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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第四章 氷宝国編
63/114

63 雪像祭り

「今年もやってきたぞ!! 雪像祭りだ!」


「「「おおおおおお!!」」」


「好きに作れ! エロは作るな!いいな!」


「「「イエッサー!!」」」


なんだこれ、それが五十鈴の感想だ。


今から始まるのは雪像(せつぞう)祭りだ。彼らの暑さで雪が溶けないかが心配である


そしてエロとはなんだ、昔つくって嫁にシバかれた口でしょ確実に。

嫁さんの監視の目があるし。


「氷宝国の奴等って全力で楽しむからな、毎年」


「仲良いですよね、この国」


「主があんなだしな」


目線の先には雪像を一人で作り出すダリウス。


ダリウスさんが一番楽しそうなんですけど、主が率先して雪遊びしてるんですけど。いいのかそれで


「俺らも作り始めようぜ」


「うん」


スノウとロロが一緒に走り出す。


「仲良くなりましたね。じゃあ銀月、作りはじ……?」


銀月がいない、というか背中の重みもない。

そうおもい五十鈴がキョロキョロと見渡すと二人を見つけた。


「ソラ、そこはもう少し丸みがある」


「○」


……何を作ってるんですか


「あ、主様! 俺が作るのは決まっています。ソラも手伝ってくれてますよ!」


いや、うん。作るのはいいですよ、でもね


「……なんで私なんですか!! しかも上手っ」


いやぁっと五十鈴は顔を覆った。恥ずかしすぎる、クオリティの高さがよけいに恥ずかしい。

どう作ったら髪の一本一本を表現できるんですか、無駄に能力が高いですよ私の近侍


「主様の美しさを雪でなど表現しきれませんが主様以外を作るなど嫌なので。

ここに手先が器用な黒桜がいれば良かったのですが……」


連れてこなくて本当に良かった、暴走するのは一人でいい。そして銀月、貴方も手先が器用ですよ。


よく見たら表面が綺麗なのはソラの体液的なもので滑らかな感じを出してるんですね。


「はぁ、仕方ありません。一人で作りますか」





ドシャァアアア


五十鈴は作った雪像を力の限り殴り飛ばす。小さくクレーターが出来た。


「なんで鶴を作っているのに、足の生えた鶴になるんですか」


折り紙で鶴を折ってもこれになるんですよね……。

五体目ですよ、この作品。

途中、もっと簡単な感じに作ろうとしたら、ベトなベターみたいなモンスターが出来てしまった。

絵とか手芸とか得意なのに、何故雪像はうまくいかないんだ……


「諦めますか」


チリーズは買えば良い。暇になってしまいましたし、他の人の作品でも見ますかね



ーーーーーー



チャラララ~ チャラララ~ラ♪


冬ってるソナタが見える、雪を見上げるペ様が見える。


「お、五十鈴。俺の作品を見に来たのか?」


「これってダリウスさんの作品なんですか?」


「おう! こんな感じの男になりたかったんだよな……」


「いえ、今のままで良いと思いますよ」


この姿で会っていたら私は笑い死ぬ。

そんな風に思っていると、最初にあったときのように手を握られる


「やっぱり結婚するか」


「いえ、お断りします」


落ち込むダリウス、本気なのか冗談なのかわからなくなってきた……


「スノウとロロ君、仲良くなったみたいだな」


「はい」


二人の目線の先にはスノウとロロが仲良く雪像を作っている


「あんな楽しそうなスノウは久々に見た」


「そうなんですか?」


会ったときから元気な子だと思っていたけれど……


「フローラが死んでからスノウが笑うことが減ったからな」


「フローラさんって……」


「スノウの姉、フローラ・ランバート。氷魔法の扱いがとても上手な子だったよ。

弟のスノウを大切に育てて愛情深い子だった」


ダリウスは辛そうにスノウを見ている


「フローラはスノウから心を貰ったんだ」


