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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第二章 ドワーフ国とエルフ国編
40/114

40 ドライアド

エルフ国の中心に有る大樹、あまりに壮大であり存在感がある。

木の実などは実っていないけれど、葉も木もとても綺麗だ。

そんな風に木を見上げる五十鈴に一人の女性がクスクスと笑いながら近づく。


「始めまして桜国の主、桜木五十鈴様。

私はドライアド、このエルフ国の主をしております」


淡い黄緑の髪を長く伸ばし、柔らかい黄緑色の瞳。髪や体に蔦や花が所々に巻き付いたり咲いていたりする

神秘的な雰囲気を纏っているが、近寄りがたくはない。


「始めまして、桜国の主をしている桜木五十鈴と申します。」


「あなた様にはずっとお会いたいと思っておりました」


ドライアドは五十鈴を見詰め手をつかみ、ゆったりと歩き出す。


「あなた様と喋りたいと思っていたのです、此方へ」


手を引かれ、大樹の前に連れていかれる。


「この大樹は私の主殿。私は基本この中で生活をしております」


この大樹にはしっかりと入り口がある、相当でかいのだから中の広さは物凄いだろう


「大樹の名はユグドラシル、この世界を見守り続けてきた神聖な木です。

この世界にある酸素はこの木から出され、世界に巡り人々の生きる元になっているんですよ。


そして、このユグドラシルの木を守る守護を任されるのがドライアドなのです。

私は七人目の守護者のドライアド」


ユグドラシル……世界樹とか宇宙樹と呼ばれる木。

ゲームや漫画では見たことあったけれど、大きく美しい。


それよりも気になるのはドライアドが七人目と言うこと。

私のイメージだと、ドライアドは長命だと思っていたのだけれど


「ドライアドさんで七人目とは?」


「それについてお話があるのです。主殿の中でお話いたしましょう。」


そう言われて足を踏み入れた主殿の中もとても美しかった。

花が咲き誇り水が流れる、エルフ国の中にもう一つ国があるかのようだ。

上を見上げると、上にも行けるよう空間がある。

とてつもなく大きく広い高さのある塔みたいな感じだ。

だが、上に行くための階段などが見当たらない


「五十鈴様、こちらへ。上に参ります」


「上? でも、どうやって……」


五十鈴が不思議そうな顔をすると、ドライアドはクスクスと笑いながら五十鈴の手を引き寄せる


「さぁ、参りましょう」


ドライアドの言葉と共に、足元の草木が動き出す。


「草木が……」


草木は二人を持ち上げゆっくりと上に上がっていく。


エレーベーターみたいだとおもったが。

草木に持ち上げられているのだ、鉄の箱などと一緒にするのは失礼だろう。


草木は五十鈴達を一番上まで運び止まった。

不思議な浮遊感があったが、ファンタジー感が凄くて終わってしまったのは少し残念だ


「足元に気を付けてください」


そう言って降りるドライアドに続いて降りる。

中の床はどこもかしこも草木で出来ているので、足をつけるとフサリとした草の感触が何処か楽しい


上の方に来たのだから、草木の隙間から外が見えるのだが、そこから見える景色は目を奪われる程に綺麗な光景だった。


「す、ごい。エルフ国が一望できる高さです。」


「ふふっ、美しいでしょう。緑が豊かなこの国を一望できるのはこの場所だけ。」


草木に混じって様々な色がある、果物や花だろう。

何時間みていても飽きないであろう光景だ


そんな五十鈴を見ながらドライアドが紅茶を用意する、差し出されたのは黄緑色の紅茶。


「どうぞ、そちらのスライム様にも。マーカの実とレモナの実を絞ってブランドした紅茶です」


カチャリと五十鈴前に二つのカップを置くと、ソラがフードから出てきて五十鈴の膝の上に乗った。

甘く爽やかな香りの紅茶だ、飲んでみるとレモンとマスカットを混ぜたような味だ。

スッキリした甘さで美味しい。


「ソラも飲みますか?」


そう言いカップをソラに近付けると、体に吸い込まれるように飲んでいく。

どこに吸い込まれてるのか謎だけど、可愛いから良しとしよう


「紅茶だけなのは寂しいので」


