83 命
五十鈴とユリで連携しながら切り伏せ進むが、次々に敵が現れて中々進めない
そう思いながら叩き伏せていると突然目の前で大爆発がおきた、爆風で前髪が上がる
「ケホっ、なんですか?」
「すげー爆発だったぞ」
「ケホケホ」
砂埃がなくなり、五十鈴達の前にいたのは
「まったく、わしの腕も鳴るのぉ
クレアをさんざん悲しませたんじゃ。わしの代わりに一発殴っとくれよ
こやつらはワシが相手しよう、苛烈苛烈じゃ!」
指パッチンと共に爆破される魔法人形騎士達。いや、魔法人形騎士だけじゃない、周りも次々に爆破させている
「ありがたいですけど、無差別すぎませんかっ!」
「吹き飛んでんな……全てが」
家が消し飛びましたからね、この人やっぱりあぶねぇ。
とりあえずその場はシルッドさんに任せて先に進むとしましょう
ドォン!!
先を進んでも現れたのはでかい魔法人形騎士、巨大な剣が五十鈴達を襲う。
すぐさまリーナを抱き上げ避ける
「阻まれましたね」
「邪魔だな……サイズが」
うん、体積がとてつもなく邪魔だ。そう思っていると突然の熱風
「火炎斬!!」
炎の斬撃を放ったのはレオンだ、爆発の次は炎ですか……もはやテロですね
「僕が道を切り開きます。
邪魔立てするな騎士の紛い物が、騎士と名乗るなら護る者の為に剣を取れ」
邪悪な化身みたい顔になってる
「まったくピュアじゃないっ」
「騎士として誇りがあったんだな、あいつ」
「邪悪な顔過ぎて騎士に見えませんね」
目の前のレオンを見ていると、背中のフードがモゾモゾする
「ソラ?」
突然ソラがフードから飛び出た、そして姿が変わり水色の髪をしたレオンの姿に
「擬態?」
「○」
喋ることは出来ないらしい、指で丸を作りそのままレオンの横に立つ
「君も護るための剣をこんな風に使われるのにムカついたんだね」
「○」
「じゃあ一緒に殺ろう!」
「◎」
そう言って走り出す二人、連携しながら大きな魔法人形騎士に攻撃を仕掛けている
「やろうが、殺ろうに聞こえたのって私だけですか?」
「レオンって、ヤバイな」
「昔からですよ……」
ーーーーーーーーー
皆のお陰で広場まで無事に辿り着けた。
広場にはルイスが一人クレアの銅像を見詰めながら立っている
「君は……他国の主だね? 主の魔力を感じる」
「そうですよ」
「なんで邪魔するの? 僕はこの国をいい国にしようとしてるのに」
「あなたのしようとしてる事はクレアさんの望んでいないことだからですよ」
クレアの名を出すと彼は胸を押さえ苦しみ出す。
「そんなことない、僕は知ったんだ。クレアが涙した時の気持ちを……それがなくなればきっと。だから邪魔しないでくれ!」
現れたのは宙に浮く無数の剣、数千本の剣が五十鈴に向いている
「砕け散れ!!」
五十鈴とユリはリーナを守るように立ち、剣を凪ぎ払うように刀を抜いた。
次々に降り注ぐ剣を弾いて行く、だが上ばかり見ていて油断していた
「マスター!!!」
グシャリ
そんな音ともに、地面から生えた触手がユリの胸を貫く。そのまま五十鈴の腕の中に倒れ込んだ
「ユリっ!」
「マス、タ、無事……か?」
「コアがっ」
コアが砕けたユリは最後に五十鈴に笑いかけ、そのまま動かなくなった。
呆然とユリを抱き止める五十鈴
「魔法人形だったのか? 人形が壊れただけで何を騒いでいるんだ。悲しむことなどないだろう?」
「人形が壊れただけ?」
五十鈴ゆらりと動いた
リーナは五十鈴から出る殺気に全身が逆立つ感覚がした。
それほどに彼女は怒っている
ルイスもその怒りに気付いたのか、大量の触手を五十鈴に放った
五十鈴は気にせずルイスに向かい拳を叩きつける、バァンっと一気に弾け飛ぶ触手達。
そのまま五十鈴はルイスの自身に拳を向けた
「彼は人形じゃないっ私の家族だ!!」
「うぐっ」
ルイスの顔を思いっきり殴る、そのまま吹き飛んだルイス。
地を蹴り吹き飛んだルイスに瞬時に近付き胸ぐらを掴む
「貴方も悲しいと思っただろ!!大切な人がなくなってっ
クレアさんが亡くなって、貴方は悲しみを知った! そしてクレアさんが泣いていた時の気持ちを知ったんだ!!
だから考えた、死なない人を作れば彼女は泣かなくなるんじゃないかって!」
ルイスは捕まれた胸ぐらを引き剥がすように五十鈴を魔法で吹き飛ばす
「うぐっっ! くそっ」
五十鈴はすぐさま体制を直したが、触手が容赦なく攻撃を仕掛けてくる
「そうだよ! 彼女の泣き顔を見ると、僕の胸は苦しくなる!
それを取り除くにはそれぐらいしか思い付かなかった!」
五十鈴は迫り来る触手達をを弾き飛ばしながらルイスに近付いていく
「人を再構築して作っても、感情のない人が作られるだけだ!!
死なない人形を作るだけなんですよ!」
「感情があるからいけないんだ! なければ彼女は泣かないし僕もこんな風にならなかった!
皆を再構築すれば死ななくなる、民達だって泣かなくなるっ
クレアが死んだあと、ずっと悲しいんだ! 涙が止まらないんだっ
こんなのいらない! 苦しいだけだ!」
五十鈴はギリッと唇を咬んだ
「人が死んで悲しいのは、それだけその人を愛していたからだ!
友愛でも、親愛でも、愛情でも!
涙はその人を愛していた証拠です、ずっと悲しいのはそれだけ貴方がクレアさんを愛していたからだっ!
愛情を知らない貴方はそれに気付かなかった、ずっとクレアさんを愛していたことに!」
悲しみも愛情も知らない、違う。彼は気付いてないだけだ
「結界の膜を壊せば彼女は生きられた、あの膜を壊す条件が主と、主が愛した者が発動した魔法です
クレアさんはあなたのことを愛していた、けれど貴方は愛情を知らない。
その時にクレアさんは気づいたんです、自分の死を。あの結界を壊す事は出来ないだろうと!
貴方を愛しても、その愛情は返ってこないと彼女は気付いた。
そして貴方はクレアさんが死んでから頭では理解できなくても心が気付いたんです
クレアさんへの愛情を、だから悲しいだから苦しい
その感情も涙も彼女を愛した証だ!
永遠の命があっても
誰も死ななくなったとしても
人から感情がなくなったら、それはもう人じゃないっ
悲しみも愛情も胸に刻みながら生きるのが命なんだ!」
五十鈴の拳がルイスの腹にめり込み、彼は地面に倒れ伏した




