59 友達
姉っという単語にロロが反応した。
「スノウの、姉?」
「そ、俺の姉ちゃん。俺がまだ7歳の時に姉ちゃんは氷巨人を倒して死んだって聞かされた」
「聞かされた?」
「姉ちゃんが死んだ日の記憶が無いんだ、姉ちゃんが氷巨人を倒しに行ったことも記憶にない。
いつも通り目が覚めて、そしたら姉ちゃんはもう居なかった。
死体もないから今でも姉ちゃんが死んだって思えないんだよな……
親もいないし一人で暮らしてるんだ。
友達とかもいないしさ、だから五十鈴達が来るって聞いたとき。
ちょっと楽しみだったんだよ」
寂しげに笑うスノウ
記憶がない、あまりのショックにその日の記憶をなくしたのか。
それとも違う理由なのか分からないけれど
クシャクシャ
「おわっ!」
五十鈴はスノウの頭を撫でた
「スノウ、この国に居る間は私達と楽しい記憶を沢山作ろう。
寂しさを吹き飛ばすほどに。
ロロも友達が少ないですし、仲良くしてあげてください」
そう言いロロの背中をポンッと叩いて前に出す
「わ、五十鈴……」
「世界を見るんでしょ、友達作りも大事なことです」
ロロはもっと人と関わった方がいい。色々聞いて色々見て、自分の幸せを見付けられたらいいと思う
「えっと……友達になってくれねーか?」
ちょっと照れた感じに言うスノウ。
ロロは戸惑っているのか無言だ、社交性が皆無。しかたない
「はぁ。
チリーズご飯はロロだけ食べないんですね、しかたありません。銀月、共に食べまくりましょう」
「そうですね、主様が作ったものは美味しいものばかり。ロロが食べないと言うのであれば、俺が美味しくいただきましょう」
五十鈴達の突然の会話に戸惑うロロ
「い、五十鈴?」
「友人でも誘ってチリーズ料理って素敵ですよね」
「はい、美味しいものは皆で食べた方が楽しいですし、美味しさも倍増します」
あーあ、何処かに友達を連れてきてくれる子はいないかなぁ
っとニヤニヤしながら言う二人。
エルフにとって食事は大事だ、五十鈴の料理はほんとに美味しい。
このままだと、冗談ではなくチリーズご飯だけを食べさせてもらえなくなる
ロロはスノウの肩をガッシリと掴んだ
「スノウ、友達、なって! それと、チリーズ、一緒に、食べたい!」
「お、おう!」
ロロは必死だがスノウはとても嬉しそうだ。
五十鈴と銀月はそんな二人を見ながら軽くハイタッチしながらひと言
「「食い気が強すぎて笑えない」」
食べることにたいしてチョロすぎる。二人は少しロロの将来が心配になった。
知らない人からお菓子をもらっても着いて行かないようにって言わなきゃダメかもしれない……
とりあえず、ロロに友達が出来ました。
ーーーーーー
スノウに案内されながら主殿に向かう。
「見事に氷の城ですね、氷が光ってて綺麗です」
「城も光ってるけど中に居る奴も光ってるよ」
ぷぷっと笑いながら言うスノウに首をかしげる五十鈴達はそのまま主殿の中に入っていく
「主ー、桜国の人達を連れてきたぜ」
そう言いながら扉を開くと、ピカッと目に光が入り五十鈴達は眩しさに一瞬目をを閉じたが、すぐに目を開けられ五十鈴達は光の原因を知った
光っている……何がって
「主、頭の光りどうにかならねぇの? 眩しいんだよ毎回」
そう、頭がつるっつるに光っている。私達は太陽拳でも食らったのだろうか……
「俺だって好きで光ってるわけじゃねぇ、ちょっと興味本意に氷の王冠を一週間被ってたら毛根が死滅したんだ。
俺だってまだ若いってのに……」
ズーンっと落ち込むスキンヘッド、花浅葱色の瞳は綺麗だし、顔は格好良い方で図体もいい、だが毛がない
「元気出せって主」
「毛根死んでからモテなくなった。女達は髪がないことが嫌なのだろうか?……桜国の主、俺とかどう思う?」
いきなり話を振られた、巻き込まないでください
「髪があろうが無かろうがその人の本質は変わらないので別にいいと思いますよ」
ハゲだろうがスキンヘッドだろうが、その人自身は変わらないのだから気にしなくてもいいだろう
その言葉に何を思ったのか五十鈴の両手を握るスキンヘッド
「よし、結婚するか」
「え、ごめんなさい」
あっさりと結婚を申込まれ、あっさりと振る。
「やっぱり毛なのかっ! そっちのやつとか、そっちもフッサフサだもんな!」
銀月とロロを指差しそう言う彼はとてつもなくめんどくさい。
「主、他国の主の前でバカな事やってないで自己紹介ぐらいしろよ」
「そうだな……。 俺は氷宝国の主、ダリウス。よろしく頼む」
差し出された手を握る、大きい手だ
「桜国の主をしています桜木五十鈴です、後ろの二人は銀月とロロ、そしてこの子はソラ。よろしくお願いします」
「魔物を仲間にしているのか、驚きだ……。
桜国の事は色々噂で聞いてる。
敵対する気はない、友好的な関係が気付けたらいいと思っている。
狼族や鬼神族を恐れているのは一部だけだ、仲良くしてくれるとありがたい。
それに、こいつに友達が出来るのは良いことだしな」
クシャっとスノウの頭を撫でたダリウス、まるで父のようにスノウを見ている
「私の方も友達が増えるのは良いことですから、お互い様ですね」
五十鈴もロロの頭を撫でながら言う
二人は何かが通じあったのか、ガシリと再び握手した。二人共いい笑顔である。
「仲良くなれそうだな」
「ええ」
「「家の子のために」」
親バカの領域である。
「それにしても良いタイミングで来たな」
「良いタイミングですか?」
「これから4日間、様々な祭りが開催されるんだ」
様々な祭り、楽しそうな響きだ。そう思っているとスノウがロロの肩に手を回す
「雪像祭りにチリーズ祭りだよ、一人でも参加できるし、二人一組でも参加できるんだ。だからロロ、一緒にやろうぜ!」
「うん」
雪像祭りにチリーズ祭り、どちらも面白そうだ。ロロとスノウがペアなら。
「私は銀月とペアですね」
「はい!」
とても嬉しそうに返事をする銀月、背中のソラも主張してるが。
ソラを入れた場合は三人にカウントされるんだろうか?
セーフだと考えよう
「滞在中は氷宝国を満喫してくれ」
笑顔でそう言ってくれるダリウスに、もちろん満喫しますよっと返事をした。




