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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第五章 魔法国編
73/114

73 甘食で水なしは辛い

突然景色がかわり、知らない場所、知らない人達に囲まれている……が


五十鈴とソラは一言いってやりたかった


「チリーズフォンデュっ」


「× × ×」


食べたかった。

問題に巻き込まれるのには馴れた、焦るとか怖いとかどうでもいい。


どうするんですか、このフォークに刺さったじゃがいも!食べればいいんですか、投げればいいんですか?


「どうしてくれるんですか、チリーズフォンデュめちゃくちゃ楽しみにしてたんですよ……

ソラなんてショックのあまり色が薄くなってますからね!」


水色から透明になりかけている、新しい発見だが喜べない。


ううっと悲しむ五十鈴を取り囲む者達は困惑ぎみだ。

その人達はすすっと距離をとりながら五十鈴を囲んでいる。

怖がるとは少し違う感情を向けられてる気がした。


「あ、あの……桜国の主様、でしょうか?」


戸惑ったようにそう声をかけてきたのは、橙色(だいだいいろ)と桃色を掛け合わせたような色の髪をした美少女?

それにしては声が低い気がする……


彼女の表情を見てチリーズフォンデュの事は一旦忘れなければいけないらしい


「……あなた達は誰なんでしょうか。

それに、私は何故ここに? 敵意も感じないですし……」


そう聞くと周りの者達全員が突然頭を下げた、床に頭を擦りつけるように


さすがに困惑する、じゃがいもの刺さったフォークを持った少女に土下座。

ヤバイ光景にしか見えないだろう。

それからソラ、人参を投げつけるのをやめなさい、怖がってますから。

あ、ちゃんと投げた人参を三秒ルールで食べるんですね。えらい


「僕達は貴方に助けを求めるため、ここに呼んだんです」


オレンジ髪の子がそう言った。

その隣に居る貫禄のあるおじ様。剣の稽古とかしてくれそうな、いい感じに歳を取ったダンディ系。

彼が頭を上げ五十鈴の瞳を見つめる


私共(わたしども)はあなた様に謝らねばならないことがある、助けてほしいなどと言う権利は無いのかも知れませぬが。

もうあなた以外には頼れない」



またも面倒事だ。

謝らねばと言われたが、私は彼等との面識はない。


話し合うしかないようだが、とりあえずなにか食べさせよう。

どこからかお腹の音が鳴っている。

投げつけられた人参を見たときに涎を垂らす人まで居るのだから食べさせないと相当ヤバイ




ーーーーーーー




もぐもぐもぐもぐ



「美味しい」


「旨い」


「生き返る」


そんな言葉が飛び交う、ボックスから大量にドーナツを出して配った。

ロロのおやつように作っといてよかった……

飲み物はポーションを水で薄めた、ミネラルウォーター。

名前はポースイである

それも皆に渡した、ドーナツは水分をとるから喉に詰まる。


桜国の者達がドーナツを口に詰め込んで何人か死にかけた事があるのだから危ない。

苦しさにのたうち回る皆を見て、悪魔にとりつかれたのかと思いましたよ。

主をやめてエクソシストに転職しなきゃいけないのかと本気で考えるぐらいには……


パサパサしたものって命の危険を感じますよね、甘食(あましょく)とか飲みものないとガチで死にますもん



「ここは魔法国で、あなた達が桜国に結界を張った人達ですか……でも、どうやって私に転送魔法なんてかけたんですか?」


話を聞くと、私は魔法国に逆転送されたようだ。

それと、森の結界を張り鬼神族と狼族を殺そうとしていたのもこの国だと聞かされた。

怒りが湧くかと言われると、意外とそうでもない。


今この場に居る者達は私が差し出したドーナツを疑いもなく食べた。

他国の主が突然出した食べ物をだ、普通なら警戒もするだろう。


「結界を壊した時ですよ、貴方が触れた場所。

あれを壊すには相当の力が必要です。叩きつける衝撃を利用してその触れた所に魔法国に転送するよう魔方陣を展開しておいたんです


……それにしてもこれ、とっても美味しいですね」


話の会話の途中だが、口に含んだドーナツに意識が移ったらしい。

ドーナツ片手に真顔でそう言うのだから、本気で美味しいと言ってくれている。


