54 キモい顔の大家族
全身が緑の肌で、毛の生えていない人型の魔物、それがゴブリンである
五十鈴達はそんなゴブリンを次から次に倒していく
「どんだけいるんですか! 顔がキモいのがわらわら居すぎて気持ち悪いんですよっ」
「たくさん、いる」
ロロ、それはわかってます。ゴブリンはそこまで強くないから倒せますけど
「いささか多すぎますよ!」
そう言いながらゴブリンの首を飛ばす。斬っても斬っても出てくる出てくる
「ゴブリンのボスがいるかもしれない!」
ゴブリンリーダーとかゴブリンキングの事だろうか?
「ゴブリンがこんなに居るなんておかしい! こいつらを統治しているやっ」
ウィルの言葉を遮るように、地下水路の壁が吹き飛んだ。
瓦礫が飛び散る。
「!五十鈴、魔神の気配、ある」
「魔神は居ないみたいですけど、嫌なものが付いてますね」
目の前に現れたのは大きなゴブリンキング、こん棒を片手に立っている。
そして額には黒い石、それは見たことのある物だった。
「邪石を埋め込まれたゴブリンとか、洒落になりませんよ!」
ゴブリンの叩き込んでくるこん棒を避ける五十鈴達。
ウィル達に周りのゴブリンは任せて、五十鈴とロロはゴブリンキングに向かっていく
前と同じように邪石に蹴りを入ようとするが、その五十鈴の足をゴブリンキングは掴み、壁に叩きつけた。
砕ける壁にめり込む五十鈴
「っ、図体がでかいくせに動きが速すぎませんか」
「五十鈴、あのゴブリン、変」
変、確かに変だ。状況判断も五十鈴とロロの攻撃の交わしかたも、まるで人みたいな動きをする。
「ナビ! あのゴブリンについて何か分かりますかっ!」
《吸収結合されています。
ゴブリンと人が一つになっているようです》
「たがら人みたいに判断が出来るんですかっ、やっかいな」
この狭い地下水路でこの巨体との対決……考えてる暇なんてない!
「あの素早い動きを止められればどうにかなるでしょうにっ」
五十鈴とロロが近付いても、交わされるか防がれる。
そう考えていると、フードからソラが飛び出す。
「ソラ!」
五十鈴がソラに手を伸ばすより早く、ソラの体から糸状のものが出され、ゴブリンキングの足を地面に固定して動きを封じる
「ソラ! いつそんな技をできるようになったんですか! 」
これなら倒せる!
「ロロ、上を頼みます!」
「うん!」
そう言ってゴブリンキングに突っ込んでいく二人。
ロロが飛び上がりゴブリンの顔面に両手剣を突き立てる、ゴブリンはそれを防ぐようにこん棒を構えるが、ロロはそのこん棒に両手剣を突き刺し動きを封じる。
お陰で下は無防備だ
「弛んだ腹には衝撃をあげますよ!」
そのまま力の限りゴブリンの腹に拳を叩き込む、後ろに衝撃波が広がる程の拳がゴブリンキングに叩き込まれた。
一瞬の間をおき、お腹部分が飛び散り衝撃の余波でパリンっと額の石が割れる
周りを見ると、兵ゴブリン達を倒し終えたようだ。
「一人だったら大変でした。俊敏なゴブリンキングなんて嫌いです」
そして魔神も嫌いです。邪石をバルスしたい
「五十鈴、大丈夫かい?」
「ウィルさんこそ、剥ぎ取られてませんね」
「エキセントリックなゴブリンは居なかったから安心して」
ゴブリンキングをよく見てみると首の後ろや背中に草が生えている
「この草、なんでしょうか?」
鑑定スキルを開いてみる
『名称:ゴブリンの繁殖草
説明:ゴブリンが体から生やし、周りに栽培。
体内に入ると、どんな動物からもゴブリンが繁殖。
ゴブリンキングから出た草を食べるとゴブリンキングが繁殖』
「気色悪いっ!」
繁殖!、こんなんでゴブリンって増えてたんですか。
ナビ、これの処理方法わかりますか? このままにもしておけません
