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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第六章 桜国編
94/114

94 縁

ユグドラシル、世界を見守り続けてきた神聖な木

悪意があるものやドライアドからの信頼がないと手に入れることは出来ない


可能性があるとすれば


「歴代のドライアドさんの誰かが渡したのでしょうか?」


「ありえませんっ!!」


悲鳴に近い声でそういうドライアドの呼吸は荒い、取り乱しているのがわかる…


「ユグドラシルとドライアドは一つです、ドライアドがいなければユグドラシルは無く、逆にユグドラシルがなければドライアドは居ません…

ユグドラシルの木を手に入れるには絶対にドライアドの了承が必要です

無理矢理とった場合、とったユグドラシルは枯れてなくなる。

脅して奪ったとしても同じこと…」


「じゃあこの仮面の木は」


「ドライアドが了承し渡したユグドラシルの欠片です。」


今にも倒れてしまいそうなドライアドの背中をさする


「とりあえず落ち着いてください」


青ざめてるドライアドの口に30cmチョコ棒をさしこむ


「もっ…サクサクサクサク」


「面白いぐらいに吸い込まれてきますねぇ」


ハムスターのようにチョコ棒を食べていくドライアドの顔に赤みが戻り瞳がキラキラと輝きだした


「ずっと食べていられる味ですっ」


とろけきった顔で頬に手を当てるドライアド、もう一本差し出す


「考えすぎはよくないですよ、チョコは脳を活性化させる作用に精神を安定させる作用もあるので、食べながら一度落ち着きましょう」


そう言うと、そっとチョコ棒を受けとるドライアド


「…はい。五十鈴様のおかげで落ち着きました。どのようにして手に入れたのかはわかりませんが、この仮面のユグドラシルは相当昔の物のようです」


「魔神がいつから居るかもわかりませんからね…」


そうドライアドと会話をしていると、ユリが難しそうな顔をしながら枯れた草木の地面をしゃがみながら見つめているのに気付いた


「ユリ、どうしました?」


「俺が魔法人形(マジックドール)だったからわかったんだろうけど、(かす)かに魔力の痕跡がある。この黒い草達のせいでわかりにくいが」


「ドライアドの私でもわからない魔力ですか…」


「その草木を完全に消せばなんの魔力かわかるかもですね。とりあえず色々試しますか」


ポーションでもかけたら消えますかね?どう思いますナビ


≪かけてみたらいかがでしょうか?≫


「ポーションいきまーす」


「「はーい」」


ノリがいいなぁ、そう思いながら黒い草木にポーションをかける


バシャ


うにゃうにゃうにゃ


「「う、うわぁ」」


「五十鈴様のかけたポーションで黒い草がのたうち回ってますね」


ドライアドのいう通り

ポーションをかけたら苦しむように、うにゃうにゃのたうち回ってる


「気持ち悪いだけで消えませんね…うひゃぁ!?」


うにゃうにゃのたうっていた草がいきなり五十鈴の腕に絡まる


「マスター!!」


「五十鈴様っ…きゃあ!」


黒い草はドライアドの腕にも絡まる

それを見たユリとソラが戦闘態勢をとるが五十鈴が慌てて止めた


「ユリ、ソラ、大丈夫ですから」


五十鈴のその一言と共に二人に絡まっていた黒い草がパラパラと消えていく、魔神の消えかたと似た消えかたで黒い草は全て消えさった


残ったのは五十鈴とドライアドを繋ぐ糸、相手の手首から手首に繋がっている


「細くて今にも切れそうですけど、何なんでしょうか?」


淡く光っている糸は細くちぎれそうな状態で二人を繋いでいる


「≪『(えにし)の糸』です≫」


ナビの文字とドライアドの声が重なった


「「縁の糸?」」


「?」


私達が首をかしげると、ドライアドがそっと糸に触れる


「ドライアドはユグドラシルから離れることは出来ないのです。


ユグドラシルから生まれ

ユグドラシルを守り

ユグドラシルと生き

ユグドラシルのそばで死ぬ


けれど、世界の慈悲かユグドラシルの慈悲かはわかりませんがドライアドには唯一ユグドラシルから離れて行動が出きる方法があります。」


「それが『縁の糸』ですか?」


たしかにドライアドさんが桜国に一度も来たことはない…

来なかったのではなく、来れなかったんですね。

いつもフィアやリーリエが来てましたし


「私達ドライアドにとって、『縁の糸』は夢物語だったのです」


「夢物語?」


「ふふ、私達ドライアドの日記です。それを私は夢日記と呼んでいます。


ユグドラシルがドライアドを生む時、『縁の糸』について知識として頭の中に入るのです。


そして、一冊の日記帳が受け継がれる…どうやって『縁の糸』が発動するのかわからず、私達ドライアドは日記を書いて受け継いでいった。

けれど、『縁の糸』は発動しなかった…でも、発動条件が解った気がします」


ドライアドは微笑みながら瞳を閉じ、絵本を読み上げるように喋り始める。


それは、歴代のドライアド達の心の内を語る物語



「始まりのドライアドは自身を鳥だと言いこのエルフの森を鳥かごと言った。そして


“外との縁はあるのだろか?”