「そうですな、長年生きてきましたが。これほど旨い菓子を食べたのは初めてですぞ」


シリアスな話になるかと思えば、大量のドーナツをもぐもぐもぐもぐ食べながら話す。

このドーナツは野菜を混ぜて作った野菜ドーナツだ。ちょっとお茶目な細工をしてあるのだが。


「苦ぇ!!」


「ゴムっ!!」


「あ、ロシアンルーレットに当たった人がいますね」


二人ほど叫び声を上げる、お菓子作りのお茶目に当たったようだ。


「チモ草ドーナツとゴッサムドーナツの効果は抜群です」


とてつもなく苦いドーナツとゴムドーナツ。どちらも(つら)いものがある。

たまにお菓子をロシアンルーレットにして楽しむのが桜国だ。

皆いい反応をしてくれるから楽しい。

ゴムシリーズはもはや食品サンプル感覚だ、食べ物じゃない。

食べた皆がスナさんみたいな表情になるのだから笑いで人は死ぬ。


チモ草のお菓子は獣人達が喜ぶから作るのだけれど、やはり獣人以外には苦い。

お菓子にしても気絶する。この頃皆の反応も進化していて、白目で倒れたり叫びながら走り出したりとバリエーションが増えつつある

それでも完食するのだからロシアンルーレットはやめられない


五十鈴の言葉にクスクスと笑い始める美少女とおじ様。

警戒されるかと思ったがそうでもないらしい。


「桜国は楽しそうですね、とても」


「そうですなぁ、噂だけは聞いていましたからのぉ」


「そりゃあ、仲間で家族ですからね。毎日皆で楽しまないともったいないじゃないですか」


「そう、ですね」


なんだか歯切れの悪い反応だ……


「それで、何で結界なんて張ったんですか? 排除したかったからって聞いてたんですけど」


主のいない国は必要ない、『鬼神』『狼族』この二つの種族の力を恐れた他の国達が森共々排除しようと考え始めたと聞いている。


「確かにあの森の種族を恐れて居るものは沢山いますが、進んで殺そうなんて他国の者は言ってません」


「じゃあどうして?」


「この国の主、名をルイス。彼が森の種族達の魔力を欲しがったが為に起きたことなんです」


「魔力を欲しがった? でも、結界は狭まり彼等を殺そうとしてましたよね」


どうやって魔力を手にいれる気だったのだろうか?


「あの結界は魔力を吸収します、あの木が壊れなかったのも受け流す他に魔力を吸っていたから。

あの結界を張るのに魔神の力を借り何年もかけて結界を張った。

犠牲者も多かったと聞いています。

ルイスは魔力欲しさに結界を張りましたが、魔神ともうひと種族。

何処の種族かは聞いていませんが、結界を張る手伝いをした種族が居ると聞きましたよ。何が目的かは知りませんが……」


「手伝った種族……?」


謎が深まるばかりだ……知らない種族に魔神。考えててもしかたない、今は目の前のことに集中しよう……


五十鈴は瞬時に頭を切り替える


仲間を、家族を苦しめた結界を張った者達。でも今は私に助けを求めている


「魔力を集める理由は?」


「それが、僕達を助けてほしい理由なんです。まずは自己紹介をしましょうか。

僕はリーナ、こんな見た目ですが男ですよ」


……



「男の娘?」


え、どこの乱れちゃう系の刀ですか? 少し声が低い僕っ娘だと思ってた


「ちゃんと男です。髪が長いだけで女装もしてないのに何故か間違われるんですよね……

告白とか男ばかりですし、女の子に告白したら自分より可愛い子とか無理ですって言われますし……」


何処か遠い目をしている、心の傷は深い。誰か、彼を包めるぐらいに大きいバンソーコーを出してください


「そして私が魔法国主の元副官、アンガス。そしてこの場にいるのは同士っとでもいいましょう」


周りを見ると自身を見詰める瞳とごつごつした壁に床、薄暗いし窓も何もない。

なんか牢屋にいる気分だ


「魔法国の主は禁忌を犯そうとしている」


はい、異世界っぽいのはいりました!


「禁忌、ですか?」


「はい」


「その禁忌っていうのは?」


口を開くのを躊躇うが、意を決したように五十鈴を見る


「人にとって感情はとても大事なものです。それをなくしたら人じゃない

ルイスは民達を再構築して永遠に生きられる感情のない人間を生み出そうとしているんです」



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