39 石鹸
五十鈴達はエルフ国に足を踏み入れたのだが
入った瞬間にエルフ達に囲まれ、弓を向けられていた。
「お前が桜国の主か」
つり目で意志の強そうな女性エルフが五十鈴を睨み付ける
「あなた方は何をしてらっしゃるんですか!」
フィアが五十鈴を庇うように前に出た。
「フィア、そこをどけ! その女には確認しなければならないことがある!」
「リーリエ、私は桜国に行って参りました! あの者達はいらっしゃりません!」
「隠していた可能性があるかもしれないだろ!」
「ドライアド様がお呼びしたお方です!」
ドライアドっと言われ、ぐっと耐えるように五十鈴を見るエルフ達
「この国に他国の者をいれるなど、しかもあの森の主だと言うではないかっ」
親の敵でも見るように五十鈴を見ている。そんな風に見られる理由がわからない
「一つ聞く、黒翼の者達を知っているか」
黒翼の者? 聞いたこともない
「いえ、知りません」
「なら、鬼神族と狼族以外に他の種族は何がいる」
「獣人とドワーフです」
五十鈴の言葉と共にフードから出てきたソラが肩に乗る
「ス、スライムさん!」
つり目の女性と周りのエルフ達の頬が瞬時に桃色になる。目線の先にはソラがいるようだ
「リーリエ、五十鈴様はスライムさんに好かれるお方。信じられます」
「スライムさんに好かれる者……。そうか、手荒な真似をして悪かった。」
「五十鈴様、申し訳ありません。彼女達にも事情があるのです、お許しください。」
ソラのお陰で助かったようだ。
えっへんっと、何処か誇らしげなソラをとりあえず撫でとく。
どこの国に行っても何かしらあるなっと思いつつも、顔には出さない五十鈴
「気にしてませんよ」
五十鈴の言葉に胸を撫で下ろすフィア。他のエルフ達の警戒心も少しは和らいだようだ
「フィア、ドライアド様は〝あの場〟に行っている。先にエルフ国を案内しろとのご命令だ」
「わかりました、行きましょう五十鈴様」
そう言って歩き出そうとするが、リーリエ達が五十鈴の羽織を掴む。
なぜか皆そわそわしているようだ
「……なんでしょうか」
「ス、スライムさんに触らせては頂けないだろうか」
そんなに触りたいんですか……。私は別にいいんですけど
「ソラ」
五十鈴に名を呼ばれたスライムは体からバツ印を出した。
それを見たエルフ達が膝をつき項垂れている
「くっ、めったにスライムさんは現れてくれないと言うのに。触りたかったっ」
そんな、地面に拳を突き立てる程の事なんだろうか。
「五十鈴様、リーリエ達などほっといて行きましょう。ふふっ私が触れなかったのに触るなんて事になったら、弓で射ぬいてしまうもの」
笑顔が黒いですフィアさん。
フィアと共にエルフ国を見て周る
やはり草木の多い国だ、家一つひとつが木で出来ている。
見た目は木だがその中に暮らしているようだ、ちゃんと窓もあるのでお洒落だ。
「エルフ国には様々な草や木の実や果物があります。他国に売り出しているのは果物ばかりですから、見たことがないものがあると思います」
「欲しいものがあった場合、少し貰ってもいいでしょうか?」
「うーん、ドライアド様がいいと言えば宜しいですよ。」
チャンスです!
実はエルフ国には花や草が沢山あると聞いたときに探してるものがあるのだが、あるだろうかと五十鈴は考えていた。
この世界の石鹸と言うのは、フレグラルの木に生える葉が元になっている。
フラルの葉と言う名の葉で、それを湯につけると溶ける。そのお湯を固めると石鹸が出来上がる仕組みだ。
シャンプーやリンス等も、フラルの葉を改良して作っている。
問題は香りと髪をサラ艶にする成分だ。
今のままでも悪くはないが、そういう成分があった方がいいに決まっている。
その成分がないのは女子としては由々しき事態だ。
ちなみにフレグラルの木は優秀であるため、木を削り白い幹を砕き熱すると重曹になる。
食用でも使える優れものだ、この重曹を使っても石鹸が作れるため色々作れる
このエルフの国で石鹸の香りつけと髪をサラツヤにする成分が欲しいのである。
桜で香りをつけようとは思っているが、それだけではダメなのだ。
女子と言う生き物は様々な香りを楽しみたいと思ってしまう生き物なのである。
「フィアさん、花や草が沢山生えてる場所ってないですかね?」
「ありますよ、行きましょうか」
フィアに連れられてきたのは様々な植物や花が咲き誇る場所。
見方によっては植物園である
「この実は?」
ピンク色をした宝石のような見た目の実と花が咲いている
「これはツバカの実です。種子からは髪などに塗ると艶の出る実ですよ。
花もいい香りですから、種子と花を混ぜて髪に塗るエルフも居るんです」
「とてつもなく椿オイルに似てますね」
ふむ、これは後々貰って使ってみたい。
良く見ると、薔薇に似た花やハーブらしきものも有る。
「あれは!」
色は違うけれど確実にアロエだ!
石鹸、シャンプー、リンスすべてに使える、ハンドクリームにもなる、お菓子にも使える。
塗れるし、食べれるし、飲める万能の多肉植物!
「フィアさんフィアさん! あれは!」
「あれはローロラの葉ですね、何に使えるかはわかってないんです。
ギザギザしてて可愛くないですし」
もったいないっ
全体的に白色で、花の色だけがオレンジ色をしてるがアロエにしか見えない。
これは完璧にドライアドさんに直談判しなければ
案内されて草木に花や木の実に果物、色々有る。
殆どが自然のものだ。エルフは女性も男性もしっかり居て皆が皆、綺麗な顔をしている。
武器は短剣や弓、あとは魔法を使う。
まさにファンタジーに出てくるエルフって感じだ。
「五十鈴様、ドライアド様がお戻りになったようです。」
エルフ国の中心にある大樹を見ながらそう言うフィア
「わかるんですか?」
「はい、私達エルフはドライアド様と共に生きておりますから。
ドライアド様がお待ちです。行きましょう」
その言葉と共に大樹に目指し歩き始めた。