っと言い


二代目ドライアドは主殿から見渡す国は鳥かごの中から見た世界で、見知った世界以外見れないと言った。そして


“外の世界を見てみたい”


っと言い


三代目ドライアドはエルフに聞いた、外の世界は綺麗かと。そして


“外の世界に触れてみたい”


っと言い


四代目ドライアドは魔神が何故、ドライアドを嫌い襲うのか問い。そして


"外の世界に真実を見たい"


っと言い


五代目ドライアドは何故ドライアドがユグドラシルから生まれるのかを疑問に思い。そして


“外の世界に出れば生まれた意味を知れるかも"


っと言い


六代目ドライアドは私の瞳に映る世界はあまりに狭いと嘆き。そして


“外の世界はどれほど広いのか”


っと言い


…七代目ドライアドは歴代ドライアドの"夢”を全て知りたいと思い。そして」


ゆっくりと瞳を開きドライアドは糸を優しく触り、その糸が絡み付く五十鈴の右手と自身の左手を繋ぐ


「"外の世界を、五十鈴様の国を世界を五十鈴様と見てみたい"」


きゅっと五十鈴と繋がった手に力を入れ、それに答えるように五十鈴が握り返すと糸が太くなる


「!マスター、俺がさっき感じ取った魔力はこの魔力だ」


ユリの言葉と共に、黒い草が生えていた場所が淡く光り、何かが浮かび上がっていく。

バチバチと音をならしながら絵を(えが)くように浮かび上がる


「この絵柄、どこかで」


その絵柄は掠れていてちゃんとした絵柄は解らないが見たことあるような…


「何故ユグドラシルの、しかもドライアドの生まれる緑光の側に…長年この黒い草は生えていましたが、まさかその下にこのような絵柄が浮かび上がるなんて」


「ただの絵柄じゃなさそうだぜ」


ユリが絵柄に触れながらそう言う、何がっと聞く前に気付いたのは自分が一度触れている魔法だからか気付けた


「…!転送魔法ですか」


「ああ、けど効力はもうきれてる。そうとう昔の転送魔法だ」


「このユグドラシルに転送魔法を設置するにはユグドラシルとドライアド、両方から信頼を得なければいけません。

そして、ドライアドが誰かと縁の糸を結ばなければ転送魔方などできるはずがないのです。

私の知る限り、歴代のドライアドが誰かと縁の糸を結んだという記録もありません。

私が初めて縁の糸を結んだドライアドだと認識しています」


…ナビ、繋がってた場所は解りますか?


≪魔力の繋がりがきれていますのでわかりません≫


そうですか…絵柄はひとまずおいといて。この縁の糸、どうしましょう?


「ドライアドさん、この縁の糸はどうしたらいいんでしょう?」


「知識として頭に入るのは"縁の糸"っという存在だけで、それ以外は私にもわからないのです…」


申し訳ありませんっと困ったようにドライアドが微笑むと、突然ポンッと音が目の前に紙吹雪ではなく花びらが舞った。


突然の事に驚いた四人は丸くしたが、音と共に現れたのは緑色の髪をした人?


「ふわぁ、よくねたー」


目を擦りながら欠伸をする中性的な顔をした人は五十鈴達に目を向けると、途端に嬉しそうに顔をほころばせて俊敏な動きで近付いてきた


「やっと(えにし)が繋がったんだね」


そう言ってドライアドと五十鈴の縁の糸に触れる、とても大事なものを触るかのように


五十鈴は警戒するようにドライアドの前に立つ


「誰ですか、あなた…」


五十鈴の言葉にキョトンっとした顔をしたあと、キラキラと瞳を輝かせながら五十鈴を上からしたまで見る


「金色の瞳!そっかそっか、君がそうなんだね…そして、ドライアドちゃんが選んだ(えにし)の人かぁ」


うんうんっと、一人で納得して頷くその人



「警戒しなくても大丈夫だよ、僕は世界を見守るもの


ユグドラシルだからね」


ニコニコと笑いながらさらっと爆弾発言をするその人にピシリと固まる私達を無視して、手を差し出しながら挨拶する



数秒後にゴリラの雄叫びのような叫びがエルフ国に響いた


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