79 力業でどうにでもなる
主殿は大きな城だ、近付きすぎてバレてもあれなので遠瞳スキルを使って見てみた。
城の周りに魔法人形騎士が警備をしている姿が見える、主殿の周りだけでけっこうな数がいるようだ
国の者が結界の存在に気づかないのはあの警備兵がいるからだろう
五十鈴はスキルを解いて、また街散策に戻った。主殿に近付くのは危ない
街中を歩いていて昨日のアイテムの事を思い出した
キノコで服が弾け飛ぶアイテムがあるのだから、爆発させる火薬的なものがあるのではないか?
「レオンさん、爆発させるために必要な道具って何を使ってるんですか?」
「爆粉ですよ、火薬花っていう花からとれる物が爆発する粉で、これを使って爆発するアイテムは作ってるんです」
レオンの言葉にキラリと瞳を輝かせる五十鈴
「やっと見つけました……やっと花火が作れます」
「マスター、花火ってなんだ?」
「僕も気になります」
「火薬と金属の粉末を混ぜて包んだものですよ。
火を付け、燃焼・破裂時の音や花火の色、形状などを演出するもので、花火に色をつけるために金属の炎色反応を利用して混ぜ合わせる金属の種類によって様々な色合いの花火を出すことができるんです。
金属の粉末はドワーフ国にあったんですけどね、火薬がなくて作れなかったんですよ
お祭りをやるには花火は大事ですから」
これで夏祭り的なお祭りが開催できる。ミラとかパルドさんもそろそろ桜国に行きたいとか手紙に書いてありましたし
「魔法国では爆弾アイテム作りに使ってるんですけど、他の使い方があるんですね」
へぇっと感心しているレオン、爆弾アイテムって何に使うために作ったのか怖くて聞けない
「シルッドさんは火薬を使った魔法の扱いが上手で、指パッチン一つで爆発させたい場所を爆破できます。
あの方は強いですよ」
戦闘用ですか、火薬の使い道って。というかシルッドさん何者ですか……
「これから会うのが怖いんですけど、苛烈苛烈とか言いながら私の事を爆破しませんよね?」
「優しい人ですから大丈夫ですよ」
火薬で攻撃する人を、はたして優しいと判断して大丈夫だろうか……
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魔法学校とは、魔法を学び正しい使い方を知る場所だ。
7歳から18歳までこの学校で魔法を学ぶ、小学校から高校までと考えれば分かりやすいだろう。
卒業してからは自分の性質に合った仕事につく。
「それにしても大きい」
まるで大聖堂みたいな建物だ、生徒人数も相当いる。
顔に煤をつけてアフロヘアーになった生徒が歩いてるけれど、あれは魔法に失敗したせいだろうか? ギャグすぎる
「シルッド様は自室にいるはずです。魔法学校内に住んでますから
クレア様の部屋もありますよ」
他の生徒に声をかけられる前に行こうと、ささっと歩き出すレオンに着いていく
学校内は色んな学部に別れているようだ、自分の好きな魔法を学べるようになっている
奥に進むにつれ人が減ってきた、というか人がいない
「ここはシルッド様とクレア様の部屋がある場所だから人は来ないんだ」
ここだよっと、扉をノックするレオン
「シルッド様、いらっしゃいますか」
「その声はレオンか、入ってよいぞ」
年老いたお爺さんの声ではない、ダンディな声だ。
レオンは失礼しますと扉を開く、その後ろについて一緒に部屋に足を踏み入れた
「無事に呼び出せたようじゃの」
こちらを見てくるダンディなおじ様が一人、しゃべり方はジジイなのに見た目は50代ぐらいだ
違和感があるとすればとんがり帽子が異様に長い。
ユリと一緒にそちらに目線がいってしまう
「じいさん、帽子長すぎじゃねーか?」
「はっきり言いましたね、ユリ」
「ほっほ、確かにこれは長すぎじゃ、はっきり言って邪魔でしかたないわい」
じゃあなんで被ってるんだ……
「リーナがわしの誕生日が来るたびに作ってくれるんじゃが、年々長くなっていくんじゃよ。
帽子の事は気にせんでくれ、クレアについて聞きに来たんじゃろ?
とりあえず座りなさいな」
「シルッドさん、これをどうぞ。つまらないものですが」
日本人として、手土産にカステラを作った。材料はボックス内の物だ
「おお、すまんな」
ついでにお茶も出して用意する。お茶菓子はバッチリだ、自己紹介もした、あとは話を聞くだけだ
「お主は他国の主なのじゃな、驚きじゃ」
「そうですか?」
「この国は先代の主からずっと隠されてきた国なのじゃよ。
国に張られた結界は主が代わっても解けることはない。他国のものに会うのは初めてじゃ。
初めて会った他国のものが、他国の主なのじゃから驚きもするわい」
この国の者は国の外も空もなにも知らないということですか……
「国を覆うあの結界からは外に魔力は漏れないようになっとる、他国からは場所も特定できんよ」
「まさに隠された国ですね」
「そうじゃ、クレアはあの結界を壊そうとしておった。あの結界のせいで人や子供たちが亡くなったと言ってな」
「亡くなった?」
「うむ、魔法国にはいまだに解明されておらぬ病気があっての
クレアは孤児院の子達が亡くなるたびに泣いて、いつも笑顔のあの子が泣くのは必ずと言っていいほど人が亡くなった時じゃったよ……」
「でもなんで結界のせいなんですか?」
「それを聞く前にクレアは亡くなってしまったんじゃ、クレアも同じ病気にかかってな。
この病気はだんだん手足が動かなくなり、言葉を発することも出来なくなる
あの子は結界を壊すこととルイスを止めること、その二つの研究ばかりしてての、最後に渡してきたのが楽譜とこの箱じゃ」
出してきたのはA4サイズぐらいの大きい箱
「あの楽譜には全てが書いてあると言っておった、そしてこの中に入っているものにも答えがあると」
「答えですか……中身は?」
「それが開かないんじゃよ、爆破しても無傷での」
中身が入っているのに爆破したんですか……この人あぶねぇ
「力業でいきましょう」
「マスター、無理矢理だな」
「開けばいいんです、開けば」
箱を受け取り力をいれる、バキャリと音がなり蓋が外れた。
シルッドさんとレオンが驚いている、これがゴリラの力です
「絵本?」
無惨に壊された箱に入っていたのは、一冊の絵本だった




