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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
序章 森の主はじめました。
4/114

04 可愛いと書いて正義と読む

※百合小説ではありませんよ!

無事に結界を壊し、晴れて森の主になった五十鈴。

主の本質が反映され桜が咲き誇る森だが、気になるものが五十鈴の目の前にあった。


「おっふ」


そんな声と共に見詰めるのは大きな本丸、三階程の高さが確実にある。

純和風で五十鈴の好みではあるが


「建物も立つものですか、普通」


「主が出来ると拠点となる建物が現れるようになっているのです。

建物の形などは主の本質で出来ています。」


私の本質って建物を建てるほど図々しかったのかと考え落ち込んでいたので黒桜の言葉にホッとしてしまった。


目の前の本丸も気になるが、先程から五十鈴の目の端に宙に浮いた文字が見える。

気のせいだと言いたいが、確実に見える。

黒桜と銀月には見えていないようだ。

先程からピコンピコンと文字が次々に並んでいく


《森の主の称号を得ました》


《治癒能力は森の主 特有のスキルです》


守盾(シールド)は森の主 特有のスキルです》


《物理攻撃力は測定不能レベルです》


よくある異世界もの感がすごい……

文字を見つめていると、下の方に本のマークを見つけた。何だと見詰めるとピコンと文字が現れた


《辞書ページを開きますか?》


辞書ページが何なのかわからず首を傾げるとピコンッと、またもや文字が現れた


《食事のレシピ、物の作り方、設計図、様々な情報が乗っているページです》


とてつもない便利ページだなと文字を読み進める


《ページを印刷することも可能です。》



「主様?」


じっと動かない五十鈴を見て心配そうに覗き込む銀月の顔を見て意識を戻した。


「大きい本丸だなって見てただけですよ」


そう言って五十鈴が本丸に向けて歩き出すと後ろから可愛らしい声が響いてきた


「あるっ主様!」


振り向くと所々跳ねた銀髪を二つに結んだ美少女が居た。

五十鈴よりも背は小さいが150㎝はありそうだ


頭には狼族の特徴がしっかりとついている。

容姿と相まって可愛らしさが爆発しているなと五十鈴は彼女を見つめた


「あの、えっと、」


チラチラと恥ずかしそうに五十鈴をチラチラと見ては目をそらす、そんな可愛い姿に胸がキュンっとしてしまいそうだ。

五十鈴は昔から可愛いものがとても好きなのだ。実際、五十鈴の部屋にはぬいぐるみが多く置いてあった。


そんな風に可愛らしい姿を微笑ましそうに見ていた五十鈴の背中にドンッと何かが抱きついてきた


「主様!」


五十鈴を後ろから抱き込むように抱きつくのは五十鈴よりも背の高い、これまた美少女

首元で綺麗に切り揃えられた黒髪に紅色の瞳、黒い着物がよく似合っているが背中に彼女の背丈よりも少し小さいが重そうな金棒を背負っているように見えるが背中は痛くないのだろうか


火花(ひばな)、いきなり抱きついたら主が怪我をするだろ」


「だって、なかなか(あに)様が主様に私を紹介してくださらないから!」


「あ、主様から離れてください! ずるいです!」


「落ち着け雪音(ゆきね)。」


「だ、だって兄上。わた、私が最初に主様にお声をお掛けしたのですよ!」


「火花、離れなさい」


黒桜の言葉に嫌々ながらも五十鈴から離れる火花と呼ばれた美少女


「二人とも、主様に挨拶するのが先だ」


銀月がそう言うと二人の美少女は五十鈴の前に立った


「ぎ、銀月兄上の妹 雪音ですっ」


「黒桜兄様が妹 火花と申します」


二人が満面の笑顔で挨拶する姿が可愛く、二人の頭をぽんぽんっと撫でてしまった。

妹がいたらこんな感じなのだろうか……


「は、はわわ」


「わっ」


顔を赤く染めて恥ずかしそうにする雪音と火花。

そんな二人が可愛くてわしゃわしゃとまた頭を撫でている五十鈴の服の裾を左右から引っ張られ見てみると、少し屈んだ黒桜と銀月が頭を差し出してくる

そんな姿を見て二人の頭に手を移しわしゃわしゃと撫でる


「兄様邪魔しないでください! せっかく撫でていただいていたのに!」


「兄上! ひどいですっ」


妹二人の言い分など知らぬと目をそらす


「兄様っ! 私は怒っているのですよ!」


火花はどすんっと背に背負っていたいた金棒を地面に叩きつける。

地面にひびがはいるほどの威力があるようだ


「兄上! 絶対に許しません!」


グルルッと喉を鳴らし狼の姿に替えた雪音。

驚く五十鈴に気付く事なく二人は兄に向かっていく


「兄様達はずるいですっ主様に名付けてもらったのですから頭を撫でてもらうのは妹に譲るべきです!」


ブンッと容赦なく金棒を兄の横っ面に叩き込もうとするがひょいッと避けられてしまう。


「妹の幸せを邪魔するなんて兄上は意地悪ですっ」


ガルルッと牙を見せながら爪で切り裂こうと動く。先程の気弱な姿は幻だったのかと思うほどに俊敏な動きだ


「雪音落ち着け、主様にそんな姿を見せていいのか?」


「火花もだぞ、金棒片手に兄を襲うなど」


兄二人の言葉に今更ながらに自分の姿を確かめる。

明らかに重くでかい金棒を片手で振り回し、兄に容赦なく振るう姿。

狼の姿で牙をむき出し、鋭い爪で兄を切り裂こうとする姿。

二人は瞬時に青ざめた


「はした、はしたない姿を。あ、主様に……!?」


「もう駄目です。絶望的です。可愛くないです。」


火花は金棒を地面に落とし涙目に。

雪音は人型に戻ったが無の境地なのか瞳に光を感じないのが少し怖い


そんな二人を見た五十鈴は火花の落とした金棒をひょいっと片手で持ち上げ火花に差し出した


「泣かないでください火花、この金棒を振り回せるなんて凄いことです。

強くて可愛いなんて最強ですよ」


そう言って火花の目尻の涙を指でぬぐい横に居る雪音の頬に手を当てる


「狼族は姿を狼の姿にもなれるんですね、知りませんでした。銀色でとても綺麗です。

どんな姿でも雪音は可愛いですよ」


男前、その一言につきる。

いきなりの名前呼び、涙のぬぐいかたに面と向かって綺麗と言う姿に男前と言わずなんという


「「主様が尊いっ」」


二人は同時に飛び付いた。

そつなく二人を抱き留める五十鈴はやはり女性なのに男前だ。

二人を抱きつけたまま好きにさせる事にしたらしい


「結界が壊れて私も本来の力が出せるようになったようです」


この通りっと手の平から蒼い炎を出す黒桜


「俺もこの通り狼の姿になれます」


雪音よりも遥かにでかい狼の姿になった銀月


「主様を乗せて何処にでも行けますよ! 主様だけが俺の背に乗れるのですから」


主以外は乗せない宣言をさらっとしている


「鬼神族は鬼火(おにび)を操ったり力が強いのが特徴ですからね」


「狼族は鋭い牙と爪、嗅覚聴覚が良く 走る早さも桁違いと言われています。体術もそれなりに」



自信満々に二人は言うが五十鈴は(さと)った。


あ、この国ゴリラ的ステータスが高いなっと。


















可愛くて強い女の子は正義です。


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