「心を貰った、ですか?」


「フローラの両親は氷魔法の天才と呼ばれていてね、その両親から生れたフローラを周りは両親と同じ天才になると思っていたよ」


「思っていた?」


「フローラは氷魔法が使えなかったんだ」


スノウは姉を氷魔法の天才だと言っていたはずだ……。


「フローラの両親はがっかりしてね、全く娘に関心がなくなった。

フローラも心を閉ざしていてね、全く笑わない女の子だったよ……。

でもね、フローラは弟と出会い愛情が芽生えた」


ふと、スノウの言葉を思い出した。


「氷魔法は心の魔法、ですか」


「そう、フローラはスノウのおかげで氷魔法を使えるようになった。

愛情という心がフローラの凍っていた心を溶かしたんだ」


沢山の愛情をフローラさんから貰ったスノウ、そのフローラさんを亡くした……


五十鈴はロロと笑い合うスノウを見た


「フローラは最後までスノウを想っていたよ。」


最後? ダリウスさんはフローラさんが亡くなった時に側にいた?


「スノウはフローラさんが亡くなった日の記憶がないと言っていました。

フローラさんが氷巨人を倒しに行ったという記憶もないと。

ダリウスさんは、フローラさんの最期を知っているんですか?」


「……その場にはスノウもいた、ショックを受けて記憶が無くなったんだ」


「じゃあなんで、した「五十鈴、主!こっち来て見てくれよ、ロロとの力作!」」


「ああ、今行くよ」


スノウの声に遮られたけれど。フローラさんの死体がないのは何故だろうか?

それに、フローラ〝の〟両親? 二人の両親ではなく?

考えすぎなのか……それとも


「五十鈴、早く」


ロロに引っ張られながら歩き出す。



「じゃーん! 俺とロロの作品で、友情!」


雪だるまが二つ手を繋いでいる、それだけならば可愛いのだけれど……


「顔だけリアルじゃありませんか?」


写実的で怖い、どう作ったらこんなに上手に出来るんだ。

顔がリアルなのに形は雪だるまだからバランスが悪い、というか怖い


「やったら、出来た」


「すげーだろ!」


本人達は満足げだ。


「じゃあ、そろそろ優勝者を決めるぞ!」


そういえばどうやって優勝者を決めるのだろうか?


「みんな! 雪玉を持て!」


「「「おーう!!」」」


ざっと雪玉を持つ街の人達


「気に入らない雪像に雪玉を叩きつけろ! 一回だけだぞ、最後まで形が辛うじてでも残っていたやつが優勝だ!」


その言葉と共に雪玉を投げつけ始める街の人達。


ひとつ言いたいことがあるとすれば


「主が一番始めに自分の雪像に雪玉を叩きつけるとか、恐怖しかないんですけど……どうしたんですか」


何故かダリウスが一番始めにペッ様の顔面に雪玉を叩きつけた。

野球のピッチャーみたいなフォームで。


「なれなかった自分の姿など、消え去ればいい」


「心がけっこうアレですよね、ダリウスさんって」


ダリウスもヤバイが(うち)の子達もヤバイ


「本物の主様に勝てるわけがありませんっ もっと主様は美しく気高い!」


「×」


私そっくりの雪像が一瞬にして粉雪になった……自分を破壊されるみたいでちょっと切ない


周りの雪像も粉々になっているが


「あれ?」


ひとつだけ、全く壊されていない雪像がある。


「ロロ達のは無傷ですね」


二人の作った顔だけリアルな雪だるまだけは無傷である。

綺麗に並んで立っている

周りの声に耳を傾けると、その理由に気付けた


「スノウが友達と作った雪像なんて壊せるかっ! 」


「友情を破壊するなど、大人として最低だ!」


そう言いながら互いの雪像に雪玉をぶつけ合っている。

皆笑顔で楽しそうだ


「仲の良い国ですね、ダリウスさん」


「だろ? 自慢の国だ」


スノウは国の皆に大事にされているのが分かる。



その後も雪玉はスノウ達の雪像に当たる事はなく。

優勝はスノウとロロ、二人の雪像に決まった。



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