこれで失礼させてもらうよ。」


また指をパチンと鳴らすと今度は地面に巨大な魔法陣が現れる。いや地面だけじゃない。壁や天井にもだ。これはさっきの扉にあった・・・。


「それではごきげんよう。」


と言うと闇雲教授の姿が消えた。同時に部屋が、いや地下全体が光に包まれた。


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