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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第三章 人間国編
47/114

47 普通が一番危ない

たたかう

かいふく

にげる ←


コマンドがあるとすればコレを選ぶのが普通だろう、というかこれを選びたい

心のAボタンを連打しすぎてコントローラーが壊れた。

逆に冷静になった気がする……


私の心の内など知らずに、目の前の葉っぱ男は笑顔である。

つい最近ウサギの着ぐるみにもあったが、まだあれは良しとしよう。

だがコレはどうすれば……いや、答えなど決まっている



「寒くないですか?」



真顔でひと言。

意外と動じない彼女は、ほぼ全裸の男を前にしてこのひと言、さすがだ


「うん、寒いかな」



でしょうね、とりあえずボックスを開いてみる。

服はあっただろうか……

一枚目女物、二枚目女物、三枚目女物……何故だ、男物が入っていない

男性を見てみる、金の髪に薄い青色をした瞳。


いけんじゃね? って言うのが五十鈴の感想だ。試しに作ったウイッグがある

無言で差し出してみる、彼は笑顔で受け取りました。





「ありがとう、助かったよ」


そう言うのは金髪美女である。

予想以上に似合っているが、背が高いのと体格のよさが違和感を出しているが気にしない方がいいだろう


「なんですっ裸で真っ裸だったんですか」


逮捕ものですよ……


「エキセントリックなゴブリンに襲われてね……」


何処か遠い目をしてる、それよりもエキセントリックなゴブリンってなんだ……


「服を剥ぎ取られ、その服を着た後に野花を束にしてたよ。確実に告白しに行く男の顔だった」


大丈夫か、この人。

ロロと一緒に距離を取る、五十鈴とロロの目は不審者を見た時の視線を隠す気はない


「私達は人間国に用があるので失礼します、行こうロロ」


ロロを連れてそそくさと離れようとしたが、ガシリと肩を捕まれる


「僕も人間国に帰るところだったんだ、一緒に行こう!」


輝かしい笑顔だが、五十鈴とロロの顔は真顔である。



ーーーーーーーー



彼と一緒に人間国へ辿り着いた五十鈴達。

金髪の彼の名はウィル・ティナスと言うらしい。


「無事にたどり着けましたね、人間国に」


また不審者に会ったらどうしようかと思いましたよっと思いながら人間国の門を見る。

普通の門だ、これまでの国と違って門番が二人ほど立っている


「これ止められるパターンな気がしてなりません」


あれでしょ、左右の門番が槍みたいなのをクロスして止めてくるやつでしょっと言ってやりたい。


「さあ行こう」


一番ダメなやつが、一番最初に行ってしまった。


「通してもらうよ」


「「騎士団長おかえりなさい、女装似合ってますよ」」


「後ろの二人は連れなんだ、主がお呼びした大切な方達だよ」


その言葉に門番達は五十鈴達を見てささっと端による。


「どうしたんだい?」


「……いえ」


聞き間違えじゃなければ、騎士団長って聞こえたんですが……マジか。

門番達も受け入れが早い、人間国怖いわ……


「ウィルさんって、騎士団長だったんですね」


裸の衝撃が強すぎて騎士に見えない、あのロロでさえ危ないと言った程だ


「騎士団長って言っても第一騎士団長を任されてるだけさ」


フィアの言っていた騎士団長に会ってしまった。

騎士って格好いいイメージだけれど葉っぱ一枚を忘れるのは無理がある


「第二騎士団長の婚約発表があるって聞いたんですけど」


「そうだよ、明日おこなわれるパーティでね。多分君も呼ばれると思うよ」


「え」


はっきり言って嫌である。

パーティなんてキラキラしてそうなものには出たくない。

何か催しをしてくれと言われても、大根を片手で潰すぐらいしか思い付かない……

ゴリラのパワーを見せつけるパーティになりかねん


五十鈴が難しい顔をしているとウィルがクスクスと笑い出す


「そんなに嫌なのかい?」


「嫌ですね」


ハッキリスッパリ。そんな五十鈴を見て笑いが止まらないウィル


「この国では女性は男性の飾りだと思われているんだ、

君はお飾りに収まりそうもなくて安心したよ。」


彼はそのまま主殿まで案内してくれるらしい。

人間国は普通の街並みだ、道の端とかにセロリみたいな植物がよく生えてるのは気になるけど


そんな風に周りを見ながら歩いていると、背中に小さい衝撃。

振り替えると小さい少年が尻餅をついている。


「大丈夫ですか?」


そう声をかけると、少年は五十鈴を見上げた


ボロの服をまとった少年だ、五十鈴は気にせず少年に手をさしのべる


