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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第六章 桜国編
87/114

87 三種族


「この森に住んでいたのは鬼神族、狼族、そして烏天狗一族なんです。

この森で三種族が暮らせていたのも烏天狗一族がいつも会話の間に入ってくれていたから成り立っていました」


「烏天狗一族は優しい性格で、鬼神と狼族の喧嘩や問題事を止めたり解決したりしてくれていたんです」


三種族の均等を守っていたのが烏天狗一族


「彼等は滅多に外に出ない一族で、知ってるのはこの森のものだけでしょう」


だから誰も知らないのか……


「何故彼等はこの森に居ないんですか? 」


「この森に張られた結界、我等が気付かないことがおかしいのです」


「内に居るものが手伝っていた……もしかしてそれが」


「はい、烏天狗一族です。

魔法国の者達が国の外から結界を張る手伝いをしたと聞きましたよね?

その前に、森の中にあった大樹に結界の元を張らねば出来ません。

烏天狗一族は俺達に気付かれぬよう張っていたのです」


「私達はまだ(かしら)になっていなく、私達の父達が烏天狗に怒りをぶつけました。

そこで現れたのが魔神、奴は烏天狗一族を自分の物だと言って私達の父を烏天狗一族に殺させた。

烏天狗一族は操られていたのだと、思います」


「魔法国で会ったのは?」


「烏天狗一族の頭、父親同士の戦いで烏天狗一族の頭も亡くなっているので、彼はその息子です。

私達は頭の息子、鬼子(きこ)狼子(ろうこ)黒子(くこ)と呼ばれ、俺達は知り合った。

俺と黒桜の言い合いの間には黒子がいつも入っていました」


幼馴染みたいなものだったんですね……


「父が死に結界が発動したあの日、烏天狗一族は魔神に連れていかれました。

私達が知らないところで彼等は魔神に何かされたのかもしれません」


彼はあの時泣いていた、それにあの左目……


「烏天狗一族の頭は全ての烏天狗と繋がっています。頭が死ねば他も死ぬ

頭が操られれば他も同じようになる。

前の頭は死ぬ寸前に頭の権限を黒子に移したようですからね……」


頭をどうにかすれば、黒翼達は止められるということですか……


「彼は満月が綺麗だと言っていた。そして彼等は一度、エルフ国を襲っている」


満月まで三日……私の予想だと多分彼等は満月の日にエルフ国に来る。


「この国も面倒事だらけだったみたいですね、エルフ国との約束もありますし」


帰ってきたばっかりだけど、やることは沢山あるようだ




ーーーーーーーーー




次の日、五十鈴はエルフ国に来ていた


「五十鈴様……えっと。すっごく、くっつかれてますね」


「ええ、まぁ……」


どこに行くにも誰かしら着いてくる、今日はロロとスノウが私の両腕に引っ付いている、腕につけるバルーン人形みたいだ……


ドライアドは嬉しそうに駆け寄ってきたが、五十鈴に引っ付く二人を見て苦笑している


久々に会ったから楽しい話をしたいところだけれど、それは今度だ


「ドライアドさん、今日は聞きたいことがあって」


「聞きたい事、ですか?」


「はい、この国の結界について。エルフ国は神聖な場所だと聞いています、だから満月の日は浄化する日だと思ったんですけど……違いますか?」


満月には浄化する力があると言われている、もしかしたら……


「よくわかりましたね、そうですよ。満月の日はユグドラシルが光輝く日なんです」


「その時の結界に変化ってないですか? ドライアドはユグドラシルを守る者。

そのドライアドが結界を張った。そして月の光を浴びる為に結界は少し邪魔なはずです」


窓越しに光を浴びるようなものだ……結界は消えない代わりに変化が少しはあるはずだ


「……そういえば、満月の日だけ結界が薄くなっているかもしれません」


「やっぱり……その日を狙ったわけですね」


五十鈴の言葉にドライアドの空気が変わる、木々がざわめいた気がした


「……魔神、ですか」


「多分ですが……三日後の満月の日、エルフ国に魔神と黒翼の者達が来ます。

エルフ国の場所は満月になるたびに気付いていたんだと思います……結界が壊せなかったから入れなかっただけで」


「なぜ今回は入れると?」


「邪石です……。たぶん今までの邪石と今回魔法国で作られた邪石。

何かが違うんだと思います」


見た目はほぼ同じだったけれど……


「……五十鈴様」


「エルフ国は守りますよ、もちろんドライアドさんも。

それで、少し手伝ってほしいことがあって」


「何をですか」


「黒翼の者達は空を飛べますから、少し細工をしないと面倒だとおもいまして」


「細工?」


「はい、ですから。ドライアドさんの血がほしいんです」


「へ?」


目を点にしたドライアドに、にっこり笑顔をむけた




ーーーーーーーー



五十鈴はドライアドの血液の入った小瓶を見詰める、スキル吸収(ドレイン)で吸い取ったものだ。

献血が楽々できるため、注射が怖い人でも大丈夫だ


『名称:神聖なる雫


詳細:守りの加護』


「やっぱりですか……」


歴代のドライアド達は守るために力を使い命を落としたと言った。

彼女達はユグドラシルから生まれたのだから、体の全てにその力があるのは当然だ。

命を落として守るんじゃなくて、自身の命を守って国も守れた方が良いに決まってる


「って事で、アリッサさんお願いします」


桜国にアリッサさんを呼び出しておいた、国に入った瞬間に瞳を輝かせていたが。

今回彼女が桜国に連れてきたのは観光のためじゃなく、アイテム作り的な手伝いを頼んだから


「ドライアド様のっ」


「脱がない脱がない」


アンガスさんの言っていたことはほんとだったらしい。服を投げ捨てた。

いや、破り捨てた。下着姿で小瓶を見詰めている


「ごめんなさい、興奮しちゃったわ。でも五十鈴様、これを使って何を作るんですか?」


テーブルに並べられているのは、魔物から採れた糸にソラのスライム。

理科の実験みたいに見える


「エルフ国に張り巡らすものですよ、入り口から入ってもらってユグドラシルまで向かってこされるために」


作り方はナビと話し合ったので多分大丈夫。


「そんなに難しくないし、二日もあればできると思うわ」


「間に合いそうで良かったです。よろしくお願いしますね」


「任せてちょうだい!」


胸を張り自信満々に言うアリッサ、頼もしいけれど……


「胸を張るのはいいんですけど、服を着てください。下着姿じゃかっこつきませんよ。」


私が女性だからいいですけど、これが男だったら色々とアウトですからね



……この人に任せて大丈夫だろうか、少しだけ不安だ






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