表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第四章 氷宝国編
64/114

64 姉

雪像祭りが終わり、雪像はスノウ達のしか残っていない。もちろん優勝商品のチリーズはスノウ達に渡され、二人で半々に分けあったみたいだ。


「五十鈴、チリーズ、沢山!」


こんもりとチリーズの山が出来ている。

うん、気持ち悪い見た目だ。全部が小刻みに揺れていてとてつもなく気色悪い。

こんな見た目で美味しいのだから不思議で仕方ない


「このチリーズはロロ用に料理にしますか。全部ロロのですし」


そうロロに聞くと、ロロは首を左右に振る。食べるのが大好きなロロにしては意外な反応だ。


「ううん、桜国、皆で、食べる」


「ロロのだからロロだけで食べて良いんですよ?」


チリーズは大量に買って帰りますし、食べても問題はない。


「桜国、皆家族だから、皆で食べたら、美味しい」


五十鈴と銀月はその言葉に、思わずロロを抱き締めたり頭を撫でたりし始める。


「銀月、ロロが良い子で嬉しいです」


「はい、沢山美味しいものを食べさせてあげましょう!」


抱きつかれ何処か嬉しそうなロロをスノウはじっと見つめていた。


「……家族」


ボソッと囁くスノウ、そんな彼の様子に気付いた三人が心配そうに声をかける


「どうかしましたか、スノウ?」


そう声をかけると、へらっと笑うスノウ


「いや、血の繋がりがないのに家族って言えるなんてすごいなって思ってさ」


「血なんて関係ありませんよ、桜国は皆が家族ですからね、大家族です。」


五十鈴の言葉と笑顔に目を見開き、思わず笑いが出てしまった


「はは、なんか良いな。そういうの」


「そうですか?」


「すっげー楽しそう」


その言葉に桜国の皆を思い出した。色んな種族が楽しげに笑っている。

毎日が新しい発見だらけで


「確かに、退屈はしませんね」


ふふっと笑う五十鈴に、皆も顔が緩んだ。




ーーーーーーーーーー




「私はスノウを愛してる」


「大切な私の弟」


「寂しくないように、花を咲かせるからね」


「ねぇ、スノウ。」


「──────────」



スノウはバッと、布団から飛び起きた。


「また、この夢……」


この頃よく見る夢。姉ちゃんが出てくる夢


「最後、何て言ってるんだろう……」


毎回聞こえない、夢の中の姉ちゃんはいつも笑ってる。

記憶に無い姉ちゃんの姿に言葉……


「姉ちゃん……」


「ス、ノウ?」


「わっ、ごめんロロ。起こしたか?」


モゾモゾと布団から起き出すロロに焦って謝るスノウ


「どうか、した?」


「いや、なんでもねーよ」


スノウの言葉にロロはじっとスノウを見つめた。


「嫌な、夢? 」


「……いや、姉ちゃんの夢だ」


「スノウの、お姉さん?」


「そう、夢に出てくるんだけどさ、最後の言葉が毎回聞こえない」


スノウは頭を押さえながら目をつぶる、姉の姿を思い浮かべても最後の言葉は聞こえない。

姉は何と言っているのだろうか……


「僕も、姉さん、亡くしてから、夢、出てきてた」


「え?」


「ダークエルフなって、封印されて、も。夢は見る、から」


「ダークエルフ?」


聞きなれない言葉に首をかしげるスノウ。ロロはダークエルフについて教え、言葉を続ける


「姉さんが死んで、邪悪な心、支配された。復讐ばかり、考えて、人を傷つける事、平気でした。

エルフは光、ダークエルフは闇」


スノウは分かったような、分からないような微妙な顔だが、ロロは気にせず話を続ける。


「僕を庇って、姉さんは死んだ。ずっと僕が弱いから、死んだって、思ってた」


「今は違うのか?」


「うん、五十鈴と出会って、かわった。復讐しか、考えてなかった、でも、五十鈴だけが、僕の心に語りかけて、くれた」


「心に語りかける?」


「うん」


目をつぶって思い出す、世界の色が変わった瞬間を



〝この世界は沢山の国や人がいます。きっと楽しいこと嬉しいこと様々な出来事に出会えますよ〟


〝だからロロ、一緒に世界を見ていきませんか?〟


〝悲しいときは一緒いましょう、嬉しいときは一緒に喜んで。人生って楽しいものなんですよ?〟



〝だからロロ、私と家族になりましょう〟



「それから、姉さんとの、記憶を沢山、思い出した。復讐しか、考えてないとき、忘れてた記憶。

スノウも、きっと、思い出せる」


「そっか……すげーな五十鈴って」


「うん」


「色んな国に行ってんだろ、しかも仲良くなって帰ってく。

国の皆を家族だって堂々と言えるのもすごい。

そんな五十鈴と知り合えたんだ、俺も思い出せる気がしてきた!」


よしっと、気合いを入れるスノウ。元気な姿を見てロロもホッとしたようだ。


「明日はチリーズ祭りだ、楽しもうな」


「うん!」


二人はそう言って眠りについた




ーーーーーーーーーー



氷の神殿、固く閉ざされた扉の向こうに男は居た。



「俺の願いはもうすぐかなう……」


仮面をつけた男が一人、何かを見上げる


「やっと終われる、やっと見れる。全てはあの日に始まり、あの日に終わった」


男は仮面をはずし、それを見つめた。


「長かった……」


するりと仮面を内側を撫でる。愛しげに、でも何処か悲しげに


「真実も、悲しみも、乗り越えてゆける強さ……」


男は仮面をまた着け、歩き出した。


「きっと見れる気がする」


こつこつと靴の音が響く


「他の奴等の願いも叶うだろうか? いや、叶えてくれると信じようではないか……」



だろう? 桜国の主さん




ーーーーー



空がまだ明るくない夜中、スノウ達がふたたび眠りについたあと。


「!」


五十鈴は目を覚ました。


「今、呼ばれた気が……」


五十鈴は窓から月を見上げる。まだ夜中だ


「気のせい……でしょうか?」



誰かに呼ばれた気がした、何処か期待を含むようなそんな声で……。


「主様?」


狼の姿で寄り添い寝ていた銀月が心配そうに五十鈴を見つめている。

そんな銀月の頭を心配ないと撫でる


「まだ起きるには早いですし、もう一度寝直しましょう」



そう言って銀月にくっつきながら眠りについた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