71 息子さんをください!
五十鈴の目の前にピコンと文字があらわれる
《新しいスキル、吸収を取得しました。魔力と魔力を分離する、五十鈴様の考えが成功したため取得したスキルです》
こういう感じで新しいスキルって手に入るんですね、驚き……
《使い方は名前の通り吸収です、五十鈴様の使い方でお使いください》
吸収? いまいち使い方がわかりずらいけど……まぁいっか
ナビの文字を冷静に読んでいるが、五十鈴の周りはとてつもなく騒がしい……
氷巨人を倒してから飲めや歌えやの大騒ぎになっている
それはいい、喜ぶのもわかる。
わかるが、
「なんで私が料理を作らされているのか、問いただしたい」
グシャリとチリーズを砕きながらそう言う。
ストレス発散に良いぞ、チリーズは
「主様の料理は絶品ですからね、知らない調理法ばかりですし」
「いつでも俺の嫁になれるな、結婚しよう」
「お断りします。あと二人とも、玉葱で涙の量がナイアガラみたいになってますよ」
それでも玉葱を切る手を止めないのだから、食事に対する執念を感じる。
涙を流しながらもダリウスが肩を抱き寄せてきたが、ソラの拳がダリウスの頬を殴った。
ペチーンっと良い音と共に床に倒れる、優しさのある叩きかただ
小指を立てるのを止めてください、どこの少女漫画ですか。
少女漫画の瞳キラキラじゃなくて頭がキラキラしてますよ
そんなダリウスさんを無視して手を動かす。今から作るのはチリーズリゾットだ。
米は桜国産である、また大鍋で大量に作らねばならない。
街の皆は家を直したりと大忙しだったのだから、お腹も空いているだろう
「まったく本気にされない……やはり、髪かっ」
どんだけ髪がないことがコンプレックスなんだ。似合っているのだから気にしなければいいのに。
「すぐに結婚しようって言う男って信用なりませんよ。髪の毛以前の問題かと」
振られたダリウスを見てスノウが爆笑している。
「また振られてやんの、主に五十鈴は高嶺の花だよ」
スノウの容赦ない言葉にダリウスが倒れた。調理の邪魔である
銀月が転がすようにダリウスを端に寄せる。扱いが雑だ、ダリウスの結婚しようコールがおきに召さなかったらしい。
「そうだ五十鈴、これ」
渡されたのはオレンジ色に光るクリスタル。サイズはひまわりの種ぐらいだ
「これは?」
「ノスウ花の種」
「種とか取れたんですね」
ちゃんとした植物になっているらしい。でも氷でできてるし、育て方が不明だ
「植えたら直ぐに咲くよ、氷だけど溶けないし。ランプとして使えると思う」
「温泉に浮かべたらおしゃれかもしれませんね」
睡蓮みたいに浮かべたら女性陣がきっと喜ぶ。いい貰い物をした。
「それと五十鈴、俺も桜国に行く! ノスウの花を持って色々見てみたいんだ。」
スノウの言葉に一番喜んでいるのはロロだ、瞳が輝いてる。
ノスウの花を持って、姉にも外の世界を見せたいってことですか。
「冷蔵庫ってのも、桜国のドワーフと俺が手を組めば凄いのが出来上がるしさ。」
確かに、ドルガド達の技術とスノウの氷魔法。合わさったらいいものが出来上がる気がする。
それに家族が増えるのは単純にうれしい。
ロロの友達を国に連れて帰ったら皆がどんな反応をするか楽しみだ。
「ダリウスさーん、息子さんを連れて帰りますね」
倒れていたダリウス瞬時に立ち上がる。キリッとした表情で五十鈴を見る
「スノウ、考え直せ! はっきり言う、お前がいなくなるの寂しい」
だばーっと涙を流している。ずっと思っていたけど、ダリウスさんってスノウの事大好きですよね。
フローラさんと一緒に育てていたみたいですし、本気で息子だって思ってるのかもしれない。
「主汚い! うわっ、鼻水ついた!」
ベチョリと鼻水、粘着力が凄……凄いなんてもんじゃない
「ちょ、スノウが絡まってるんですけど!! 鼻水に囚われてるんですけど!」
「いま、助ける!」
「駄目ですロロ!」
ロロまで巻き込まれたぁああ!!
ダリウスさんどんな鼻水してるんですか、髪をなくしたかわりに新たな能力を開花してますよ!
手強い鼻水と闘い、無事チリーズリゾットを作り終えた。
大鍋、人が10人余裕ではいる
皆美味しそうに食べてくれるので満足だ。
五十鈴はボックスから魔神の仮面を取り出す。
特になんの変鉄もない仮面だ、内側に印章の様なものが確かにあったはず……
願いを見れたと彼は言っていた。
〝大切なものをなくしても、生きる強さ〟
これはどういう意味だろうか?
あの魔神は、これでやっと終われる。そう言っていた
他の魔神にも願いがあると……
「主様……」
「銀月ですか……」
「魔神は主様を求めているのかも知れません。こんなに連続で魔神に会うなどおかしいことです」
銀月は辛そうな顔をする、五十鈴の両肩を掴みながら。
「主様が魔神に連れていかれないかと不安なのです、彼等のように」
「彼等?」
そう聞くと銀月はハッとするように肩から手を放した。口を閉じ目をそらす。
そんな銀月の頬を手で包む。
不安だと言いたげな瞳を見つめ、そのまま頬を引っ張ると、お餅のように伸びる伸びる
「……ブハッ」
「ひひょいです、ぬひしゃま!(酷いです主様!)」
「無理には聞きません、それに私も連れ去られませんよ。家族を置いていくわけないじゃないですか。」
銀月のせいで雪見な大福が食べたくなりました。そう言って歩き出す五十鈴の背を見て銀月は笑みを浮かべる
「主様は国の皆を家族だと堂々と言ってくださる。
家族だと言われるたびに、あなた様が主で良かったと噛み締めているとは知らないのでしょうね」
*********
暗闇の中、仮面を付けたものが四人
「そっか、願いが見れたんだねぇ、やっぱり主ちゃんのおかげかな?」
クスクス楽しそうに笑う
「「あと四人、僕らは二人で一人だから。あと三つの願いだね」」
「そうねぇ、次は誰かしら?」
期待をこめた声で喋り合う
「ぼくは最後かなぁ」
「貴方は確実に最後よ、貴方の見たい願いは最後じゃないと駄目」
「「楽しみだよ」」
「主ちゃんはきっと僕らの願いを見せていってくれる。そしたら僕らもやっと終われる。」
彼の言葉に頷く三人
「ええ、私の願いは彼の願いだった。叶えなければ終われない」
「始まりであり、最悪な終わりだった。でも、主ちゃんのおかげで世界はきっと良い方向になるだろうね」
何処か嬉しそうにそう言う。
「「彼女の考え方を他の人達は出来なかった」」
「でも主ちゃんは違う、他国に自ら向かう行動力も。他人を助ける勇気もある。」
「国の皆を家族と言える。守るだけの強さもあるわ」
「「人との繋がりを作るのも上手」」
見れる気がするんだ
やっと終われる気がするんだ
「見せてね、桜国の主。桜木 五十鈴」




