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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第二章 ドワーフ国とエルフ国編
37/114

37 温泉

ドルガド達が桜国に来てから数日、彼等の工房も無事に完成した。

新しく作った義肢と、ドワーフ国と桜国の同盟は瞬く間に他の国へと広まっているようだ。


そんなある日の事である。



ドッボオオオオオオオオン


「「「おわぁああああ!?」」」



水の音と共に響く野太い声、桜国は今日も平和である。




「何事ですか」


音がしたのは主殿にある大浴場近くの外、見に行ってみると、水浸しになっている。


「お、五十鈴か。」


「ガッツさん、何があったんですか。そんな濡れびちゃになって」


何がどうしたらそんなに濡れるんだろうか。


「竹を使おうと思ってな、ここのを抜き取ってたらよ。突然お湯がつき上がるんだから驚きだぜ」


先程の野太い声はゴリラ大工達の声だったらしい、ガッツ達が抜いた竹の穴からお湯がつき上がったようだ。


桜国の竹は引っこ抜けるように出来ている、けっこう地中深くまであるから抜くのは大変だけれど、切るよりも状態が良い。

すぐに新しいのが竹林に生えて来るから困らない、(たけのこ)は竹林の中心に沢山生えてくるので大助かりである。


穴からいまだに湧き出るお湯をよく見てみると、日本人には嬉しいものが湧き出てくれたようだ


「……温泉ですね」



結論:桜国に温泉が湧きました。



とりあえずガッツ達に頼み男女別の温泉が完成。

元々あった大浴場と繋げてみた、大浴場自体も男女別にあるので繋げたらいい感じの完成度だ。


空をみながら入れる温泉、仕切りは竹で作られているため、和風で綺麗な作りだ。ちょっと露天風呂っぽい


「ちょっと細工しますか」


そう言って温泉に手を浸ける。お湯の色がみるみる美しい水色に。


これで肩凝りも腰痛も直るお湯が完成した。まさか本当に入浴剤みたいに使う時がくるとは思わなかった……


「なんか、ボス戦前の回復するセーブポイントみたいに見えるのは私だけでしょうか」


そう思いながらも、とりあえず国の名物が完成した。

旅館っぽい見た目に、温泉まで沸いた


うん、旅館でもやれと言うことだろうか?


