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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第四章 氷宝国編
65/114

65 チリーズ祭り

雪像祭りが終わった次の日にチリーズ祭り。

昨日あれだけ騒いでたのだから、街の皆も疲れてるかと思いきや……


「全力でやれよ! チリーズまつりだぁぁあああ!!」


「「「いえぇぇぇえええい!!」」」


全く疲れていない。


「どんだけ元気なんですか」


元気100倍なあんぱんなんですか……ジャムってるおじさんに新品にでもしてもらったんですか。疲れるテンションだな……

スナさんみたいな表情になっている気がする


「毎年あんな感じだよ、祭りがすべて終わったあとに筋肉痛で地を這いずりまわるんだ。

各家庭から呻き声とかするよ、筋肉痛の痛さで」


どこのホラー映画だ


祭り後の氷宝国に来なくて良かった、ヤバイ国に来たかと思ってすぐに帰る未来が見える。



「チリーズ祭りは国の外でやるんだ」


「外ですか? 魔物とか出るのに」


「チリーズが居るのが外なんだよ」


……確実にチリーズって魔物ですよね


「言い忘れてたけど、チリーズには手と足があるんだ。細いから最初に折ってから国に持ち帰ってる。

さすがに首を折るには太くて固いから無理だけど」


見た目がさらに気持ち悪くなってるパターンとかいらない……。


「雪の中に埋まって寝てるから、それを掘り起こして捕まえるんだ」


「叫びながら走り回るって言いませんよね」


「え、なんでわかったの?」


「ジーザス」


わかりたくなかったよっ


イメージで言うならアレでしょ、小人な図鑑でしょ?

昔流行ったけれど、あのイラスト苦手だったんですよね……

見た目がピクなミンだったら可愛かったのに……でもそれだと可愛すぎて食べれないな


「じゃあ行くぞー!」


ダリウスがルンルンしながら歩き出す、皆チリーズを入れるためのリュックを背負っている。

小学校の遠足を見ているかのようだ


国から出てそれなりに離れた所にある雪野原。


「チリーズを多くとれたら優勝だ、始めろー!」


ダリウスの声と共に雪の中に手を突っ込み始める、そして響く叫び声


「これがチリーズの叫びですか……」


「うる、さい」


「耳がぁっ!!」


耳の良い銀月がバルスされている。

聞こえすぎるのも困りものだ……銀月には耳をふさいで休んでもらいましょう……


「スノウとロロ……」


二人に話しかけようとしたがもうすでに居ない。

離れたところでチリーズを掘り返している


「一人でやりますか」


とりあえず雪を退かしてみるが……


「やぁ、お嬢さん」


……喋った、なんだこのチリーズ。しかもバリトンボイスだ


数秒固まり、無言で手に取る五十鈴。


「……気持ち悪いわっ!!」


バキッ!!


力の限りに握り潰した。

これは食材だ、優しさなど存在しない。


その後もチリーズを掘っては折り、掘っては折り。

走り回るチリーズを蹴り飛ばし。

そんな事をしていると耳を押さえた銀月が走りよってくる


「どうかしましたか?」


「チリーズの声で聞き取りづらいのですが、気になる音がします」


「音?」


耳に意識を向けるが、チリーズの声が邪魔で何も聞こえない。

ナビ、聴覚をよくすることって出来ますか?