「地面に座っていたら風邪引きますよ」


少年は目をパチクリさせて五十鈴を見ている

五十鈴の手と己の手を見比べ、掴むのを躊躇(ためら)っている。

なので五十鈴から少年の手を掴み立ち上がらせた


「これ、落としてる」


ロロは少年が落としたであろう荷物を拾い渡すロロ。

ロロの姿を見て驚いているようだ


「エルフ、だ」


絵本を読んで喜ぶ子供みたいな反応が返ってきた。


「そうですよ、格好いいし綺麗でしょ?エルフ」


「うん、凄い! 始めて見た、ほんとにいるんだね」


「居ますよ、外の世界には獣人だってドワーフだって」


「いいなぁ……あっ! 急いでたんだ。エルフのお兄ちゃん、荷物拾ってくれてありがとう!」


そう言って走り去る少年。ロロはお兄ちゃん呼びが嬉しかったのか変な顔をしている。

嬉しいって感情が出てるようで良かったです。


「スラムの子供だよ」


「スラム街があるんですか?」


「あるよ、けっこう居るんだ」


悩ましげに眉を寄せるウィル。


「どこの国も問題だらけで嫌になりますね」



ぼそりと囁き歩き出す。



ーーーーーーー



辿り着いた主殿の見た目は完璧に民家だ、獣人国ともドワーフ国とも全く違う、普通の民家。

まったく主殿に見えない、そんな主殿を見ているとウィルが肩をポンポンっと叩いてくる


「僕はここで失礼するよ」


そう言って笑顔でドレスを揺らし去っていく後ろ姿は、図体(がたい)のいい女性であると言っておこう。


気にするのは後にして。

主殿の中に足を踏み入れると、ものすっごく熱気がある。

もわっとした空気が顔にかかって気持ち悪い……


「なんで、腹筋してる人が居るんだろうか……」


「汗、すごい」


多分熱気の正体、木の机の上で筋トレする男性を発見。


「お、やっときたか」


「……どなたでしょうか」


「主殿に居るんだ、この国の主に決まってんだろ」


いや、決まってはいない。

なんだろう、とてつもなく暑苦しい。

五十鈴は思った、人間国は駄目かもしれないと……


「で、なにしてるんですか。」


「筋トレ」


見ればわかりますよ。何なのこの人、疲れる。


「俺の名前はリンク、人間国の主だ。 宜しくな」


ゼルダってる名前だ。

彼の見た目は金の髪を一つにまとめ、瞳の色は濃藍(こいあい)色。

顔は普通、特に特徴がない。


やっぱり人間国駄目かもしれない、普通すぎて困った。


「桜国の主、桜木五十鈴です。こっちはロロとソラ」


ロロは少し頭を下げ、ソラは手を作り振っている


「エルフに魔物か、すげーな。それにしてもプルプルすげぇ」


ソラを見て瞳を輝かせる、人間国の主は他の種族を嫌がってはいないようで安心だ


「さてと、俺がこの国に五十鈴を呼んだのは女の主だったってのが理由なんだ。」


「女だからですか?」


「おう、しかも他国と交友してるって聞いて来てくれんじゃねーかと思って呼んだ。

この国では女性は男達の飾りだと思われてる、見た目の良い女ばかりを連れ歩く。

おれは女達の意識を変えて自信をもってもらいたいんだ。

同じ女で主をしてるお前ならそんな意識も変えられるんじゃないかと思って呼んだんだよ」


俺男だからイマイチ意識が変えられねぇっと苦笑するリンク


「あとは、スラム問題だな。この国って貧乏でさ、金がねぇ。

だからスラムなんてもんが出来ちまった。

俺もどうにかしようとしたんだけど、騎士団や魔物退治をしてくれる奴等の武器とか防具は必要なんだ。

この国には魔物が来ることが多いからな。

だから桜国で売られ出した義肢も必要な奴等が多いんだけど、買えなくて困ってんだよ」


「魔物に襲われてって事ですか」


「そうだよ、どっから入ってくんのか分からねぇんだが、街中(まちなか)にゴブリンが出てくることがある」


どっからって……


「調べてないんですか」


「調べたんだけど、わかんねぇ」


面倒事だ、どこの国に行っても色々とやらされるなと思いながら頭をおさえる五十鈴


「私は便利屋じゃないんですけどね……」


どの国も私の事をなんだと思っているんだ

無害なゴリラなだけなのに……


「魔物退治をしてくれる奴等が居るんだけどさ。

他国の主がゴーレムの大群と戦ったって聞いてから興味津々だったから呼んだのも理由なんだ」


「そうなんですか」


「無駄に盛り上がってたぜ」


行ったことのない国で話題に出されて盛り上がられるって……


「ゴブリンの大群を一緒に倒しに行くって騒いでたからな、あいつら」



だから便利屋じゃないんですけど……



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