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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第四章 氷宝国編
66/114

66 氷魔法

家の中はまるで研究室のようだった。

紙が散らばり、様々なものが散乱している


「なんの研究をしていたのでしょうか?」


「氷魔法についての資料が沢山あるみたいだな」


何を研究していたかわからないが、部屋中に氷魔法についての資料が沢山散らばっている


「五十鈴、ここ、変」


ロロに呼ばれそっちを見ると、氷の壁。近づいてみると氷の色が微妙に違う


「隠し部屋ですね、多分」


氷で閉ざされている、それなりに分厚いが握り拳に力をいれて殴り付けると、あっさり扉は砕け散った


「五十鈴って、めっちゃ力強いよな。チリーズも折ってたし」


「さすが主様です!」


二人の反応に苦笑しながら部屋に入ると、中にあるのは様々な研究資料だろうか?


「……氷巨人?」


スノウが置いてある絵を見てそう言った。そして周りの資料を見て目を見開いている


「氷巨人は氷魔法で作られた?」


「でも、氷魔法で動く氷は作れないんですよね?」


「そのはずだ、でもここにある資料は氷巨人の産み出しかただ」


難しい顔で資料を見詰めるスノウ、その時ロロが一枚の紙を手に取った


「スノウの、名前?」


「俺?」


スノウはすぐさまロロから紙を受取り見てみる。


「リック・シュテルン、マリー・シュテルン

スノウ・シュテルン?」


スノウは確か、スノウ・ランバートだ。シュテルンではない


「生まれた年も俺と同じ……でも、氷宝国にはスノウなんて名前のやつは他にいない」


「スノウ?」


スノウが突然頭を押さえ出す。


「あの時、あの日……血の繋がりがないって」


「血の繋がりがない?」


「そうだ、あの日。姉ちゃんから血の繋がりがないって言われて俺……、その後が思い出せねぇ」


目をつぶり辛そうに頭を押さえるスノウの背中を撫でる。そうしていると、ダリウスの声が聞こえてきた


「大丈夫かっ!」


「……ダリウスさん」


ダリウスは四人の無事を確認してホッと胸を撫で下ろし、部屋の中を見る


「ここに隠されていたのか……」


「主、俺は姉ちゃんと血の繋がりがないっ、それにシュテルンって誰なんだよ!」


スノウはダリウスに詰め寄り、先程の紙を叩き付ける


「……スノウ、思い出したのか?」


「血の繋がりがないって姉ちゃんに言われたところだけ、思い出した……」


「……そうか」


ダリウスは悲しげにスノウを見る。


「とりあえず、氷宝国に戻ろう。それから全て話すよ、五十鈴達も聞いてくれ」


ダリウスのその言葉と共に五人は氷宝国に戻った。



ーーーーー



今いるのは主殿、スノウはずっと下を向いている。それを見てダリウスは口を閉じ、なかなか話そうとしない。


「ダリウスさん、話してください」


「ああ……ずっと話さねばとは思っていた」


「俺は誰の子なんだ?」


「先程見た紙に書いてあっただろ、リック・シュテルン、マリー・シュテルン、この二人の一人息子がお前だよ」


ダリウスの言葉にスノウが眉を寄せる


「……氷巨人を作る研究をしてた、何でだ?」


「新たな氷魔法を作ろうとして出来上がったものだ。

動く氷魔法を作れたとしてもちゃんと操れなければ危ないと言った……

だが、街の皆は氷魔法の発展を望み。私もちゃんと止めはしなかった。

静かな場所で作りたいと、二人は隠れるようにして研究を続けた」


だからあんな場所に研究室があったんですか……。


「そして作り上げてしまった。最悪の兵器を」


「兵器、ですか?」


「ああ、理性のない氷巨人は容赦なく街の者達を襲ったんだ。

