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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第五章 魔法国編
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84 愛の魔法



地面に倒れたルイスは、瞳から涙を流す



「僕が、クレアを愛していた? じゃあこの胸の苦しみも、止まることのないこの涙も、愛だって言うのか?」


ルイスは自身の胸に手を当てる


「黒き賢者の魔法は確かに民を永遠に生きられる体に再構築してくれるでしょう、けれど感情がなくなってしまう。

それは、クレアさんの愛情を無かったことにする行為です。

そして、リーナの存在を否定することなんですよ」


「五十鈴さん、どういうことですか……」


リーナが戸惑ったように問いかける


「リーナはクレアさんの魔法で生まれた子なんですよ」


リーナとルイスは目を見開いた


「魔法は心だ、クレアさんは貴方を愛し、貴方の心もクレアさんを愛していた。

二人の心に魔法が答えたんですよ、リーナはクレアさんとルイス、貴女方二人の魔力から生れた子です

愛の魔法、奇跡と言っていいでしょう」


主の桃色の瞳、クレアさんのオレンジの髪。その色を受け継いだ髪を持ったリーナ


「じゃあ、僕は……」


「君が、僕とクレアの子?」


ルイスがゆっくりとリーナに手を伸ばすが、突然触手が暴走したように動き、増えていく


《魔力暴走です、制御出来ないほどの魔力が彼の中にあります》



「うぐっ、うがぁあぁああああ!!」



ルイスの体からあふれる触手は、彼ごと飲み込み暴れだす。

そして次々に溢れだす魔法人形騎士達

触手が近くにいたリーナに向かっていく


火球(ファイアーボール)!!!」


先程の話で動揺したのか、リーナの攻撃は一切当たっていない。


「リーナ!!」


リーナを庇うように前に出た五十鈴の体に触手が巻き付き締め付ける。

力をいれたくても絡み付いてうまくいかない。触手をちぎってもすぐに巻き付く


「うぐっ」


触手が五十鈴を飲み込もうとしたその時


鬼爆炎(きばくえん)!!」


光牙砲(こうがほう)!」


五十鈴に絡み付いていた触手が弾け飛び、五十鈴を庇うように前に立った者が二人、目の前に現れた人物に五十鈴は目を見開いた。




「「ご無事ですか主/様」」




五十鈴は向けられた笑顔に頭が混乱する


「黒桜に銀月? なんでここに……」


「我々だけではありませんよ、鬼神族」


「狼族、全てがここに集まっています」


周りを見ると魔法人形騎士や触手と戦う皆の姿が、特に火花と雪音の触手撲滅無双がおきている


「主様に触手なんて万事に値しますっ」


「死をもって償ってくださいませ!!」


うん、強いね……


「でもどうやってこの国を見付けたんですか? それに入りかたは……」


「その事については後程、今は目の前のあれを倒さなければ」


さっきから普通に話しているが、触手を切り捨てながら会話している


《魔力形成、多くの魔力を体が拒絶しています》


「魔力形成……体の中にある石を取り出さないといけないってことですか……

銀月、黒桜、触手をルイスの体から引き離しますよ!」


「「御意!」」


五十鈴はいつもの通り拳に力を入れて叩き込む、弾け飛ぶ触手の塊。

また産み出される触手を銀月と黒桜が切り伏せていく


「見つけた!」


五十鈴はルイスの体に触れようとしたその時


グサリ


そんな音と共にルイスの胸に槍が突き刺さる。

ちょうど石のあった場所だったのか、槍の刃が石を押出した。

その石をつかんだのは


「黒い、翼」


仮面をつけ紅い髪をなびかせた、漆黒の翼を広げる者


「ルイスっ!」


リーナがルイスに駆け寄る、そして銀月と黒桜が黒い翼の

者に攻撃を仕掛けるがあっさりと槍で防がれる


「ああ、鬼頭(きとう)狼頭(ろうとう)か」


「やはりお前なんだなっ」


「顔を見せてもらうぞっ!」


銀月の鋭い爪が、彼の仮面を弾き飛ばす。

現れたのは、右目が橙色そして左が


「反転色……魔神の瞳?」


五十鈴の声が聞こえたのか、こちらを見る黒翼の者