桜国の名物は桜と温泉。

ちなみに、温泉はハイポーション風呂だ。

お湯を持ち帰られても困るので、持って出ると肌の色が金ピカになる細工をしてみた。

ゴールデンなフリーさんみたいになるからすぐわかる


ちなみに検証方法はドルガドとガッツに頼んだ。

ドルガドは肌も毛も金色に、ガッツは肌も体毛もすべてが金色。

皆して爆笑したのは仕方ないことだ。

しかも二人ともポーズを決めるのだから腹がよじれて千切れるかと思いました。

実際何人かが酸欠になって死ぬ寸前でしたし……


いまのところ、獣人国とドワーフ国の者が来ることがあるので、この国は意外と華やかだ。




「ふぅ」


カッポーンっとなるのは鹿威し、風流である。

一人でお風呂に浸かり疲れをとる、広いから少し寂しいが貸しきりみたいちょっとテンションが上がる。

火花と雪音も一緒に入りたかったみたいだが、玉子焼きの練習があるらしい。

とてつもなく心配だ


「星空、綺麗ですね……」


夜空に光る満天の星空、元の世界だったら見れないだろう。

それにしても、まったりする時間は久々な気がする


「そうですねぇ」


「ですよね」


……まて、何故返事が返ってくるんですか。


バッと声をした方をみると、エルフが一人。五十鈴と同じように温泉に浸かっている

尖った耳に金の髪、若緑の瞳が綺麗なエルフだ


「こんにちは、桜国の主様」


妖精の一種と言われるだけあって綺麗な種族たと思った五十鈴


「なぜエルフさんがここに?」


「ふふっ、あなた様に会いに来たのです。そしたらこんなに素敵なおんせん? 何てものがあるんですもの、入ってしまいました」


水色のお湯を両手で掬うエルフ


「どうですか? この国は」


害はなさそうなんで、何となく聞いてみる。

エルフから見てこの国はどう写ったのだろうか


「とても良いと思いますよ。鬼神に狼族、獣人にドワーフ、何処の国でも見たことのない繋がりのある国です。

皆生き生きしていて心が踊るような国だと感じました。」


思ったよりも高評価のようだ


「貴女の気はとても綺麗なのですね」


エルフが動きチャプンと水が揺蕩う、するりと五十鈴の頬に手を添えたエルフ


「貴女が見る世界は美しいのでしょうか?」


若緑の瞳と金色の瞳が交差した。その時


ガラリッ


温泉の入り口が開き入ってきたのは火花と雪音。二人はカラリと手に持っていた桶を床に落とした。

二人の目線の先には自分達の大切な主の頬に触れる知らない女


「あ、主様に何をなさっているのですか!」


「離れてください! わ、私達も主様とお風呂に入りたかったから急いで来てみればっ」


シャーッと猫のように威嚇する二人に思わず五十鈴とエルフは目を合わせて笑ってしまった。





もぐもぐもぐもぐ……


五十鈴達はお風呂から出て茶の間に来ていた。

目の前には一心不乱にどら焼きを食べるエルフの姿が


「とても美味しいです! ふわふわして甘い生地、その生地に包まれた何とも言えぬ美味しい甘味!」


両手持ちでもぐもぐと食べるのは許そう。だが


「食べすぎじゃありませんか?」


彼女の食べたどら焼きはすでに30個を超えている、細い体のどこにしまわれているのか気になる案件だ。


「まだまだ食べれます!」


胃袋に限界があるのか聞きたい。

それから数分、お皿にあった大量のどら焼きを食べ終わり落ち着いたのか五十鈴を見る


「今回伺ったのは、我等が主。ドライアド様がお呼びだからです」


「ドライアドさん?」


それは、あれだろうか? 木の精霊と言われる


「はい。私達エルフを束ね、草木を愛いするとても素晴らしい方です。」


異世界っぽいのが、また来たようだ。


「ドライアドさんが私に何の用なんでしょうか?」


「私も詳しくは聞かされておりません。

ですが、貴女様をお連れしてくださいと仰せつかって参りました。

私と一緒にエルフの国へ来てくださいませんか?」


他の国からも誘いの手紙が来たりする。

獣人国とドワーフ国、二つの国と同盟を組んだためだろう。

獣人国は名前の通り獣のような強さを持っているし、ドワーフ国はこの世界の武器をほぼ全て作り出しているようなものだ。

この二つの国と繋がりを持つ桜国を取り込みたいのか、それとも恐れているのかはわからない。

下手をすると戦争何て事になりかねないのが問題だなっと五十鈴は考えていた。

実際、鬼神族と狼族を怖れた人々は排除しようとしたぐらいだ。

はたしてエルフの主が何のようだろうか……


会えばわかる、なら答えは決まってる


「わかりました、行きましょう」


五十鈴の言葉に胸を撫で下ろす


「ありがとうございます。

申し遅れましたが私はフィア、ドライアド様のお側仕えをしております。

エルフの国に行くにはエルフと共に行かねば入れません。

エルフ国は神聖な地、簡単に入られては困りますから今回は五十鈴様だけをお連れしたいのです。」


フィアの言葉に近侍二人の目の色が変わる


「主一人を他国に入れるとは、どう言うことでしょうか」


「主様だけをお連れするなど、喧嘩を売っているのか?」


二人の鋭い視線がフィアに向くが、フィアは少しも焦っていない。どこまでも冷静だ


「エルフ国は神聖な地だとお教えしましたね、本来なら他国の者を入れるのもエルフ達は嫌がります。

ですが、ドライアド様は五十鈴様だけならばエルフ国に入ることを許可なさったのです。

ですから、五十鈴様お一人だけと申しました。」


「エルフ国の主は何を考えているんでしょうか、異例をおかしてまで主を受け入れるなど」


「何を企んでいる、主様に何をする気だ」


二人はエルフ国に対する不信感を持ち始めているようだ。


「私達エルフも聞かされておりません。

全てはドライアド様の考え、あの方が五十鈴様をエルフ国に招待なさった。

ドライアド様のお心を五十鈴様は少しでも動かしたと言うこと。

それは五十鈴様がドライアド様に会わねばわからないのです。

あの方の心の内を覗けるものなどいないのですから」


フィアの言葉にまたも噛みつこうとする二人を止め、フィアを見る


「いいですよ、私一人で行きましょう」


五十鈴の言葉に二人は納得していないようだ


「逆に楽しみです。なかなか入れない国に入れるだなんて」


お土産楽しみにしてください。

そんな風にあっさりと言われるのだから、近侍二人は先程まであった気持ちなど萎んでしまった。


「主よ、あなた様が無事なら土産など要りませんよ」


「主様はもう少し警戒心を持ってください」



この方はまったくっと言いたげ二人は自身の主を見たのであった。









けして、百合小説ではありません

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