氷巨人自体は氷魔法を使えなかったのは救いだった。

私達は氷巨人を壊そうとしたが、魔法で作られた氷だからな壊れなかったんだ

氷巨人を生み出した二人に止めるように言ったんだが、氷巨人は言うことを聞かず、二人は自身で作り出した氷巨人に殺された

打つ手がなくなったと思ったときにランバート夫妻が氷巨人を封印することにしたんだ」


「姉ちゃんの両親?」


「そうだ、ランバート夫妻は氷魔法の天才だった。氷巨人を封印するには器がいる。

その器になったのが、スノウ。君なんだ」


スノウは大きく目を見開きダリウスを見詰める。


「どうしてスノウだったんですか」


「氷巨人を生み出したのがシュテルン夫妻だったからだ。

氷巨人に二人の魔力がこもってる、その魔力に似た魔力を持っているのがスノウ。

だからスノウの中に、永久冷凍(コールドスリープ)させた」


永久冷凍、まるでSFみたいなだ。でも、おかしい


「永久冷凍したのに、何故フローラさんは亡くなったんですか?」


彼女は氷巨人と戦ったと聞いている


「ランバート夫妻は確かに氷魔法の天才であったが、氷魔法に一番大切な心。

しかも愛情と言うものがかけている、その二人が永久冷凍(コールドスリープ)なんて使っても不完全だった。

二人は壮大な魔力を失いそのまま死に、スノウの中に不完全な状態で氷巨人を封印した。」


「不完全?」


「スノウの心に何かあれば封印は解かれ、氷巨人は復活する」


その言葉を聞いてスノウが呆然とする


「姉ちゃんと血の繋がりがないって言われて、俺……」


「……ショックのあまり氷巨人が復活してしまった」


「俺が、姉ちゃんを殺した?」


「それは違う!」


ダリウスが声を張りそう言うが


「違くないだろ! 俺の心が弱かったからっ」


「氷巨人が出来たのは、氷魔法の発展を望んだ私達大人の罪だ!」


「それでも、氷巨人を作り出したのは俺の両親だろっ、俺はその二人の血が流れてる。

姉ちゃんの両親が死んだのも、姉ちゃんが死んだのも、俺の中に流れる血に罪があるんだろ?」


「スノウ……」


ロロがスノウの肩に触れようとすると、それを払いのけ距離を取る


「触るなっ! 他人のお前になだめられたくないっ 姉をなくしたのは同じでも、俺は……っ」


スノウは泣きそうな顔をして主殿から出て行った。

払われた手を見て動かないロロの肩に手を置く


「スノウは戸惑ってる、ロロならわかるはずです」


「うん……」


〝俺が、姉ちゃんを殺した?〟


似ていたから、痛いほどわかる。


「ダリウスさん、フローラさんの死体がないのは何でですか」


「氷巨人がスノウの体から復活したのはチリーズ祭りの日でね。

皆国の外にいたんだ、私達は氷巨人を倒せないと尻込みしていたよ。前の時に全く歯が立たなかったからね。


でもフローラはスノウに対する愛情で氷巨人に命を差し出した」


「命を差し出す?」


「氷魔法は心の魔法、フローラはスノウの為に氷巨人を倒そうと

氷魔法、絶対零度(アブソリュートゼロ)、すべてを凍りつかせる魔法だ。

それをを使い氷巨人と自身を完全に凍らせた。

この氷魔法が成功したものはフローラが初めてだったよ」


スノウの両親の罪を、フローラが消そうとした。スノウに対する愛情で……


「フローラと氷巨人は砕け散った、跡形もなく。その場所に神殿を建てた、お墓として……

スノウに記憶がなかったからと、街のみんなで秘密にしていたんだ。

フローラが守った大切な子を悲しませたくなくて」


だから街の皆はスノウを大事にしていたのか……。

でも、真実を知ったスノウの心が心配だ。



「今日は主殿に泊まってくれ、明日は氷巨人が倒された日。

そして、フローラの命日だ。」


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