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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第四章 氷宝国編
58/114

58 氷宝国

氷宝国、周りも国も雪に覆われてる国らしい。


だが、五十鈴の目に写るのはそんな国ではなく、一面白銀世界である。



「さすがに寒いですね」


このセーラー服は防寒があるが、寒いものは寒い。

今回黒桜が来なかったのは鬼神族は寒いのが苦手だったからだ。

たしかに鬼火とか使うからすこし納得できる。


桜国にはアイリーン達が仲間入りしたお陰で色々と安心して他国に行けるようになった



「雪、すごい、冷たい」


「ロロ、楽しいのは分かりますけど、ちょっと作りすぎです」


白銀世界に並ぶ大量の雪だるま。

ロロは初めて雪を見たのか楽しそうに雪だるまを作っている。

作り方を教えたのは私だけれど、全部がこっちを見ててとてつもなく怖い。


「銀月、雪に紛れないでくださいね。どこにいるか分からなくなりますから」


「はい主様!」


狼の姿なのに寒くないのだろうか? 毛皮のパワー?

ソラはフードでプルプルしてる、寒さに弱いみたいだ


「ソラは寒くてフードから出てきませんし、早く氷宝国に辿りつきたいんですけど……」


ここどこですか?


確実に迷子である。

氷宝国を目指して雪山を進んでいたのだけれど、右も左も真っ白。

臭いとかを辿るにしても雪だらけで臭いもない。



「ここまでなにもないと道がわかりませ「ギュムッ」」


「ギュム?」


足裏に感じる謎の感触、白くてわからなかったが何か居る。

あ、ヤバい


そう認識したが遅かった。



「グオォォォォオオオオ」



雪の中から現れたのは白くて無駄に大きい体に耳も牙も長い魔物


牙雪兎(ガウト)です。雪に紛れ身を隠し、人を襲い食べます。》


ナビの冷静な解説がピコンと現れるが、そんなことはどうでもいい


「どこが雪兎ですか!」


そんな可愛らしい名前なんて似合わない、耳ぐらいしかウサギの要素を感じられない。

ファンシー要素をどこにおいてきたんだ! マトンを見習え!


「うわっ」


「主様!」


雪のせいでバランスを崩した五十鈴をすぐさま銀月が駆け寄り背にのせる


「雪山での戦闘は難しいのに……」


そう言いながら牙雪兎を見ていると、パキパキと氷が砕けるような音が聞こえだし


「『氷山(アイスバーグ)!』」


そんな声と共に鋭い氷の山が突如現れ、牙雪兎に突き刺さる。

その氷はまるで宝石のように綺麗だった。


「氷の魔法……」


「グルルッ」


「五十鈴、誰か、居る……」


銀月が警戒するが多分敵じゃないと思う。

ロロとソラが全く警戒してないのだから、そう思いながら牙雪兎を見る。


「よし! 今日の晩御飯に出来るな」


この台詞と共に牙雪兎の上でガッツポーズを決めている青年。

水色の髪に浅葱(あさぎ)色の瞳は宝石のような輝きを放っている。

五十鈴達がじっと見ていたからか、青年の瞳が五十鈴達を映した


「何でこんな場所に人が居るんだ?」


首をかしげて五十鈴達を見詰める青年、警戒はされていないようだ。


「君は氷宝国の者ですか?」


「おう! そうだ!」


青年の元気な返事に、氷宝国に行ける事になりそうだと、ほっとしながら青年に自己紹介をした五十鈴達であった。




ーーーーーーーー




「へぇ、あんたらが桜国の者達だったのか」


氷宝国に行く前に手紙を出していたため、街の者は五十鈴達が来るのを知っているようだ。


先程の牙雪兎を倒した彼の名前はスノウ・ランバート、氷宝国の者でさっき使ったのは氷魔法。

晩御飯にお肉を食べたくなったとかで、狩りに出てた所を出くわした。


「この先に氷宝国があるんだ」


そう言われ先に進むと氷の国が見えてきた。

外から見ても美しい国、建物が全て氷でできている


「ありのままの姿を見せたくなるほど綺麗ですね」


さすがに、すこしも寒くないわっとか言ってマントを捨てる勇気はないけれど。だって寒いもの……


そのまま国の入り口まで向かう。


「ほんとに全部氷で出来てるんですね」


門もしっかり氷で出来てる。氷の彫刻もあって、もはや芸術だ


「当たり前だろ? 氷を操る一族だからな、何でも氷で生み出すんだ」


へぇっと思いながら氷宝国に足を踏み入れる。

道は雪で家が全て氷だ……。寒いかと思ったけれど、外よりも暖かい


「全部氷なのに寒いってわけじゃないないみたいですね、不思議」


「俺達だってずっと寒かったら辛いからな。この氷魔法はちょっと特殊なんだ。

俺達の氷魔法と暖石(だんせき)が混じってるから氷だけど暖かい氷になってる

溶けないのは俺達氷宝一族の魔法の特徴、氷魔法をかけたものが溶かそうと思えば溶けるけど、それ以外だと溶けないんだ」


へぇ……


「氷魔法の氷なら溶けないでずっと……」


それって、彼等の力で作った冷蔵庫ならいけるのでは?

氷の冷蔵庫とか作れそうですね……よし、この国の主と相談をしましょう


五十鈴は冷蔵庫作りの事を考えながら歩いていると、どこからか嗅いだことのある、独特の香りが鼻をかすめた


「五十鈴、いい香り、する」


「確かにしますね、銀月よだれが出てますよ」


「狼族は鼻が良いですから、思わず」


ごしごしと腕で口をぬぐう銀月。

先程から香るこの感じ、私は知っている


「チーズ!」


そう、この香りはチーズ。ミルから作れないかと思ったが作れず断念していたもの。

氷宝国の特産品は宝石、飾りとかに使えるものだけだ。

チーズを特産品に出していないなんて


「チーズじゃなくて、チリーズな! よく伸びるのとか、クリーム状とか色々あるんだぜ」


魅惑的な単語が並んでいる。是非とも売りに出していただきたい。

フォンデュをさせてくださいフォンデュを!

チリーズの香りでそちらに意識がいくが、なんかお祭りの準備みたいなことが(おこな)われている。

それと、他国の者が入ってきても驚いてないようだ


「スノウ、私達他国の者が入ってきてるのに驚かないんですね。スノウも受け入れるの一瞬でしたし」


「俺達氷宝国の者にとって一番の脅威は他国の人間じゃないんだ。

確かに鬼神と狼族を恐れてる者もいるけどな」


「一番の脅威?」


「今準備してるのは4日後に行われる氷巨人(こおりきょじん)が倒された日を御祝いする準備なんだ」


周りの人達は楽しそうに祭りの準備をせっせとしている。

まるで文化祭前の準備のようだ


「氷巨人ってなんですか?」


五十鈴達が不思議そうにスノウを見つめると、スノウがある場所を指差す


「あれが氷巨人」


スノウが指を指した場所に氷で作られた彫刻がある、氷魔法で作った彫刻のようだ

厳つい姿の巨人でいかにも敵って感じがする


「あれが倒されたた日を毎年祝うんだよ」


「じゃあ、氷巨人に攻撃してる隣の彫刻は誰なんでしょうか?」


氷巨人に立ち向かう一人の女性の彫刻を指差す五十鈴。

スノウはどこが誇らしさと寂しさを混ぜたような顔で彫刻を見つめ、口を開いた。



「氷巨人を倒した英雄で、俺の姉ちゃんだよ」


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