「あなた、は……」


彼は五十鈴を見て、右目から雫をひと粒落とした。彼は五十鈴を視界から外すように目を閉じた


「……欲しいものは手に入った。桜国の主よ、満月の夜は美しいな」


そう言って彼は消えた……


「満月の夜?」


何のことかわからないが、今はリーナの泣き声を聞きそちらに意識を向けた。


地面に倒れ伏すルイスをリーナがすがるようにくっついている


「ルイス! 死なないでくださいっ」


ぽろぽろと涙を流すリーナ、ルイスの体は大量の魔力に耐えられなくなりボロボロと砕け始めている。

触手は消え魔法人形騎士は動かなくっている、ルイスの魔力が失われたということだと


「泣き顔は、嫌いだ……」


ルイスはリーナの頬に手をあてる


「これが、愛情か……クレアはずっと、僕に伝えてくれて、たんだな……気付かなかった、よ」


「ルイスっ」


「愛の魔法、確かに受け取った、よ……クレア、リーナが、そうなんだ、ね」


リーナは頬に添えられた手を握る、止まることのない涙がルイスに降り注ぐ


「僕は、もっと貴方と一緒にいたいよ〝お父さんっ〟」


ルイスはその言葉を聞いて満足げに笑い、砕けていく


彼は最後、悲しみも愛情も知り。

ちゃんと、クレアからの愛の魔法を受け取った



空から降り注ぐ光、それが何よりの証拠……




ーーーーーーーーー




魔法国は落ち着きを取り戻した。家が壊れたりと被害は小さくはないが、喜ばしいこともあった


「リーナ、どんなに鏡を見ても変わりませんからね」


「だって五十鈴さん! 僕は魔法で生まれたんですよ、なのに、こんな!」


そう言って五十鈴を写す瞳は桃色。魔法国の次の主がリーナに決まった証拠だ


「愛の魔法の化身なんですから、あなた以外に主になれる人はそうそう居ませんよ」


「で、ですが……」


不安そうな顔をするリーナを見て、五十鈴は忘れていたことを思い出した


「あ、そうだリーナ。これを」


五十鈴がボックスから出したのは本に挟まっていた手紙達だ


「これは?」


「リーナへの手紙とルイスに渡せなかった恋文ですね。

隠してたのは恥ずかしかったのかもしれません……

クレアさんは自分が死ぬとわかって手紙を沢山書いて、沢山残したんです

大切な息子に、そしてルイスにも」


こんなに沢山の手紙を寂しくないように残した。多分リーナが生まれたときにルイスの気持ちに気づいてたんだと思う……だからこそ


「ルイスから愛を渡されたかったんでしょうね……」


リーナが生まれてルイスの気持ちに気づいたクレアさんは、ルイスが愛情に気付いてくれるのを待ってたんだ、ずっと


「……母さんがなくなったあの日、もしかしたら渡してたのかもしれない。

父さんは気付いてないかもしれないけど、手を握られた母さん嬉しそうに見えましたから」


「そうかもしれませんね」


「……はい」


そうな風に話していると、アリッサに呼ばれる


「五十鈴様、出来ましたわ」


「どうですか……」


「コア自体はもう一度作れたけれど、彼の意識がもう一度というのは……

本来、魔法人間が意思を持ち動くことなどあり得ないことですから」


テーブルの上に横たえるように居るのはユリ、壊れたコアを新しいのに変えてもらった。まだ魔力を込めてはいない


五十鈴はユリを見詰める。出会ったあの時、壊れた人形に埋もれる彼を見て思ったのは人形にも心があるのにって事だった……

ユリはその心に答えてくれたんだ、心を持った人形はあるって


五十鈴はユリのコアを見詰めて動かない、いや、動けない。

すると肩に暖かな温もりが触れる


「主様なら大丈夫だと思いますよ」


「ええ、主の想いは届くはずです」


銀月と黒桜に微笑みかけられる。


「主様、新しい家族はお寝坊のようですから」


「早く起こしてあげてください」


「○」


左右から抱きつく火花と雪音、ソラも頭に乗っかった。


「五十鈴さん、魔法は心なんですよ。僕がなによりの証拠です。

彼を信じてください」


五十鈴はゆっくりとコアにてを添え、魔力を注いだ


そして




「……おはよう、マスター。怪我ねぇか?」



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