そう言ってボックスから出したのは桜のロールケーキ。

生地は桜を練り込んだ薄ピンクの生地で、中身は小豆クリームだ。

小豆は桜国で栽培してるため、フィアが食べたどら焼きの餡と同じものを使っている

生クリームはミルから作り、餡と混ぜ合わせれば完成。

ロールケーキの上に桜の花を添えれば、見た目も美しいロールケーキの出来上がりだ。


「まぁ、とても美味しそう」


とりあえず丸々一本をドライアドの前に置く。五十鈴とソラは一切れずつだ。

ソラにロールケーキを近付けるとぷにょんっと吸い込まれていく、美味しかったのか目の下の頬? が少しピンク色になった。

ほんとに可愛い、誰だよ魔物だとかモンスターだとか言った人物は、出てきたら口に恐怖の玉子焼きを叩き込みましょう、そうしましょう。


五十鈴がそんなことを考えてるとも知らず、ドライアドはすっかり桜ロールケーキの虜になっているようだ。


「これは! ふんわり香る花の香り、生地もふわふわで上品な甘み。桃色の生地も可愛らしくて見ていて素敵ですし、中の甘みも甘すぎなくてとても美味しいです!」


口の前に手を当て、瞳を輝かせ食べるドライアド。

やはり大食いなのか食べるのは上品だが無くなるのが早い


一本じゃ足りないかもしれ……確実に足りませんね。もうお皿に残ってませんし


「もう一本、食べますか?」


「よろしいのですか?」


喜んだせいか周りの蕾が花開く。

まるでエフェクトのようにしか見えません。少女漫画みたいですね。


「喜んでもらえるのなら、作ったかいがあります」


ボックスから出して渡す。

そういえば、ボックスから出しているのに驚いていないようだ。


「ドライアドが私で七人目。それをお教えする前に、五十鈴様はこの世界についてお話いたしましょう。」


「この世界について?」


「はい、国や種族について」


確かに知っていることは少ない。教えてもらえるならとても助かる。


「種族と種族は仲が悪いと言われていますが、ほんとは国と国が繋がりを持たなかっただけ。」


五十鈴が考えていた通りだったようだ。


「人とは、自分と違う姿や形を受け入れる事が難しい生き物です。それはどの種族でも変わらないでしょう。

人が最初に目にするのは見た目から、それはとっても勿体ないことでしょう?」


五十鈴は迷わずに頷いた。そんな五十鈴の姿をみてドライアドは嬉しそうに話を進める


「そんな風に何十年、何百年の時が流れました。でも、そんな世界を少し違う見方で見れる方が現れた」


ドライアドは五十鈴を見詰める


「私、ですか?」


「ふふっ、そうです。鬼神族と狼族の両方の主になり、彼等を愛す心がある。

そして、種族の壁も国の壁も飛び越えることのできる心を持っている。」


「いえ、そんなことは」


照れる、とてつもなく。


「五十鈴様はこの世界にとって新しい風をもたらした。

それはとても難しいことです。だからこそ、この国に来てもらいました。

エルフ国は表に出ることはありません、危険ですから。

でも、繋がりがないのはとても寂しい」


「だから私を?」


「はい、エルフ達は他国の者があまり好きではないのです。

でも、この世界には沢山の国があります。

この国だけを見て育ち死んでいく、それはあまりにも寂しい。

何処か信用のできる国が一つでもあればっと考えていたときに現れたのが五十鈴様、あなた様なのです」


「エルフ国との唯一の繋がりになってほしいって事でしょうか?」


「正解です。

あなた様は他人のために行動できる方、優しさも強さもお持ちです。

信用できると、信用したいと思えたのです。

ですから、エルフ国と繋がりを持ってはくださりませんか?」


エルフ国と唯一の繋がりが出来るのはうれしい。けれど、この言い方は……


「エルフ国を守ることが一番の理由ですか」


五十鈴の言葉に目を伏せるドライアド



「……そうです、外部から守れる力。この国を守れる方々が欲しかったのです。

五十鈴様に惹かれたのも、寂しいと言うのも本当です。

ですがユグドラシルが無くなれば生き物は生きてはいけません。

何かあっても私やエルフ達だけでは守れないのです。」


だから、あなた様と繋がりがほしいのです。



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