《はい、銀月さんと同調すれば可能です。

聴覚強化スキルが取得できるかと》


新たな発見だ、でもどうすれば同調出来るのだろう


《五十鈴様と銀月さんの信頼度は高いですから、手を繋ぎ呼吸を合わせれば取得可能です》


意外と簡単に出来そうだ


「銀月、お手」


冗談で犬にするみたいに言った言葉に素直に手を差し出す銀月……なぜ嬉しそうに手を乗せるのだろうか


「主様?」


「銀月、私と呼吸を合わせてください」


目をつぶり銀月の呼吸に合わせていく。研ぎ澄まされた感覚が体に入ってくる感じがする


《聴覚強化スキル取得しました》


よし、めちゃくちゃ煩いチリーズの音を遮断できないのは仕方ないけれど。

それを無視して耳を研ぎ澄ます。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ



「この音……っまずい! ダリウスさん!」


五十鈴の声に、チリーズを持ったダリウスが振り返る


「雪崩ですっ!」


五十鈴の言葉と共に雪崩が迫り来る。物凄い勢いだ


「氷魔法でバリケードを作れ!!」


「「「はい!」」」


皆が氷魔法でバリケードを作るがこの場に居ないものがいる


「スノウとロロは何処ですか!!」


「主様! あそこに!」


銀月が指差したのは、五十鈴達から100mほど離れた場所。

逃げたチリーズを追いかけて行ったのだろうが、スノウが倒れている


五十鈴と銀月は二人の元に走り出した。


「ロロ!」


「スノウ、チリーズに、蹴られて、気絶」


なんでこんなタイミングで気絶するんですか!

チリーズ許さないですからね!!


五十鈴はスノウを抱き上げるが雪崩は五十鈴達を飲み込もうとしている。

ダリウスさんが氷魔法をこちらに向けて出そうとしているが多分間に合わない


「銀月!」


「はい!」


狼の姿になった銀月の背に三人で乗り走り出す、後ろから雪崩が追ってくるが雪山は走りにくい

距離はとれるがこのままだと飲み込まれる、そう思っていると不自然な場所を見つけた。

銀月も足を止める


「氷? しかも下は水じゃなくて空洞?」


雪野原の中に雪が積もっていない不自然な氷張りの地面がある、下は空洞になっている

中を見てみると氷の階段がある、下に降りれるように出来ているようだ


「時間がありません」


迫り来る雪崩を見て刀を取り出し、階段のある場所の氷を一部分だけ綺麗に斬る

銀月達を引っ張りその中に入った


「ギリギリですね」


穴の中には何故か雪が入ってこない。


「雪山の裂け目、ですか」


右と左に氷の壁、不自然な氷の地面だったものは天井。雪が上に積もらないのが不思議だ。


それに、氷の階段が下まである。けっこうな深さだ


「スノウはまだ目覚めませんか?」


「うん」


人型に戻った銀月に背負われたスノウを見ると額が赤い。チリーズに蹴られたからだろう


「下に降りてみましょうか」


長い階段をゆっくりと降りていく、音がしない静かな空間が広がっている


「いっ、てぇ」


「目が覚めましたか」


スノウは額を押さえながらキョロキョロと周りを見る


「どこだ、ここ」


「雪崩がおきて逃げていたら見つけた場所ですよ、スノウも知らない場所なんですね」


氷の階段があるのだから国の者が作ったと思ったのだけれど違うのだろうか?

そう思いながら長い階段を降りていくと、なにかが見えてくる。


「家、でしょうか?」


下に降りて見えてきたのは氷で出来た家


「なんでこんな場所に家なんかが立ってんだ?」


「行ってみましょう」


一番下に辿りつき目の前にある家を見る。見た目は普通の家だ


「氷魔法で作られてるな」


「じゃあ氷宝国の誰かが建てたって事ですか?」


「多分そうだ」


なんでこんな場所に? まるで隠れるかのように……。

とりあえずノックしてみるが返事も、物音もしない


「人の気配も無さそうですね。銀月、人の匂いとかしますか?」


「いえ、匂いは特にありません。無人で放置されたのかもしれませんね」


「そうですか……」


そんな風に家をみながらドアノブを回してみると、ガチャリと扉が開く


「鍵はかかってないみたいですね……」


「なんかワクワクしてきたな!」



スノウが楽しげにそう言うが、勝手にはいるのもどうかとおもう。

でも、こんな場所に建っている家なんておかしい。

ダリウスさんも知らない可能性がある、少し調べた方がいいかもしれない……




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