《ハイポーションをかけると死滅します》
「汚物は消毒です!!」
叩きつけるようにハイポーションをぶっかけた私は悪くない。
「ウィルさん、スラム街の水路の下って何処ですか」
「ここからもう少し進んだとこにあるはずだ」
気になることはスラム街に広がった病気だ。嫌な予感がする。
そう思いながら向かったところには、大量に生えたゴブリンの繁殖草
「上には出れる穴がありますね。」
マンホールに似た穴が一つ、蓋はしまっているが。
「ウィルさん、ゴブリン達は意外と頭を使うようですよ」
「まさかっ!」
「ええ、そのまさかです」
ーーーーーー
五十鈴達が地下水路に向かったあと、リンクとジュザントはスラム街に来ていた。
「こりゃひでぇ」
「ああ」
二人の目の前には、全身に赤い斑点が現れた人達が大量に居る。
「体の異常はこの斑点だけなのか?」
「はい、突然出始めたんです」
そんな会話をしていると、突然一人がもがき苦しみ出す。
「うがぁぁっ」
「大丈夫かっ!」
リンクがそう言って近寄ろうとすると、苦しんでたその人の体を突き破りゴブリンが現れる。
周りの者からも次々と
「嘘だろっ これは病気なんかじゃねぇ!」
「見りゃわかるってんだっ リンク、武器構えろ!」
そう言ってる間にも増えるゴブリン達。一人から出てくる量がおかしい、10匹は確実に出て来ている
「なんで一人の体から10匹も出てくるんだよ! おかしいだろ!」
「魔物だからだよ! くそっ、このままだと街にゴブリンが溢れちまうぞ」
ゴブリンの繁殖が起きたのは、五十鈴達が地下水路に入ってからのことであった。
「急いで街に戻ろう!」
ウィルの言葉に五十鈴は上を見上げる。
「ええ、今すぐにでも行かないと手遅れになります」
こんな面倒な事に巻き込んだのはリンクさんの方なのだから、ゴリラが暴れても文句は言えまい。
そう思いながら足に力を入れ飛び上がる、そして水路の天井を思いっきり殴り付けた
ドガァァアアアン
そんな音と共に外に出た五十鈴達。目の前に広がるのは繁殖した大量のゴブリン達
「五十鈴、ゴブリンいっぱい」
「ほんと、子沢山ですね。こんな大家族嫌ですけど」
ゴブリンキングまでしっかりと繁殖している。
ウィル達も後ろからやって来た。
「これは……」
「もう繁殖したみたいです」
弱くても数が多い、先程のゴブリンキングと違って吸収結合も邪石もついてないのが救いだ
「やるしかないですね」
「うん」
街の方は大丈夫だろうか、そんなことを考えながらゴブリンを切り伏せてるとリンクが現れた
「っ五十鈴か!」
「リンクさん! 街にもゴブリンが行きましたか」
「ああ! だがアイリーン達がなんとかしてるみたいだっ」
「なら安心です」
とりあえず片っ端からゴブリンを倒すしかない、一匹ずつなんて時間がかかる。
「怪我をしたくなかったらゴブリンから今すぐ離れなさい!」
時間がかかるなら、一気に片付ければいい。
五十鈴は刀を鞘ごと背から外し、構える。ぎゅっと柄を握り一気に振り抜く
「切り刻め、風切の舞!!」
鋭い風の刃が大量に居たゴブリン達の切り刻む。リンク達は冷や汗を出しながらその光景を見ていた。
ゴブリンを半数以上を倒せたようだと五十鈴が前を見据えているとナビがピコンと表れる
《スキル攻撃作成成功です。
名称:風切の舞
説明:高速に力強い風の刃を作り出し、相手を切り刻む攻撃です。》
スキル攻撃作成なんてあったんですね。何はともあれ
「成功して良かったです」
そう言いながら、まだ残っているゴブリンに向かい走り出す。
アイリーンやウィル達の活躍もあり、ゴブリンを全滅されることに成功した。




